「深煎り」「浅煎り」という焙煎度の分類は、当サイト焙煎とはのページで扱った。しかし同じ焙煎度にたどり着く道筋(プロファイル)は、1通りではない。急に温度を上げるのか、じっくり上げるのか——その違いを表す考え方がROR(rate of rise、昇温速度)である。2024年に発表された査読付き研究が定義した7種類の標準プロファイルを中心に整理する。
標準プロファイル数
7種類
発熱反応の開始
摂氏約150度
実験規模
39回・663サンプル
焙煎の3段階
乾燥・発達・冷却
01
RORとは何か
SOURCE: Anokye-Bempah et al. 2024(Scientific Reports)
当サイト酸味の正体のページで紹介したUC Davis Coffee Centerの研究チームは、焙煎中の酸の変化を調べる過程で7種類の異なる焙煎プロファイルを用いて実験している。ROR(rate of rise)は、その名のとおり豆の温度が単位時間あたりどれだけ上昇しているかを表す指標である。
7プロファイルの中でも名前が分かりにくいNRoR(negative rate of rise)について補足する。生豆を焙煎機に投入した直後、豆の温度は一時的に下がる——常温の豆が高温の焙煎機内に入るためである。この「下がっている」局面のROR(昇温速度)は、定義上マイナスの値になる。NRoRプロファイルは、この下降局面をあえて長く保つ、あるいは焙煎の途中で再度昇温速度を落とし込む操作を指すものと考えられる。
Anokye-Bempah, L. ほか「The effect of roast profiles on the dynamics of titratable acidity during coffee roasting」Scientific Reports(2024年、PMC11002029) — 7種類の標準焙煎プロファイル(FS/SS/MD/PR/EF/NRoR/EM)の定義。当サイト酸味の正体のページで既出。PMCオープンアクセス版で本文確認
Anokye-Bempah, L. ほか「A universal color curve for roasted arabica coffee」Scientific Reports 15, 24192(2025年) — プロファイル・産地が異なっても収束するL*値。当サイト焙煎とはのページで既出
Bustos-Vanegas, J.D., Martins, M.A., Corrêa, P.C., Baptestini, F.M., Horta de Oliveira, G.H.「Modeling and simulation of coffee bean heating during roasting: effect of heat generation」Frontiers in Food Science and Technology(2025年、DOI: 10.3389/frfst.2025.1603783) — 摂氏150度からの発熱反応。オープンアクセス誌。WebFetch経由で本文内容を確認(2026年8月25日取得)