HACHIMARU COFFEE ROASTERY
当サイトについて / Sources

参照する一次資料団体(7団体)とは

当サイトは各ページで「7団体」という言い方を繰り返している。WCR / SCA / CQI / ACE / ICO / AJCA / SCAJ の7つのことで、記述の裏づけをこの範囲に絞るという方針を指す。ここでは、その7つがそれぞれどういう団体で何を公開しているのか、そして7団体で足りなかったときにどうするのかをまとめる。

軸とする団体
7団体
うち政府間機関
1(ICO)
うち日本の団体
2(AJCA・SCAJ)
使わないもの
個人ブログ・非公式サイト
01

なぜ範囲を絞るのか

コーヒーの情報は、同じ話題について正反対のことが書かれていることが珍しくない。 どれが正しいかを判断するより、「どこまで辿れるか」で線を引くほうが確実だと考えて、参照先をこの7団体に絞っている。
裏を返せば、7団体が扱っていない話題は当サイトでは薄くなる。それは弱点だが、隠さずにそう書く。実際、カーボニックマセレーションコールドアナエロビックのように「7団体のどこにも定義がない」ことそのものをページの中身にしている例がある。
02

7団体それぞれ

SOURCE: 各団体の公式サイト(2026年8月15日確認)
WCRワールド・コーヒー・リサーチWorld Coffee Research
性格
非営利の農業研究機関(米国 501(c)(5)、カリフォルニア州登録)。コーヒー業界自身が設立し、業界が出資している共同研究組織
目的
高品質で気候変動に強い品種の開発を業界全体のために進めること。「品質の高いコーヒーの供給を増やし・守り・高めると同時に、それを生産する家族の暮らしを向上させる」を掲げる
資金
ロースター・生豆商社・機器メーカー等からの直接拠出。2021年にWCR理事会が採用した会費モデルによる
主な公開資料
品種カタログ(Variety Catalog)、国別ページ、Sensory Lexicon(官能用語集)、栽培のグッドプラクティス・ガイド
当サイトでの使いどころ:品種ページ35件のスペック(系統・樹形・豆サイズ・耐病性・最適標高帯)はほぼすべてWCR品種カタログ準拠。用語集30件はSensory Lexicon(Version 2.0, 2017年)準拠。育苗日陰など栽培工程のページでも使う。
SCAスペシャルティコーヒー協会Specialty Coffee Association
性格
非営利の業界団体(米国 501(c)(6)、カリフォルニア州の相互利益法人)。自ら「世界最大のコーヒー業界団体」と称している
成り立ち
2017年、米国のSCAA(Specialty Coffee Association of America)と欧州のSCAE(Specialty Coffee Association of Europe)が統合して発足。両団体が共同保有していたWorld Coffee Eventsも引き継ぐ
主な公開資料
各種標準(SCA-102〜105等)、CVA(Coffee Value Assessment)、機関誌「25 Magazine」
近年の動き
2024年にCVAの残りの標準を公開し、2004年制定のカッピングフォームを正式に置き換えた
当サイトでの使いどころ:CVAカッピング生豆の格付けスペシャルティコーヒーの定義。標準文書そのものを読んで書いているページ群。
CQIコーヒー品質協会Coffee Quality Institute
性格
完全に独立した非営利団体(米国 501(c)(3))。1996年から活動
目的
「コーヒーの品質と、それを生産する人々の暮らしを向上させること」
Qグレーダー
2004年にQ(quality)コーヒーシステムを導入。教育・評価・認証・共通言語を一巡させる仕組みで、Qグレーダー資格はこの中から生まれた
精製の教育
2016年に収穫後処理(Post-Harvest Processing)プログラムを開始
当サイトでの使いどころ:精製方法のページ群ウォッシュドナチュラルハニーの3分類と工程・温度管理は、CQIのQ Processing Level 2 準備教材(2024年)に基づく。
ACE / COEアライアンス・フォー・コーヒー・エクセレンス/カップ・オブ・エクセレンスAlliance for Coffee Excellence / Cup of Excellence
性格
非営利の会員制団体。本拠地は米国オレゴン州ポートランド
成り立ち
1999年、COEの創設者たちとSCAAが、受賞コーヒーを対象とした世界初のインターネットオークションの仕組みをつくった。2002年後半にAlliance for Coffee Excellence, Inc. として法人化。設立にはBSCA(ブラジルスペシャルティコーヒー協会)の支援が大きく、Marcelo Vieira氏が初代会長
主な公開資料
Cup of Excellence の大会公式結果(順位・スコア・農園・品種・精製方法・落札価格)、プライベート・コレクション・オークションの結果。会員でなくても閲覧できる
当サイトでの使いどころ:受賞ロット、各品種ページの実例、COEの仕組み。加えて「その用語が実際に使われているか」を数える材料としても使っている(精製方法の表記を558件数えた集計など)。
ICO国際コーヒー機関International Coffee Organization
性格
コーヒーに関する唯一の政府間機関。 7団体の中でこれだけが国家の集まりで、他の6つは業界団体・研究機関にあたる
成り立ち
1962年の第1回国際コーヒー協定の承認を受け、1963年に国連の傘下で設立。輸出国政府と輸入国政府の双方が参加する
規模
世界のコーヒー生産の93%、消費の63%を代表する(ICO自身の記載)
根拠となる協定
現在は2007年国際コーヒー協定のもとで運営(2007年9月28日ロンドンで合意、2011年2月2日に確定発効)。2022年協定は設立以来8番目の協定で、2022年6月9日に国際コーヒー理事会が承認、同年10月6日にボゴタで署名開放された
主な公開資料
独立した公式統計、用語集(Glossary of Terms)、各種会議文書
当サイトでの使いどころ:用語の公式定義(水洗式/非水洗式など)、市場・統計生産量ランキングスペシャルティコーヒーの定義
AJCA全日本コーヒー協会All Japan Coffee Association
性格
日本の業界団体。「コーヒー産業の一層の発展を図るとともに、おいしく安心して飲んでいただけるコーヒーをお届けし、健康で潤いのある生活に貢献すること」を目的として掲げる
主な公開資料
コーヒーの需要動向調査、および世界的なコーヒー統計データの収集・整備・提供
日本の位置
日本の消費量はアメリカ・ブラジル・ドイツに次ぐ規模だとしている
当サイトでの使いどころ:日本国内の輸入統計・需要動向。7団体のうち日本市場を扱えるのはAJCAとSCAJの2つだけで、他の5団体はいずれも国外の組織になる。
SCAJ日本スペシャルティコーヒー協会Specialty Coffee Association of Japan
正式名称・法人格
一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会。名称のとおりSCAとは別組織で、資本関係や上下関係にはない
設立
2003年に「日本スペシャルティコーヒー協会」として新規設立。ただし前身がある(下の沿革)
所在地
東京都港区赤坂
基本構想
スペシャルティコーヒーに対する日本の消費者と世界のコーヒー生産者の双方の認識を高め、栽培からカップまでの体系的知識・技術の普及と啓蒙を図り、消費増大を目指す。あわせて日本のコーヒー文化の醸成、世界のスペシャルティコーヒー運動への貢献、生産国の自然環境と生活レベルの向上を図る
主な活動
スペシャルティコーヒーの定義とカップ評価基準の策定、資格認証制度(コーヒーマイスター等)、競技会、展示会、セミナー・講習会
主な刊行物
ニューズレター(2024年に電子版へ移行)、市場調査報告書、来店客調査レポート

沿革の要点(SCAJ公式サイト「概要」より):

1987年
おいしいコーヒーの普及と啓蒙を目的に「全日本グルメコーヒー協会」として発足。これが前身にあたる
1999年
「世界スペシャリティーコーヒー会議」(日本大会)を契機に「日本スペシャリティーコーヒー協会」へ名称変更
2003年
国内外に向けより開かれた協会として「日本スペシャルティコーヒー協会」として新規設立。当サイトが「設立2003年」と書くのはこの回を指す
2007年
東京ビッグサイトで「SCAJ2007」とワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)2007を同時開催
2014年
実技資格認証制度がスタート
2015年
スペシャルティコーヒー市場調査を開始。 当サイトの市場・統計ページが使っている調査群の起点にあたる
2016年
WCR Sensory Lexicon の日本語のまとめ。 当サイトの用語集に直接関わる(用語集ハブの注記を参照)
2019年
市場調査「一般消費者来店客調査」を実施
2023年
協会設立20周年。展示会の来場者が7万人に迫る
2024年
展示会の入場者75,217名。ニューズレターが電子版へ移行
当サイトでの使いどころ:市場・統計ページ(SCAJ刊行物の数値)、スペシャルティコーヒーの定義(SCAJ独自の定義と7つの評価項目)、日本国内の文脈と資格制度。
03

7団体は固定ではない — 近年の3つの再編

SOURCE: 各団体の公表による

読むときに知っておくと分かりやすいのは、この7つの顔ぶれ自体がここ10年で動いているということ。古い資料と新しい資料で発行元の名前が違っていても、間違いとは限らない。

2017年
SCAA + SCAE → SCA。 米国と欧州のスペシャルティコーヒー協会が統合し、現在のSCAになった。2017年より前の資料には「SCAA」名義のものがある。COEのページで触れている1999年のオークション創設も、当時はSCAAとしての関与である。
2020年
ACE と COE が別法人に分割。 ACEはオークション・会員・市場づくりを担う業界団体(501(c)(6))として残り、COEの競技会・生産国プロジェクト・教育事業は別の慈善法人(501(c)(3))へ再編された。理事会も定款も別になっている。当サイトが「ACE/COE」と併記しているのはこのため。
2025年
SCAがCQIからQグレーダープログラムを引き継いだ。 品質評価の担い手が移りつつある最中であるため、当サイトはこれを断定ではなく時系列の事実として記述している。詳しい年表はCOEページ「Qグレーダーから CVA への移行」にある。
そもそも、この種の団体は1980〜2000年代に世界各地で相次いで生まれている。 SCAJは会長メッセージの中で、自らの設立(2003年)の背景として次の流れを挙げている——1982年に米国でSCAA、1991年にブラジルでBSCA、1994年にコスタリカ、1998年に欧州でSCAEとパナマ、2000年に東アフリカでスペシャルティコーヒー団体が設立された、と。
直接のきっかけとして挙げられているのが2001〜2002年の「コーヒークライシス」で、国際原料相場が史上最低水準をつけ、産地はコスト割れで疲弊して品質が低下し、消費国のロースターは価格競争の消耗戦に陥っていた時期だという。「価格競争をやめて品質競争をしよう」という機運から生まれたのがSCAJだと説明している。当サイトのスペシャルティコーヒーの定義のページで扱っている定義の変遷も、この時期と地続きにある。
この段落の出典について

上記の各団体の設立年は、SCAJが自らの設立背景を説明する中で記した記述であり、各団体自身の公表ではない。SCA公式サイトはSCAAとSCAEの統合年(2017年)を明記しているが、両団体それぞれの設立年には触れていない。当サイトはこれをSCAJ発の記述として扱い、各団体側での裏づけは今後の課題とする。

04

7団体で足りないとき

7団体だけでは書けない話題は実際に多い。とくに生産国ごとの制度・統計と、新しい精製技術がそうなる。その場合は代替の出典を使うが、「7団体の枠外である」と必ずページ上に明記するのがルール。以下は当サイトが実際に使っている代替出典。

代替出典何のときに使うか掲載ページ数
IHCAFEホンジュラスのコーヒー機関。品種の育成・国内制度19
CATIE熱帯農業研究・高等教育センター(コスタリカ)。育種の系譜19
ICAFEコスタリカコーヒー研究所。品種・栽培地域・国内制度16
FAO国連食糧農業機関。栽培・日陰・ICO資料の転載版13
USDA米国農務省。生産・輸出の見通し統計7
Cenicaféコロンビア国立コーヒー研究センター。カスティージョ・タビ等6
SCAPパナマスペシャルティコーヒー協会。Best of Panama(パナマにはCOEがない)4
CONABブラジル食糧供給公社。ブラジルの生産統計(WCRに国別ページがない)4
PROCAFÉエルサルバドルのコーヒー研究財団。クスカトレコ等4
NCEナイロビ・コーヒー取引所。ケニアの取引制度(ケニアにはCOEがない)3
査読付き学術論文団体がまだ扱っていない精製技術。原典まで辿れることを条件に採用2
生産者自身の公表資料その生産者固有の情報(農園の標高など)に限って1

掲載ページ数は当サイト内でその名称に言及しているページの数(2026年8月15日時点)。出典として使っている場合と、本文で触れているだけの場合の両方を含む。

「業界で広く言われているが、公式資料に典拠がない」情報の扱い。 これは代替出典とはまた別の話で、当サイトには専用のルールがある。削るのではなく、「業界内の慣用的な説明であって公式な定義ではない」と明記したうえで載せる。 ハニープロセスの色分け(White/Yellow/Red/Black)、パルプドナチュラルとハニーの区別コールドアナエロビックの温度と時間などがこれにあたる。読む人が「これは定説ではない」と分かる状態で渡すのが目的。
使わないもの:個人ブログ・非公式サイト。 情報としては便利でも、経由すると出所が辿れなくなるため使わない。過去に参照していた個人サイトも、方針を定めた時点で全面的に不使用にしている。7団体の資料にも代替出典にも見つからず、業界慣用としても書けないものは、載せない。
05

今後追加すべき項目

  1. World Coffee Research 公式サイト「About」(2026年8月15日確認)
  2. Specialty Coffee Association 公式サイト「About」(同上)
  3. Coffee Quality Institute 公式サイト「About」(同上)
  4. Alliance for Coffee Excellence 公式サイト「About Us」(同上)
  5. International Coffee Organization 公式サイト「About us」(同上)
  6. 全日本コーヒー協会 公式サイト(同上)
  7. 一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会 公式サイト「SCAJについて>概要」「メッセージ(長谷川会長)」「スペシャルティコーヒーの定義」(2026年8月15日確認)