01
サイフォンとは
SOURCE: 全日本コーヒー協会「サイフォン式」「いろいろな器具」
ガラスの丸いフラスコと、その上に差し込む筒(ロート)。下を火にかけると、お湯が上の筒に上がっていき、火を止めると下に落ちてくる——喫茶店で見かける、あの器具である。AJCA(全日本コーヒー協会)は「空気圧を利用した抽出法」と説明している。
⭐ 「誰が淹れても味の差が出にくい」と書かれている。 AJCAの器具紹介は、サイフォンについて
「コーヒーの味わいがしっかりと抽出され、全体的にバランスの取れた丸い味わいに。条件がそろえば、誰が淹れても味の差が出にくいのも特徴です」としている。
8つの器具の紹介文のうち、淹れ手による差に触れているのはサイフォンだけである(→
いろいろな抽出器具)。
分類でいうと「浸漬式」である。 お湯を粉に通すのではなく、上の筒の中でお湯と粉をいっしょにしてから落とす。
フレンチプレスや水出しと同じ「浸けるタイプ」にあたる(→
フレンチプレス)。
AJCAの手順にも「弱火にして20秒ほど置く(浸漬する)」という言葉が実際に出てくる。
02
AJCAの手順(1杯140mL分)
SOURCE: 全日本コーヒー協会「サイフォン式」
| 材料(1杯140mL分) | 分量 |
| コーヒー粉 | 15g(中細挽き) |
| 湯 | 160mL |
01
湯を沸かす。 ロートを差しておくことにより、ボールチェーンが沸騰石の役割をし、突沸を防ぐ。 フラスコに水滴がついていると割れることがあるので必ず拭き取る。
02
粉を入れる。 抽出に影響がないようにフィルターはロートの真ん中にセットし、お湯が沸騰したらフラスコに差し込む。
03
撹拌する。 9割程度お湯が上がったらしっかりと撹拌し、粉全体にお湯をなじませる。弱火にして20秒ほど置く(浸漬する)。コーヒーの味を決める大事なポイント。
04
火を止める。 火を止め、すぐに2回目の撹拌。コーヒーがすべてフラスコに落ちたら抽出完了。
⭐ 「突沸を防ぐ」ための工程が、最初に来ている。 ロートを差しておくと、下がったボールチェーン(金属の鎖)が沸騰石の代わりになる——という指示である。また、フラスコの外側に水滴がついたまま火にかけると割れることがあるとも書かれている。ガラス器具を直接加熱する方式ならではの注意で、手順の一部としてAJCAが明記しているものである。
03
味を決めるのは「撹拌」と「置く時間」
SOURCE: 全日本コーヒー協会「サイフォン式」
Primary source quote
1回目の撹拌で、コーヒー全体にお湯がなじむように、しっかりと撹拌すること。このとき、ロート内のコーヒー粉に乾いた部分が残らないように気をつける。火をやや弱め、15〜45秒(必ず1分以内)置く。
全日本コーヒー協会「サイフォン式」のポイントより。手順本文では「20秒ほど」、ポイントでは「15〜45秒(必ず1分以内)」と、幅のある形でも示されている。
⭐ 「必ず1分以内」という上限が書かれている。 AJCAの淹れ方の資料の中で、ここまではっきりした上限が示されているのはサイフォンだけである。理由は書かれていないので、当サイトはそう指示されているという事実だけを記載する。
撹拌は2回ある。 1回目はお湯が上がりきったとき(粉になじませるため)、2回目は火を止めた直後。2回目の目的についてAJCAは説明していない。
04
挽き方と分量——資料の中に食い違いがある
SOURCE: 全日本コーヒー協会(2つの資料)
| 資料 | 挽き方 | 1杯分の粉量 |
| 「サイフォン式」の手順 | 中細挽き | 15g |
| 「挽き方と分量」の対応表 | 中細挽き・中挽き・粗挽きの3つに印 | 中細挽き約10g/中挽き12〜13g/粗挽き約15g |
⚠️ 「中細挽きで15g」という組み合わせは、対応表の側には無い。 対応表では
約15gという粉量は「粗挽き」の行についている。
手順のページは「中細挽き15g」である。
当サイトはどちらが正しいかを判断せず、両方を示す——同じ団体の資料どうしが食い違うときは、そう書くのが当サイトの方針である。
なお対応表では、サイフォンは5つの器具の中でいちばん多くの挽き方に印がついている(→
器具×挽き方の表)。
05
今後追加すべき項目
- 「空気圧を利用した抽出法」の中身 — AJCAはこの一文だけで、なぜお湯が上がり、なぜ落ちてくるのかを説明した7団体の資料は確認できていない。当サイトは手順から観察できることしか書かない。
- 2回目の撹拌の目的 — 03節。
- 「1分以内」の根拠 — 03節。抽出時間と成分の関係を扱った学術研究(→抽出ページ 06章の浸漬式の平衡の話)と突き合わせたい。
- フィルターの種類 — ネル(布)・ペーパー・金属のどれを想定しているか、AJCAの手順は明示していない。
- 日本での歴史 — サイフォンは日本の喫茶店文化と結びつきが深いとされるが、7団体の資料でその経緯を扱ったものを今回は見つけられなかった。
- 全日本コーヒー協会(AJCA)「サイフォン式」(coffee.ajca.or.jp/知る・楽しむ、2026年8月20日取得)— 材料・4工程の手順・撹拌のポイント・15〜45秒(1分以内)・突沸とフラスコの注意
- 全日本コーヒー協会(AJCA)「いろいろな器具」(同上)— 「バランスの取れた丸い味わい」「誰が淹れても味の差が出にくい」
- 全日本コーヒー協会(AJCA)「挽き方と分量」(同上)— 器具×挽き方の対応表