2026年のコーヒー市場の現状

2026年のコーヒー市場の現状

なぜコーヒーの価格は上がり続けているのか

01 | コーヒーは今、円建てで5年前の約4倍になっている

2020年頃、コーヒーの国際相場は1ポンドあたり約1.1ドルでした。2026年現在、それは約3ドル前後で推移しています。ドル建てで約2.7倍。さらに日本では、同じ時期に円安が進みました。

1ドル100円が150円になったことで、為替だけで1.5倍のコストアップ。相場2.7倍 × 円安1.5倍 = 円で買う私たちには約4倍のインパクト。これは特定のお店や焙煎士が値上げしているのではなく、世界規模で起きていることです。

02 | コーヒーには「グレード」がある

コーヒーは大きく3つのグレードに分かれています。一般に「高級」とされる産地名がついたコーヒーも、必ずしも品質が保証されているわけではありません。

03 | なぜここまで上がったのか

2024〜2025年にかけて、複数の問題が同時に重なりました

①2025年ブラジルの歴史的な干ばつ

世界のアラビカ種の約4割を生産するブラジルが、1981年以来最悪の干ばつに見舞われました。主要産地では降水量が平均の17%以下になる月もあり、コーヒーの木が深刻なダメージを受けました。2025年の生産量は前年比で約13%減少しています。

②EUの新しい環境規制

ヨーロッパで森林破壊防止のための新規制が施行され、認証済みコーヒーの在庫不足を懸念したパニック買いが欧州全域で発生しました。

③物流コストと投機マネー

海上輸送の混乱による輸送コストの上昇に加え、ヘッジファンドなどの投資資金がコーヒー市場に流入し、実態以上に価格を押し上げました。この結果、2025年2月には1977年以来48年ぶりの名目最高値を記録しました。

04 | 相場が高いと、スペシャルティが作られなくなる

ここが、あまり語られない問題です。

丁寧に手摘みして、選別して、発酵を管理して——そうして作るスペシャルティコーヒーと、普通に収穫してC市場に流すだけのコーヒー。相場が低いときは、スペシャルティの方が明らかに高く売れるので、生産者は丁寧に作る動機がありました。

品質の空洞化

今のように相場が高騰すると、コモディティとして流すだけでも十分な利益が出てしまいます。「なぜ手間をかけてスペシャルティを作るのか」という動機が失われていく。これを業界では「品質の空洞化」と呼んでいます。高相場は一見、生産者に恩恵があるように見えて、スペシャルティコーヒーの未来にとっては複雑な問題をはらんでいます。

05 | それでもコーヒーは、驚くほどコスパがいい

世界トップクラスのワインは1本数万円〜数十万円。希少なウイスキーはバーで1杯数千円を超えることも珍しくありません。では、世界最高峰のスペシャルティコーヒーは?

農園で丁寧に手摘みされ、品質審査をトップスコアで通過した豆でも、自宅で1杯淹れれば200〜400円程度。これほどコストパフォーマンスに優れた「本物の味」は、飲み物の世界でコーヒーをおいて他にないと思っています。値段が上がったとしても、その事実は変わりません。

本ページの価格データはICE先物相場、生産データはICO・USDAのレポートに基づいています。品質基準はSCA(スペシャルティコーヒー協会)の定義に準拠しています。