産地 / Origins
産地一覧
コーヒーは赤道をはさんだ「コーヒーベルト」——FAOの記述では北緯25度から南緯25度の範囲——の中でしか、基本的に栽培できない。当サイトでは23か国の産地ページを、中南米カリブ・アフリカ・アジア中東太平洋の3地域に分けて掲載している。各ページには位置を示すロケーター地図、輸出統計、主な品種、カップ・オブ・エクセレンスの開催状況などをまとめている。
- 掲載産地
- 23か国
- 中南米・カリブ
- 12か国
- アフリカ
- 6か国
- アジア・中東・太平洋
- 5か国
01
コーヒーベルト
The Coffee Belt / 北緯25度〜南緯25度コーヒーの産地が世界地図の上で帯のように並ぶのは偶然ではない。コーヒーノキは熱帯の植物で、栽培できる緯度がはじめから決まっている。FAO(国際連合食糧農業機関)の資料は、その範囲をはっきり数字で示している。
Primary source quote
"Coffee is a tropical plant which grows between the latitudes of 25 degree north and 25 degree south."
当サイトに産地ページのある23か国
コーヒーベルト(北緯25度〜南緯25度)
その他の陸地
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ただしFAOの記述の後半、「商業的な栽培には非常に特定的な環境条件が必要」という但し書きの方が実務的には重い。ベルトの中に入っていることは必要条件にすぎず、それだけでコーヒーが育つわけではない。同じ資料は、必要な条件を次のように挙げている。
| 条件 | アラビカ種 | カネフォラ種(いわゆるロブスタ) |
|---|---|---|
| 理想的な平均気温 | 15〜24℃ | 24〜30℃ |
| 低温への耐性 | 短期間であれば15℃を下回っても耐えられる | 15℃を大きく下回る温度には耐えられない |
| 栽培標高 | より高い標高を好み、丘陵地で栽培されることが多い | 海面から約800mまで |
| 年間降水量 | 一般に1,500〜3,000mm(アラビカ種は他の種より少なくてよい) | |
| 霜(frost) | すべてのコーヒーが霜で容易に傷む。ブラジル南部、または赤道近くでも標高2,000m前後で危険がある | |
| 土壌 | 良好な排水が必須。深さ・pH・鉱物含有量が異なる土壌でも、適切な施肥があれば栽培できる | |
「緯度が上がるほど標高は下げられる」という関係。 同資料は「As altitude relates to temperature, Arabica can be grown at lower levels further from the Equator, until limited by frost(標高は気温と結びついているため、アラビカ種は赤道から離れるほど低い標高でも栽培できる。ただし霜に制限されるまで)」と記している。つまり「高地であること」自体が目的ではなく、適した気温を得る手段のひとつが標高であり、赤道からの距離でも代替できるという関係になる。標高と品質の関係は各産地ページ・品種ページの最適標高欄も参照。
数字の幅について開示。 「コーヒーベルト」の範囲は資料によって幅があり、北緯・南緯25度とするもの、回帰線(およそ緯度23.4度)で区切るもの、北緯25度〜南緯30度とするものなどが見られる。当サイトはFAOの上記記述に従って北緯25度〜南緯25度を採用し、地図もその数字で描いている。なお「コーヒーベルト」「ビーンベルト」という呼称そのものを定義した一次資料(WCR・SCA・CQI・ACE/COE・ICO・AJCA・SCAJのいずれか)は確認できていないため、呼称は業界で広く使われている通称として扱う。
02
中南米・カリブ
Latin America & Caribbean / 12か国アラビカ種の高品質産地が集中する地域。ブルボン・ティピカ系統の伝統品種と、さび病対策として導入された耐病性品種が併存する。
ブラジルBrazil世界最大のコーヒー生産・輸出国。
コロンビアColombia32州のうち23州でコーヒーが栽培される、高品質な水洗アラビカコーヒーの大国。
ホンジュラスHonduras中米最大のコーヒー輸出国。
グアテマラGuatemala1850年代から輸出が続く中米の伝統的高品質生産国。
ペルーPeruWorld Coffee Researchが「フェアトレード・オーガニック認証アラビカコーヒーの世界最大の生産国」と位置づける、ほぼ純粋なアラビカ産地。
ニカラグアNicaraguaコーヒーが農業GDPの2割超を占め、全農業雇用の約半分を支える中米の生産国。
コスタリカCosta Rica8つの指定栽培地域それぞれが独自のマイクロクライメートと風味プロファイルを持つ、中米の高品質アラビカ生産国。
メキシコMexico世界輸出上位10か国の一つ(WCR)。
エルサルバドルEl Salvador多様なマイクロクライメート(微気候)を背景に、マイクロロットや地理的表示による差別化を伴うスペシャルティコーヒー輸出市場を持つ。
エクアドルEcuador世界でもアラビカ種・ロブスタ種の両方を栽培・輸出する数少ない国の一つ(世界15か国のみとされる)。
パナマPanamaコスタリカ国境近くのチリキ州高地を中心に、少量・高付加価値のスペシャルティコーヒーに特化した生産国。
ジャマイカJamaica「ブルーマウンテン」の範囲を、政府が法令の附則で地名を結んだ境界線として定義している国。その定義に標高は出てこない。
03
アフリカ
Africa / 6か国アラビカ種(エチオピア)とロブスタ種(ウガンダ)双方の原産地を含む地域。在来種の遺伝的多様性がもっとも大きい。
エチオピアEthiopiaアラビカ種(Coffea arabica)そのものの原産地。
ウガンダUgandaICOの公式資料がロブスタ種そのものの原産地の一つと記す産地。2025年5月、アフリカ最大のコーヒー輸出国としてエチオピアを初めて上回った(WCR)。
ケニアKenya1908年から続く正式なコーヒー研究の歴史を持ち、SL28・SL34といった世界的に評価される品種を生んだ産地。
タンザニアTanzania「キリマンジャロ」の名で知られる、東アフリカのアラビカ産地。
ルワンダRwanda生産のほぼ全量がアラビカ種、しかもブルボン・ティピカといった伝統品種が中心という、東アフリカでも独特の構成を持つ産地。
コートジボワールCôte d'Ivoire西アフリカのロブスタ産地。
04
アジア・中東・太平洋
Asia, Middle East & Pacific / 5か国ロブスタ種の生産量が大きい地域。一方でパプアニューギニアのようにウォッシュド・アラビカに特化した産地もあり、アラビカ種が最初に商業栽培されたイエメンもこの区分に含めている。
このページの各カードの説明文は、それぞれの産地ページ本文からの抜粋。出典はリンク先の各ページ末尾に記載している。世界輸出ランキングは資料の年次・集計方法が国によって異なるため、ここでは並べず、産地別 輸出量・生産量ランキングと各産地ページに委ねている。
- FAO「Post Harvest Handling and Processing of Coffee in African Countries」(Joackim Mutua, FAO, 2000年12月)1.4 Ecology / 1.0 Introduction(栽培緯度・気温・降水量・標高・霜・土壌)
- Natural Earth(1:50m Admin 0 Countries、パブリックドメイン)— 地図の国境データ
- 各カードの説明文および各国のデータは、リンク先の産地ページ本文からの抜粋。個別の出典は各ページ末尾に記載