HACHIMARU COFFEE ROASTERY
収穫 / Harvest

収穫

完熟したコーヒーチェリーだけを摘み取る作業。FAOの資料は摘み方を「ストリッピング」「コーミング(櫛でしごく)」「機械収穫」「手摘み」の4通りに整理しており、どれを選ぶかがそのあとの精製方法・最終的な品質にまで影響する、コーヒー作りの中でも特に重要な工程。「コーヒーができるまで」の全体像の中では、開花から実が完熟するまでの期間を経たあとの工程にあたる。

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なぜ「完熟だけを摘む」が重要なのか

SOURCE: FAO「POST HARVEST HANDLING AND PROCESSING OF COFFEE IN AFRICAN COUNTRIES」

コーヒーチェリーは、木の中でも枝の中でも熟すタイミングが揃わない。同じ枝に、完熟したチェリーとまだ青いチェリーが同時についている状態が普通に起こる。FAOの資料は、未熟な豆が混ざることを品質低下の主要因のひとつとして挙げている。

一次資料からの引用。 「Farmers should be discouraged from harvesting unripe beans(農家は未熟な豆を収穫しないよう指導されるべきである)」。同資料は続けて、完熟前に数週間早く収穫されたチェリーに由来する欠点豆の問題に触れ、「the high percentage of unripe beans in the batches is a major factor(未熟豆の混入率の高さが〔品質低下の〕主要因のひとつである)」と記している。
02

収穫方法:FAOが挙げる4つの摘み方

SOURCE: FAO 1.6.1「Four ways of picking coffee berries」ほか

収穫方法は、完熟チェリーだけを選び取るか、枝ごと・畑ごとまとめて収穫するかで大きく分かれる。同じFAO資料は本文1.6.1で「コーヒーの実を摘む4つの方法」として、以下の4通りを名前を挙げて整理している。

Stripping
ストリッピング(ストリップピック)
FAOの定義は「removing everything on the branch by hand: ripe cherries, flowers, unripe cherries, and black, over-ripe ones(枝についているものを手ですべて取り去る。完熟チェリー、花、未熟チェリー、黒く熟しすぎたものまで)」。同資料はこの方法を「produces poor results(結果は良くない)」と評価しつつ、「nevertheless practised in some African regions and in Brazil(それでもアフリカの一部地域とブラジルでは実際に行われている)」と記している。花まで一緒に落としてしまう点が、単に未熟豆が混ざるという以上の問題になる。
出典:FAO 本文 1.6.1
Combing
コーミング(櫛でしごく)
「combing the branch with a special flexible comb(専用のしなやかな櫛で枝をしごく)」方法。FAOによれば「the ripe cherries fall to the ground, but the leaves and green cherries are left intact on the tree(完熟チェリーが地面に落ち、葉と未熟チェリーは木に残る)」。ストリッピングと違って熟度による選別がある程度きく、機械を使わずに速度を上げる中間的な方法として位置づけられている。
出典:FAO 本文 1.6.1
Mechanised harvesting
機械収穫
FAOは2種類を挙げる。幹に取り付ける「mechanical vibrators(機械式バイブレーター)」で完熟果を落とす方式と、「tractors with rotating brushes(回転ブラシ付きのトラクター)」による方式。後者については「unfortunately, damage the trees by stripping off the flowers and leaves as well(残念ながら花や葉まで削ぎ落としてしまい、木を傷める)」と明確に難点を記している。別資料(Annex 9)でも機械化手段として「tree vibrators, brushes」が整理されている。
出典:FAO 本文 1.6.1 / Annex 9
Handpicking
手摘み(選択摘み・ハンドピック)
FAOは「the most expensive method because it is labour intensive, but it also gives the best results(労働集約的なため最も費用がかかるが、最も良い結果をもたらす)」とし、「the ripe cherries are picked by hand one by one throughout the year as many times as necessary(完熟チェリーを、年間を通じて必要なだけ何度も、一粒ずつ手で摘む)」と説明する。Annex 9でも「traditional(伝統的)」手段として「hand(手)」が整理されている。
出典:FAO 本文 1.6.1 / Annex 9
「ストリップピック」の出典が確定した(2026年8月)。 以前このページでは、「選択摘み」と「機械収穫」の対比はFAO Annex 9で確認できるものの、「ストリップピック」という手法そのものを定義した一次資料は確認できていないと開示していた。今回、同じFAO資料の本文1.6.1「Four ways of picking coffee berries」に Stripping の名称と定義が明記されているのを確認したため、業界の通称としての注記から、正式な出典を伴う記述に差し替えた。あわせて、それまでこのページに載せていなかった4つ目の方法「コーミング(櫛でしごく)」を追加している。
用語の対応関係について。 FAOの原文の見出しは Stripping で、日本のコーヒー業界で一般に使われる「ストリップピック」という言い方そのものが原文にあるわけではない。同じ手法を指す語として扱っているが、この対応づけは当サイトの判断である。
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実例:ケニアの収穫

SOURCE: FAO「Annex 5: Coffee Post Harvest Handling and processing in Kenya」
Primary source quote
"Coffee harvesting in Kenya is done by selective picking of the ripe berries."
FAO Annex 5(ケニアの収穫・製品処理に関する章)より。家族労働・雇用労働者が収穫を担い、牛車・ピックアップトラック・大型トラックで収穫後すぐに集荷場へ運ばれると記載されている。詳しくはケニア産地ページを参照。
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今後追加すべき項目

  1. FAO「Post Harvest Handling and Processing of Coffee in African Countries」(Joackim Mutua, FAO, 2000年12月)本文第3章、および 1.6 Harvesting / 1.6.1 Four ways of picking coffee berries
  2. 同上「Annex 5: Coffee Post Harvest Handling and processing in Kenya」
  3. 同上「Annex 9: Comparison of traditional and mechanised Post-Harvest Operations」