開花・結実 / Flowering & Fruit Development
開花・結実(コーヒーチェリーができるまで)
接ぎ木 や苗木の生育 を経て成木になったコーヒーの木は、白い花を咲かせたのち、実(コーヒーチェリー)を熟らせる。ここでは花の構造と自家受粉のしくみ、そして開花から結実までに実際に何が起きているのかを、「コーヒーができるまで」の全体像 の「成木・開花」「実る(チェリー)」の2ステップに対応する内容として、一次資料に基づいて解説する。
01
花芽と自家受粉のしくみ
SOURCE: WCR「Good Practice Guide: Coffee Nursery Management」Module 2, Section A「Physiology of Coffee」
花のもとになる芽(花芽)は、側枝の葉の付け根に沿って腋生(節ごとに脇から出る形)で分布し、1つの節あたり最大32〜40個の花をつける可能性があるとWCRの資料は記す。
C. arabicaの花は両性花(1つの花に雄しべ・雌しべの両方を持つ)で、自家和合性(自分の花粉で受粉できる性質)を持つ。このためコーヒーは自家受粉率が85〜90%を超える自殖性植物とされる。花が開く前の段階で、すでに一部の葯(花粉を出す器官)から内部で花粉が放出されており、子房内の2つの胚珠それぞれに花粉が結合することで、コーヒーの実は通常2つの種子(=コーヒー豆2粒)を持つ、とWCRは説明している。
「1つの実に豆が2粒」の理由。 カフェで見かける丸い「ピーベリー」は、この2つの胚珠のうち片方しか受精・発達しなかった場合にできる例外的な形状——という点は業界で広く知られた一般知識だが、本ページが参照したWCRの資料そのものには、ピーベリーの成因についての直接的な記述は確認できていない(未確認・要調査として区別して記載)。
02
結実までの4段階
SOURCE: WCR「Good Practice Guide: Coffee Nursery Management」Module 2, Section A「Physiology of Coffee」
WCRの資料は、開花(受粉)から果実が完熟するまでの期間を平均32週間(224日)としつつ、栽培地域や種によっては32〜40週間(220〜280日)の幅があるとも記している——この2つの数値の併記は資料自体の記述であり、本ページも単純化せずそのまま両方を掲載する。この期間中、果実は次の4段階を経て成熟する。
STAGE 1・開花後1〜7週(0〜50日)
緩成長期
成長は緩やかで、実の大きさはマッチ棒の先端ほどしかない。
STAGE 2・開花後8〜17週(50〜120日)
急成長期
実が急速に大きくなる段階。種子はまだゼラチン状の柔らかい状態。
STAGE 3・開花後18〜25週(120〜180日)
種子の充実期
種子の発達が進み、固形の質感になり重量が増していく。
STAGE 4・開花後26〜32週(180〜224日)
生理的成熟・成熟開始
果実は生理学的に成熟した状態に達し、色づき(成熟)が始まる。
32週(224日)以降
過熟・乾燥
それ以上木に残すと実は過熟状態になり、濃い紫色に変わり、最終的には乾燥していく。
「開花から8〜9ヶ月」という一般的な言い方との関係。 「コーヒーができるまで」の全体像ページ ではこれまで「開花から約8〜9ヶ月でチェリーが完熟する」という業界での一般的な言い方を、一次資料未確認の基礎知識として記載していた。今回確認できたWCRの数値(平均32週間=約7.4ヶ月、幅を取ると220〜280日=約7.2〜9.2ヶ月)はこの一般的な言い方とおおむね整合するため、本ページの一次資料に基づく数値で置き換える。
03
今後追加すべき項目
開花を引き起こすトリガー(雨や乾季明けとの関係)。 「乾季のあとにまとまった雨が降ると開花が誘発される」という説明は業界でよく語られるが、本ページが参照したWCRのナーサリー資料は種子生産者向けの生理学解説にとどまり、開花トリガーそのものへの言及は確認できていない。7団体 のいずれかで裏付けが取れ次第追記。
ピーベリーの成因。 上記の note で触れた通り、一般知識としては広く知られるが一次資料未確認。
品種・地域による開花・結実期間の違い。 本ページの数値はWCRの資料が示す平均的な値。品種別・産地別の差異は今後の課題。
前の工程 苗木の生育
コーヒーができるまで 全体の流れ
この先の工程 収穫
栽培 シェード栽培(日陰樹)
World Coffee Research「Good Practice Guide: Coffee Nursery Management」(2022年6月15日更新)Module 2 - Sexual Reproduction, Section A「Physiology of Coffee」(花芽の分布・自家受粉率・結実4段階のタイムライン)