HACHIMARU COFFEE ROASTERY
用語集 / Sensory Lexicon

用語集一覧

「フルーティー」「フローラル」「ナッツのような」——コーヒーの味を語る言葉は、感想として使われるかぎり人によって意味がずれる。World Coffee Research(WCR)の Sensory Lexicon は、この曖昧さを実験室の手続きに落としたもので、用語ごとに実際に嗅いだり口に入れたりできる参照物質(レファレンス)と、0〜15点の強度スコアを対応させている。当サイトは各用語をこの資料に基づいて1ページずつ掲載している。

掲載用語
109ページ(全17カテゴリ収録)
Lexicon全体
110属性
準拠版
Version 2.0(2017)
強度スケール
0〜15点
01

掲載用語の一覧

All Terms / 109ページ・カテゴリ別

Sensory Lexicon は属性を17のカテゴリに分けている。当サイトは2026年8月16日に原典の目次に挙がる全カテゴリ・全属性の収録を完了した——どのカテゴリでも、定義と参照物質と強度スコアを並べて比べられる。並び順は原典の目次どおり。棒は0〜15点スケール上の位置を示す。

ページ数が109で、原典が述べる「110属性」と1つ違う理由。Sweet・Sour・Bitter・Salty の4語は2つのカテゴリに重複して掲載されている(Taste Basics と Sweet/Sour/Acid/Chemical)ため、当サイトでは1ページに統合し、表では最初のカテゴリに置いている。②原典はAmplitude というカテゴリ自体にも定義文を与えており、これを1属性として数えるかどうかで総数が1つ動く。個別の属性名としては、目次に挙がるものをすべて収録している。

カテゴリ用語レファレンス(参照物質)強度スコア(0〜15)
Taste Basics
(基本の味)
全4属性そろい
甘味1.0%ショ糖溶液フレーバー1.0
酸味0.015% クエン酸溶液/0.05% クエン酸溶液/FlavorActiV「sour」(クエン酸)(スコアなし)フレーバー1.5・3.5
苦味0.01% カフェイン溶液/0.02% カフェイン溶液/0.035% カフェイン溶液/0.05% カフェイン溶液/FlavorActiV「bitter」(イソアルファ酸)(スコアなし)フレーバー2.0・3.5・5.0・6.5
塩味0.15% 塩化ナトリウム溶液/FlavorActiV「salty」(塩化ナトリウム)(スコアなし)フレーバー1.5
Fruity
(フルーティー)
全23属性そろい
フルーティーJuicy Juice 100%ジュース キウイストロベリー(1:1希釈)/Le Nez du Café no.17「apple(リンゴ)」アロマ3.0・7.0/フレーバー4.0
ベリー様Private Selection トリプルベリー・プリザーブ(ジャム)/Welch's 無濾過100%ジュース ブラックベリーアロマ10.0/フレーバー7.5・9.0
イチゴDole 冷凍ホールストロベリー(All Natural)アロマ13.0/フレーバー6.0
ラズベリーJell-O ラズベリー(ゼリーの粉、乾燥状態)フレーバー6.5
ブルーベリーOregon Fruit Products ブルーベリーのライトシロップ漬け(缶詰)のシロップアロマ6.5/フレーバー6.0
ブラックベリーSmucker's ブラックベリージャムフレーバー5.5
ドライフルーツSunsweet Amaz!n プルーンジュース(1:2希釈)/Sun-Maid レーズンと Sun-Maid プルーンの混合アロマ3.0・5.0/フレーバー4.5・6.0
レーズンSun-Maid レーズンアロマ6.0/フレーバー5.5
プルーンSun-Maid プルーンアロマ4.5/フレーバー5.0
その他の果実Le Nez du Café no.17「apple(リンゴ)」アロマ7.0
リンゴLe Nez du Café no.17「apple(リンゴ)」/Gerber 2nd Foods アップルソース(離乳食)/FlavorActiV「apple」(ヘキサン酸エチル)(スコアなし)アロマ5.0/フレーバー6.0
洋ナシJumax 洋ナシネクター(缶)フレーバー7.5
モモ生のモモの種(きれいに洗ったもの)/Jell-O ピーチ(ゼリーの粉、乾燥状態)アロマ8.0/フレーバー7.0
ブドウWelch's 100%ジュース 無濾過コンコードグレープ(1:1希釈)/FlavorActiV「grape」(アントラニル酸メチル)(スコアなし)フレーバー5.0
チェリーR.W. Knudsen Just タルトチェリージュース(1:2希釈)フレーバー4.0
ザクロR.W. Knudsen オーガニック Just ザクロジュースアロマ5.5/フレーバー7.5
ココナッツココナッツの模造エッセンス/FlavorActiV「coconut」(ウイスキーラクトン)(スコアなし)アロマ7.5
パイナップルDole パイナップルジュース(缶詰、水で1:1に希釈)/FlavorActiV「pineapple」(酪酸エチル)(スコアなし)アロマ6.5/フレーバー6.0
柑橘レモンの皮とライムの皮/グレープフルーツの皮/Five Alive シトラス(冷凍濃縮果汁)アロマ4.5・7.5/フレーバー6.5
レモン生のレモン果汁(1:4希釈)/Le Nez du Café no.15「lemon(レモン)」アロマ5.0・5.5/フレーバー7.0
グレープフルーツOcean Spray 100%ホワイトグレープフルーツジュース/Kroger 100%ホワイトグレープフルーツジュースフレーバー11.0・13.5
オレンジTropicana ピュアプレミアム オリジナル 100%オレンジジュース(果肉なし)フレーバー10.0
ライムライムの皮/ReaLime 100%ライム果汁アロマ6.5/フレーバー7.0
Sour/Acid
(酸味系)
全6属性そろい
サワー・アロマティクスBush's ピント豆(缶詰)アロマ2.0
酢酸0.5% 酢酸溶液/1.0% 酢酸溶液/2.0% 酢酸溶液/FlavorActiV「acetic」(酢酸)(スコアなし)アロマ2.0・2.5・3.0/フレーバー2.0・3.0・4.5
酪酸0.4 µl/L 酪酸溶液/FlavorActiV「butyric」(酪酸)(スコアなし)アロマ2.5/フレーバー3.0
イソ吉草酸0.2 µl/L イソ吉草酸溶液/FlavorActiV「isovaleric (cheese)」(イソ吉草酸)(スコアなし)アロマ3.0/フレーバー4.0
クエン酸0.025%/0.05%クエン酸溶液フレーバー2.5/3.5・アロマ0.0
リンゴ酸0.5 g/L リンゴ酸溶液/1.0 g/L リンゴ酸溶液フレーバー3.0・5.0
Alcohol/Fermented
(アルコール・発酵様)
全5属性そろい
アルコールAbsolut ウォッカ(80プルーフ)アロマ5.0
ウイスキーJack Daniel's Tennessee Whiskey Old No. 7アロマ5.5
ワイン様Yellow Tail カベルネ・ソーヴィニヨンアロマ10.0
発酵Guinness Extra Stout ビール/発酵させた草/FlavorActiV「fermented」(イソ吉草酸エチル)(スコアなし)アロマ5.0・7.0
過熟過熟したバナナアロマ6.5/フレーバー6.5
Green/Vegetative
(青臭さ・植物的)
全11属性そろい
オリーブオイルBertolli エクストラバージンオリーブオイルアロマ8.5
Fisher 生の皮つきアーモンドフレーバー3.0
未熟グレープフルーツの皮アロマ7.5
サヤエンドウLe Nez du Café no.3「garden peas(グリーンピース)」/FlavorActiV「under-ripe fruit」(アセトアルデヒド)(スコアなし)アロマ7.0
青さパセリ水(生パセリ25gを刻んで水300mLに15分浸し、こしたもの)アロマ9.0/フレーバー6.0
フレッシュ新鮮な青草/FlavorActiV「freshly cut grass」(cis-3-ヘキサノール)(スコアなし)アロマ7.0
ダークグリーンGreen Giant カットインゲン豆(缶詰)の漬け汁/Del Monte リーフスピナッチ(缶詰)の漬け汁アロマ5.0・7.0/フレーバー6.0
植物的カットアスパラガス(缶詰)フレーバー6.0
干し草様McCormick パセリフレーク(乾燥パセリ)アロマ7.5
ハーブ様McCormick ローリエ・タイム(粉末)・バジルの葉の混合アロマ6.0/フレーバー5.0
豆っぽいBush's ピント豆(缶詰)アロマ7.0/フレーバー7.5
Stale/Papery
(気の抜けた・紙のような)
全3属性そろい
気の抜けたMama Mary's グルメ オリジナル ピザクラストアロマ4.5/フレーバー4.0
紙のようなPure Brew コーヒーフィルター(煮出した液)/FlavorActiV「papery」(trans-2-ノネナール)(スコアなし)フレーバー2.5
段ボール段ボール(水に浸したもの)アロマ7.5
Earthy
(土っぽさ)
全7属性そろい
カビ臭・土っぽいMiracle-Gro ポッティングミックス(園芸用の土)/Le Nez du Café no.1「earthy(土っぽい)」/FlavorActiV「wet earthy」(2-エチルフェンチョール)(スコアなし)アロマ9.0・12.0
カビ臭・ほこりっぽいKretschmer 小麦胚芽(ウィートジャーム)/2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒド/FlavorActiV「dry earth」(ジェオスミン)(スコアなし)アロマ5.0・10.0
カビ・湿った2-エチル-1-ヘキサノール(10,000 ppm)/2,3,5,6-テトラクロロアニソール/FlavorActiV「moldy-damp」(2,4,6-トリクロロアニソール)(スコアなし)アロマ6.0・10.0
フェノール様フェニル酢酸/FlavorActiV「medicinal (o-cresol)」(メチルフェノール)(スコアなし)アロマ6.0
動物的無香料のゼラチン(水に溶かしたもの)アロマ3.0
肉・だし様記載なし参照・スコアの記載なし
木質的Diamond 殻むきクルミ/アイスキャンディーの棒(木のスティック)アロマ4.0・7.5/フレーバー4.0
Chemical
(化学的)
全4属性そろい
消毒薬様ヨード(ヨードチンキ)/アルコール/Le Nez du Café no.35「medicinal(薬品)」/Band-Aid プラスチックストリップ(絆創膏)アロマ3.0・5.0・6.0
ゴムA&W 輪ゴムアロマ5.0
石油様ワセリン(Vaseline ペトロリュームジェリー)/FlavorActiV「diesel/motor fuel」(p-シメン)(スコアなし)アロマ3.0
スカンク様ラテックスの風船アロマ2.5
Roasted
(焙煎香)
全8属性そろい
タバコLe Nez du Café no.33「pipe tobacco(パイプタバコ)」/Camel シガレット(トルコ・国産ブレンド)/葉巻のたばこ/無香料のパイプたばこアロマ5.0・7.0・10.5
パイプタバコCarter Hall パイプタバコアロマ6.5
刺すような焦げ臭Alf's Natural Nutrition レッドウィートシリアル/Wright's リキッドスモーク メスキートアロマ3.0・9.5/フレーバー3.0
灰っぽいGerkens 10/12 ミッドナイトブラック(強アルカリ処理のココアパウダー)/二硫化ベンジル/紙の灰アロマ2.5・4.0/フレーバー3.5
焦げ二硫化ベンジル/生の皮むきピーナッツを焙焼しすぎた状態(20分)/Alf's Natural Nutrition レッドウィートシリアルアロマ4.5・8.0/フレーバー3.0・7.5
スモーキー二硫化ベンジル/Diamond スモークアーモンド/木の灰アロマ3.5・5.0・6.0/フレーバー5.0
焙煎香生の皮むきピーナッツを軽く焙焼(7分)/生の皮むきピーナッツを中程度に焙焼(10分)/生の皮むきピーナッツを深く焙焼(15分)/生の皮むきピーナッツを焙焼しすぎた状態(20分)フレーバー2.5・6.5・9.5・15.0
ブラウン・ローストBush's ピント豆(缶詰)/C&H ピュアケーンシュガー ゴールデンブラウン(ブラウンシュガー)アロマ3.0・6.0/フレーバー3.0・7.0
Cereal
(穀物)
全2属性そろい
穀物General Mills ライスチェックス、General Mills ウィーティーズ、Quaker クイックオーツの混合アロマ5.0/フレーバー8.0
モルトPost グレープナッツ シリアルアロマ3.5/フレーバー8.0
Spices
(スパイス)
全7属性そろい
刺激感Majestic Mountain Sage オレンジ精油(ブラジル産)を3%ショ糖溶液に落としたものアロマ5.0
コショウMcCormick 黒コショウ(粉末)アロマ13.0
アニスTone's ピュアアニスエキストラクトアロマ7.5
ナツメグMcCormick ナツメグパウダーアロマ9.0
ブラウンスパイスPrivate Selection シナモンスティック/Private Selection ナツメグ(丸ごと)と Private Selection クローブ(丸ごと)/シナモン・オールスパイス・ナツメグ・クローブの粉末混合/FlavorActiV「phenolic」(4-ビニルグアイアコール)(スコアなし)アロマ3.0・7.0・10.5
シナモンMcCormick シナモンパウダーアロマ13.0
クローブLe Nez du Café no.7「clove(クローブ)」アロマ6.5
Nutty
(ナッツ様)
全4属性そろい
ナッツ様Le Nez du Café no.29「roasted hazelnuts(焙煎ヘーゼルナッツ)」/Diamond スライスアーモンド と Diamond 殻むきクルミの混合アロマ7.5/フレーバー7.5
アーモンドLe Nez du Café no.27「roasted almonds(焙煎アーモンド)」/FlavorActiV「almond」(ベンズアルデヒド)(スコアなし)アロマ7.0
ヘーゼルナッツLe Nez du Café no.29(アロマ)/McCormick模造ヘーゼルナッツエキス(牛乳希釈)アロマ5.5/フレーバー3.5〜6.0
ピーナッツ生の皮むきピーナッツ(バルク)を焙焼したものアロマ8.5/フレーバー7.5
Cocoa
(ココア様)
全3属性そろい
チョコレートNestlé Toll House セミスイート・チョコレートモーセル(チョコチップ)アロマ8.0/フレーバー7.5
ココアHershey's ココアパウダー(ナチュラル・無糖)を水に溶いたものアロマ7.5/フレーバー5.0
ダークチョコレートLindt Excellence 90%カカオ/Dove Promisesアロマ6.0/フレーバー8.5・11.0
Sweet
(甘さ)
全9属性そろい
糖蜜Grandma's オリジナル糖蜜(無硫化)アロマ6.5/フレーバー6.5
メープルシロップLe Nez du Café no.24「maple syrup」/Maple Grove Farms ピュアメープルシロップ(ミディアムアンバー)アロマ7.0/フレーバー5.0
ブラウンシュガーC&H ピュアケーンシュガー ゴールデンブラウンアロマ6.0/フレーバー5.0
カラメル化Le Nez du Café no.25「caramel」/C&H ピュアケーンシュガー ゴールデンブラウン(薄い溶液)/白砂糖をカラメル化させたものアロマ8.0/フレーバー2.5・4.5・7.5
ハチミツBusy Bee ピュアクローバーハニーアロマ6.0/フレーバー6.5
バニラLe Nez du Café no.10「vanilla」/Spice Islands ブルボンバニラビーンズ/McCormick ピュアバニラエキストラクト(全乳に溶いたもの)アロマ2.5・5.5/フレーバー3.0
バニリンFisher Scientific バニリン/FlavorActiV「vanilla」(バニリン)(スコアなし)アロマ6.0
甘い香りFisher Scientific バニリン(0.5グラム/250mL)/Nabisco ローナ・ドゥーン クッキーアロマ5.0・7.0/フレーバー5.0
総合的な甘さPost シュレッデッドウィート/General Mills ウィーティーズ/Nabisco ローナ・ドゥーン クッキーフレーバー1.5・3.0・5.0
Floral
(フローラル)
全5属性そろい
フローラルWelch's 100%ホワイトグレープジュース/カーネーションの精油(エッセンスオイル)/Le Nez du Café no.12「coffee blossom(コーヒーの花)」/FlavorActiV「rose/floral」(ゲラニオール)(スコアなし)アロマ6.0・7.5・8.0/フレーバー5.0
バラローズウォーター(バラ水)アロマ5.0
ジャスミンジャスミンエキス/FlavorActiV「indole」(スコアなし)アロマ8.5
カモミールCelestial Seasonings カモミールティーアロマ5.0/フレーバー5.0
紅茶Lipton ブラックティー(茶葉)アロマ8.0/フレーバー7.0
Amplitude
(全体の印象)
全4属性そろい
総合的なインパクトGevalia Kaffe トラディショナルロースト(粉)を抽出したもの/Folgers クラシックロースト(粉)を抽出したもの/Folgers クラシックロースト(インスタントコーヒーの顆粒)フレーバー7.5・9.0・12.0
まとまりFolgers クラシックロースト(インスタントコーヒーの顆粒)/Folgers クラシックロースト(粉)を抽出したもの/Gevalia Kaffe トラディショナルロースト(粉)を抽出したものフレーバー3.0・6.0・10.0
持続性Gevalia Kaffe トラディショナルロースト(粉)を抽出したもの/Folgers クラシックロースト(粉)を抽出したもの/Folgers クラシックロースト(インスタントコーヒーの顆粒)フレーバー7.5・9.0・12.0
ボディ(フルネス)Folgers クラシックロースト(インスタントコーヒーの顆粒)/Folgers クラシックロースト(粉)を抽出したもの/Gevalia Kaffe トラディショナルロースト(粉)を抽出したものフレーバー5.0・7.5・10.0
Mouthfeel
(口当たり)
全4属性そろい
口の乾き0.05%ミョウバン水溶液/0.07%ミョウバン水溶液フレーバー2.5・3.5
とろみ5%ショ糖水溶液/Campbell's トマトジュースフレーバー2.0・4.0
金属的0.10%塩化カリウム水溶液フレーバー1.5
オイリーHorizon Organic 低脂肪(1%)超高温殺菌乳/Kroger ハーフ&ハーフフレーバー3.0・6.0
「強度スコア」が意味するもの。 この数値は「そのレファレンス(参照物質)を0〜15点のスケール上で評価したときの強度」であり、その用語で表されるコーヒーの品質の高さではない。原典が示すスケールの目盛りは 0=なし/2=かろうじて感知できる/4=識別できるが弱い/6=わずかに強い/8=中度に強い/10=強い/12=非常に強い/15=極端に強い の8点である。したがって「カビ臭・土っぽい 12.0」は、その参照物質の匂いが非常に強いという意味であって、コーヒーとして高評価という意味では当然ない。また属性によって、アロマ(香り)を測っているものとフレーバー(口に入れたときの風味)を測っているものがあり、各ページで区別して記載している。
⭐ 同じ物質でも「嗅ぐとき」と「口に入れるとき」で点数が違う。 レキシコンは参照ごとにアロマ用かフレーバー用かを明示していて、同じ参照物質でも数値が変わる。たとえばココアはまったく同じ濃度の液体でアロマ7.5・フレーバー5.0、ダークチョコレートは同じLindtでアロマ6.0・フレーバー11.0と逆向きの差になる。数値を引用するときは、どちらの数値かを必ず添える必要がある。上の表でも両方ある属性は併記している。
⭐ 同じ参照物質が、別々の属性の物差しを兼ねることがある。 ヘーゼルナッツのアロマ参照 Le Nez du Café no.29 は、総称属性のナッツ様のアロマ参照でもあるが、点数はヘーゼルナッツ5.5・ナッツ様7.5と別である。ピーナッツの焙焼ピーナッツも、原典に「PeanutとRoastedの両方の属性の参照として使われる」と明記がある。参照物質・属性名・点数は三点セットで意味を持つということで、「no.29=7.5」のように参照物質だけで点数を語ることはできない。
単一の値を持たない属性について(2026-08-15に1件解決)。 スモーキーは長らく「単一の強度スコアが特定できず・要調査」としていたが、原典PDFを全文で確認して各レファレンスのスコア(アロマ3.5/アロマ6.0/フレーバー5.0)が判明した。単一の値が存在しないのは正しく、それは不明だからではなく参照物質が複数あるためだった、というのが結論である。ボディ/総合的な印象は、固定のレファレンスと点数を持つのではなく比較サンプルによる相対評価の属性で、こちらは引き続き数値なし。ヘーゼルナッツは希釈濃度によって幅があるため範囲のまま、オイリーは2つの参照物質と点数の組をそれぞれ掲載している。
02

読むときに注意する点

Caveats
訳は当サイトによるもの。 各ページの定義文は WCR Sensory Lexicon の英語原文(Version 2.0・2017年)から当サイトが訳したものであり、WCR公式の日本語訳ではない。WCRは日本語版・中国語版のPDFも配布しているが、日本語・中国語になっているのは序文までで、110属性の定義・レファレンス・調製手順の本体はいずれも英語のままである(2026-08-15に実物で確認)。つまり属性ごとの公式な日本語訳語は存在しないため、当サイトの訳語は英語原文からの自前の訳である。
品種カタログの「〜のような香り」とは別の文脈。 たとえばWCRの品種カタログはゲイシャについて「jasmine(ジャスミン)」のような香りを持つと記しているが、これはその品種の一般的な香り傾向を示す定性的な記述であって、個々のロットがジャスミンの強度スコア8.5を示すという意味ではない。強度は焙煎・精製・個体差によって変動する。詳しくはジャスミンのページで扱っている。
同名だが無関係:「ハニー」。 用語集のハチミツ(Honey)はフレーバー属性の名前であり、精製方法のハニープロセスとは無関係の別概念である。名前が同じために混同されやすいため、両ページに相互のリンクと注記を置いている。
⭐ Green/Vegetative がそろって見えてきたこと(2026-08-16)。 このカテゴリは「同じ材料の状態違い」で属性が分かれている——パセリは生(水にして青さ9.0)と乾燥(干し草様7.5)草は刈りたて(フレッシュ7.0)と2週間発酵させたもの(発酵7.0)アーモンドは生(3.0)と焙煎(アーモンド7.0)材料そのものより、火の入れ方・乾かし方・時間の置き方が属性を決めている。コーヒーの工程(乾燥・発酵・焙煎)が香りを作るという話と、参照物質の作り方が同じ論理でできていることになる。
⭐ Fruity がそろって見えてきたこと(2026-08-16)。 強度スケールの上限近くを占めているのは、この23属性である——グレープフルーツのフレーバー13.5イチゴのアロマ13.0オレンジベリー様10.0。しかも同じ「100%ホワイトグレープフルーツジュース」でも、Ocean Sprayは11.0、Krogerは13.5と2.5も違う——レキシコンはこれを平均せず両方を登録している。参照物質とは「銘柄まで含めて指定されたもの」であって、果物の名前ではない。
⭐ 同じ物質が複数の属性に登録される、そのパターンが3種類そろった。点数まで完全に同じ——柑橘未熟は、どちらも「グレープフルーツの皮0.25g・アロマ7.5」で一致する。②物質は同じで点数が違う——Le Nez du Café no.17「apple」はフルーティーその他の果実で7.0、リンゴで5.0。③点数が大きく違う——Bush's ピント豆はサワー・アロマティクスで2.0、豆っぽいで7.0。点数は物質に付くのではなく、物質と属性の組み合わせに付く。
⭐ 全カテゴリがそろって見えてきたこと(2026-08-16)。 強度スケールの上限15.0を実際に使っている属性は、焙煎香ひとつだけである——425°Fで20分焙焼したピーナッツ。しかもまったく同じピーナッツが焦げとしては7.5にしかならない。上位はグレープフルーツ13.5、イチゴコショウシナモン13.0、カビ臭・土っぽい12.0と続き、最も低いのは金属的総合的な甘さの1.5果実・スパイス・焙煎・土っぽさが上限側を、金属や紙のような微弱な感覚が下限側を占めている。
⭐ 参照物質は食品とは限らない。 園芸用の土(カビ臭・土っぽい)、輪ゴム(ゴム)、ラテックスの風船(スカンク様)、絆創膏(消毒薬様)、段ボール(段ボール)、コーヒーフィルターを煮出した水(紙のような)、アイスキャンディーの棒(木質的)——口に入れないものも正式な参照として登録されている。逆にAmplitudeの4属性だけは、参照が実際に淹れた市販のコーヒーそのものである。
03

この語彙はどうやって作られたのか

SOURCE: WCR SENSORY LEXICON v2.0 序文

「誰かが決めた感想リスト」ではなく、感覚科学の手続きで作られた測定用の道具である。原典の序文がその過程を具体的に書いているので、要点をまとめておく。

作った場所
カンザス州立大学 Sensory Analysis Center(Edgar Chambers IV 博士の研究室)。検証はテキサスA&M大学(Rhonda Miller 博士の研究室)が担当した
パネルの訓練
感覚科学者10名が、コーヒーのコンサルタントのもとで50時間以上の訓練を受けた
評価した量
13か国105点のコーヒーサンプルを、のべ100時間以上かけて評価
属性数の変化
第1段階で74属性を検出 → その後のセッションを経て110属性
決め方
全員一致(consensus)。属性名・定義・レファレンス・強度スコアのいずれも、パネル全員が合意しなければ採用されない
業界の関与
カップ・オブ・エクセレンスのテクニカルディレクター Paul Songer 氏がサンプル準備と業界ワークショップを調整した(→COEページ
評価は「無言で」行われる。 原典によれば、訓練されたパネルが1サンプルを35〜40属性について評価するのに約15分。コーヒーは他の食品に比べて苦味が強いため、感覚の疲労を避けて1セッションあたり4〜6サンプル(1.5〜2時間)にとどめる。統計的な妥当性のため各サンプルを3回、どれがどれか分からない状態(ブラインド)で評価する。アロマは3〜4回の短い吸気で嗅ぎ、アフターテイストは15秒待ってから判断する。評価の前には2〜3回のオリエンテーションを行い、パネル全員の基準を合わせる。
「生きた文書」であり、参照物質は差し替えられる。 原典は自らを living document と位置づけ、属性やレファレンスの追加提案を受け付ける手続き(提案に必要な項目、審査の流れ)まで公開している。実際にナッツ様の参照は、開発の途中で「アーモンド+ヘーゼルナッツ」から「アーモンド+クルミ」に差し替えられた。第2版(2017年)の主な変更は、24属性に世界中で入手できる新しい参照物質(英国FlavorActiV社製)を追加したことで、当サイト掲載分ではアーモンドジャスミンサヤエンドウカビ臭・土っぽいなどが該当する。原文は「常温保存でき、食品として安全で、世界中で手に入るフレーバー用の参照は、コーヒーにはこれまで存在しなかった」と説明している。
04

100年かけて30語から110語へ

SOURCE: SCA「Coffee Decoded」コラム(Peter Giuliano)

この語彙集は突然できたものではない。SCAの解説コラムは、コーヒーの風味を表す共通語彙が100年かけて整えられてきた経緯を3つの節目で示している。

資料収録語数
1922年ウィリアム・ユーカーズ『All About Coffee』
コーヒーの基礎文献。同じ本が複数のコーヒーの種にも言及している
約30語
1980年代初頭テッド・リングル『The Coffee Cupper's Handbook』161語
2015年World Coffee Research と Dr. Edgar Chambers による WCR Coffee Lexicon。より体系的な手法で作られ、SCA/WCRのフレーバーホイールの原典になった110語
⭐ 2015年版の決定的な前進は「参照物質」だった。 SCAはこう書いている——「この文書は大きな前進だった。初めて、すべての用語に『レファレンス』が結びついた。その用語に一度も出会ったことがない人でも、実際に嗅いでその意味を学べる特定の物質である」。当サイトが各用語ページで参照物質と調製手順を必ず併記しているのは、この設計をそのまま反映したものである。
⭐ 香りの言葉が少ないのは、コーヒーだけの問題ではない。 SCAによれば、基本の味の言葉(甘い・酸っぱい・塩辛い・苦い・うま味)は刺激そのものを直接指すのに対し、においを直接指す言葉はどの言語にもごくわずかしかない。英語で言えば「stinky(くさい)」「fragrant(かぐわしい)」程度で、あとは「玉ねぎのにおいがする」のように、原因や比較でしか言えない。マレーシアやタイの一部の先住民言語には直接的な嗅覚語が約12語あることが知られているが、それでも鼻が感じ取れる刺激の数には遠く及ばない。感じ取れる数が多すぎて、逆に個別の言葉が育たなかった——というのがSCAの見立てである。
⭐ 「比較の言葉」と「原因の言葉」は別物である。 SCAは、コーヒーを「フローラル」「桃のノート」と言うとき実際に花や桃が入っているのではなく、それらを思い出させる香りがあると言っている(=比較の言葉)のに対し、「発酵(fermented)」「未熟(underripe)」と言うときは、においの原因そのものを述べていることがある(=原因の言葉)と区別している。当サイトが発酵過熟のページで「精製工程の発酵と原典は結びつけていない」とわざわざ書いているのは、まさにこの二種類が混ざりやすいためである。「アーモンドのノート」と言われたコーヒーにナッツが入っているのか?——SCA自身がこの問いを、語彙の混乱の例として挙げている。
⚠️ SCAとWCRは、この語彙集とフレーバーホイールの改訂を表明している。 SCAのコラムは「SCAとWCRは最近、より地球規模の視点でレキシコンとホイールを改訂する意向を発表した。特定の国に固有の用語を減らし、より普遍的な用語を増やそうとしている」と記している。当サイトの用語集はVersion 2.0(2017年)に基づいており、改訂版が出れば内容が変わる可能性がある。改訂の時期・範囲は今回の資料からは分からない。
05

SCAには、練習用の「嗅覚サンプル集」がある

SOURCE: SCA「Olfactory Example Library」

WCRのレキシコンとは別に、SCAが練習用の嗅覚サンプルの一覧を公開していることを確認した。カッピングの研修で使う「コーヒーによくある香りに似た食品や物」を集めたもので、当サイトが以前「所在が確認できない」としていた資料にあたる。

項目内容
名称Olfactory Example Library(英語版)。SCAの解説コラムからリンクされている表形式の公開資料
収録項目Main Category(Floral・Fruity・Sour・Fermented・Roasted・Spices・Nutty・Cocoa・Sweet・Chemical・Brown Sugar・Other 等)/Subcategory/Example(サンプル名)/How to Prepare(調製手順)Suggested Brands(推奨銘柄)
サンプルの内訳市販の香りキットが中心で、当サイトが画面上で確認できた範囲では Le Nez du Café(2.0/Revelation)が最多、次いで FlavorActiVThe Coffee Sensorium Flavour KitScentone T100Le Nez du Vin。これに白ぶどうジュース・ジャスミン緑茶・各種シロップ・柑橘の皮といった身近な食品が加わる
WCRレキシコンとの最大の違い強度スコアが無い。「何のにおいか」を揃えるための資料であって、「どれくらい強いか」の物差しではない
⭐ 同じ参照物質が、目的の違う2つの資料に別の形で載っている。 たとえば白ぶどうジュースは、WCRレキシコンではフローラルの参照として「1:1に希釈してアロマ6.0」と定められている。一方SCAの嗅覚サンプル集での記載は「ジュースをプラスチックまたはガラスのカップに入れて蓋をする」+推奨銘柄(Welch's ホワイトグレープジュース)で、希釈の指定もスコアも無い測るための資料と、覚えるための資料の違いがここに出ている。ジャスミンのFlavorActiV「indole」やバラなど、当サイト掲載の用語と重なる項目も多い。
この資料についての開示。 当サイトはこの一覧をSCAの解説コラムからのリンクをたどって画面上で確認したもので、全項目を取得したわけではない(一覧は画面をスクロールしながら読み込む形式のため、上記の内訳は確認できた範囲の集計である)。項目数の正確な総数、日本語版の有無は未確認。
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今後追加すべき項目

  1. World Coffee Research「Sensory Lexicon Unabridged Definition and References」Version 2.0(2017年)
  2. 各用語のレファレンス・強度スコアは、リンク先の各ページに記載した同資料からの抜粋。個別の注記はそれぞれのページに記載
  3. 同「Sensory Lexicon」日本語版・中国語版PDF(いずれも First Edition・2016年)— 序文のみ各言語、属性本体は英語であることの確認に使用
  4. 上記3点はいずれも worldcoffeeresearch.org の Sensory Lexicon 配布ページから無償で入手できる(個人利用の範囲での印刷・利用が認められている)
  5. 一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会 公式サイト「SCAJについて>概要」沿革欄(2016年の項、2026年8月15日確認)
  6. SCA「Coffee Decoded: Smellwords」(Peter Giuliano, SCA Senior Advisor for Scientific Communication)— 語彙整備の年表(1922年ユーカーズ約30語/1980年代初頭リングル161語/2015年WCR・Chambers 110語)、嗅覚語の少なさ、比較の言葉と原因の言葉の区別、レキシコンとフレーバーホイール改訂の表明
  7. SCA「Olfactory Example Library: English」(上記[6]のコラムからリンクされている公開一覧、2026年8月16日確認)— カテゴリ構成、調製手順と推奨銘柄という項目立て、強度スコアを持たないこと