精製方法 / Processing
精製方法とは
コーヒー業界では「ウォッシュド」「ナチュラル」のように当たり前に使われる言葉だが、一般にはほとんど知られていない用語でもある。ここでは、コーヒーチェリーを摘んでから生豆(グリーンビーンズ)になるまでの工程――「精製方法(プロセッシング)」――を、専門知識ゼロの状態から説明する。
01
そもそも「精製方法」とは何をする工程か
収穫したばかりのコーヒーチェリーは、私たちが知っている茶色い豆とはまったく違う姿をしている。赤い果皮の中に果肉(パルプ)、ぬめりのある粘液質(ミューシレージ)、内果皮(パーチメント)があり、その内側にようやく生豆(種)が入っている。この果肉から種だけを取り出し、乾燥させて出荷できる状態(生豆)にするまでの一連の工程が「精製方法」。
- 果皮チェリーの外側の赤い皮
- 果肉(パルプ)果皮のすぐ内側の甘みのある部分
- ミューシレージ種を包むぬめりのある粘液質の層
- パーチメント種を包む薄い内果皮(殻)
- 生豆パーチメントの中にある種=コーヒー豆そのもの
この工程がなぜ味を左右するのか。 果肉やミューシレージをどこまで残したまま乾燥させるかによって、糖分や酸が豆にどれだけ移るかが変わる。このため精製方法は、品種・産地と並んでコーヒーの風味を決める大きな要因のひとつとして扱われる。以下で紹介する各手法の詳細(工程・温度管理等)は、それぞれのページでICO公式用語集・CQI関連教材等の一次資料に基づいて解説している。
02
3つの方式と、3つの発酵条件
SOURCE: ICO GLOSSARY OF TERMS ほか(各ページ参照)ミューシレージ残存率のスペクトラム — 左ほど完全除去、右ほど全部残す
ウォッシュド
〜0%
〜0%
ハニー
目安40〜60%
目安40〜60%
ナチュラル
100%
100%
Washed
ウォッシュド
果皮とミューシレージを完全に除去してから乾燥。雑味が少なく、産地やチェリーそのものの個性が出やすいとされる。
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Natural
ナチュラル
果皮・ミューシレージを除去せず、チェリーのまま乾燥。CQI関連教材によれば歴史的に最も古い精製方法で、果肉の糖分が豆に移りやすく、フルーティーで甘みの強い風味になりやすい。
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Honey
ハニー
果皮のみ除去し、ミューシレージを一部〜全部残したまま乾燥。ウォッシュドとナチュラルの中間的な特性を持つ製法として生まれた。
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Anaerobic
アナエロビック
上記3方式とは軸が異なる「発酵技術」。酸素を遮断した密閉容器内で発酵させる手法で、ウォッシュド・ナチュラル・ハニーいずれの工程にも組み合わせられる。
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Carbonic Maceration
カーボニックマセレーション
容器の空気を抜いてCO₂を注入し発酵させる手法。ウォッシュド等の「前の段階」にあたる。ICO・CQI・ACEのいずれの公開資料にも定義がなく、定義が定まっていない用語であることを含めて解説する。
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Cold Anaerobic
コールドアナエロビック
酸素を遮断したうえで、さらに低温を保って発酵させる手法。定義を公表した団体はないが、ACEのオークション公式結果に精製方法の表記として記録が残っている。
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上の6枚は同じ種類のものではない。 果肉をどこまで残すかのスペクトラム上に並ぶのは、ウォッシュド/ハニー/ナチュラルの3方式だけ。残るアナエロビック・カーボニックマセレーション・コールドアナエロビックは軸が異なり、その3方式の発酵段階に重ねる条件にあたる。だから「コールドアナエロビックナチュラル」のように、両方が並んだ表記になる。
なお後者の3つはいずれも公的な定義が存在しない。それぞれのページで、どこまでが確認できてどこからが確認できないかを分けて書いている。
なお後者の3つはいずれも公的な定義が存在しない。それぞれのページで、どこまでが確認できてどこからが確認できないかを分けて書いている。
03
今後追加すべき項目
- 産地別の主流精製方法の一覧化 — 当サイトの各産地ページで扱っている精製方法の傾向を、このハブページ上でも一覧できる形にまとめる予定。
- 初心者向けのフレーバーとの結びつけ — 用語集ページ(ハチミツ・ダークチョコレート等のフレーバー用語)と、どの精製方法がどんな風味傾向に結びつきやすいかの対応を、断定を避けつつ紹介する形で追加予定。
- International Coffee Organization「Glossary of Terms」(FAO転載版, Annex 8)
- ITC「Coffee Processing theory: A preparatory course for CQI Q Processing Arabica Level 2」学生用ハンドブック(2024年)
- チェリーの構造(果皮・パルプ・ミューシレージ・パーチメント・生豆)はコーヒー精製の教材で広く共有されている基礎知識として記載。個別の一次資料への直接の裏付けは今後追加予定。