01
おいしく淹れるための6つの基本原則
SOURCE: 全日本コーヒー協会「基本原則」
器具の話に入る前に、どの器具にも共通する土台 がある。AJCA(全日本コーヒー協会)は6つのポイント を挙げている。
01 新鮮な焙煎豆を使用する
02 器具にあった挽き方をする
03 器具に合わせたコーヒー量を使用する
04 適切な水を使用する
05 清潔な器具を使用する
06 適切な抽出温度と抽出時間を守る
⭐ 6つのうち3つが「器具に合わせる」話である。 挽き方・分量・温度と時間 ——
器具が変われば、正解も変わる ということを、この原則そのものが言っている。
だから当サイトも器具ごとにページを分けている 。
豆の鮮度については保存のページ 、水については抽出ページ 04章(SCAの水質基準) で扱っている。
02
器具別の挽き方と、粉の標準的な分量
SOURCE: 全日本コーヒー協会「挽き方と分量」
AJCAは器具×挽き方の対応表 を公開している。1杯分の標準的な粉の量は、器具ではなく「挽き方」の側についている ——という作りの表である。
挽き方[1杯分の粉量] ペーパードリップ ネルドリップ サイフォン エスプレッソ フレンチプレス
極細挽き[6〜8g] — — — ● —
細挽き[8〜10g] — — — — —
中細挽き[約10g] ● — ● — —
中挽き[12〜13g] ● ● ● — ●
粗挽き[約15g] — ● ● — ●
⭐ 「細挽き」の行には、どの器具も入っていない。 表を素直に読むと、
5段階の挽き方のうち「細挽き」だけ、対応する器具が1つも示されていない 。
理由は表にも本文にも書かれていない ので、当サイトは
そう書かれているという事実だけ を記載する。
挽き方の5段階そのものは、日本の公正競争規約が定める公的な区分 である(→
表示ルール )。
⚠️ AJCA自身の資料の中で、数字が食い違っている箇所がある。 この表では
ネルドリップは中挽き・粗挽き だが、
AJCAの「ネルドリップ式の淹れ方」のページは「細挽き〜中細挽き 12g」 と書いている。
サイフォンも、表では中細挽き〜粗挽きだが、手順のページでは「中細挽き 15g」 である。
当サイトは、どちらが正しいかを判断せず両方を示す ——出典が自分自身と食い違うときは、そう書くのが当サイトの方針である(
品種ページ でWCRの記述の食い違いを扱ったのと同じ扱い)。
03
いろいろな抽出器具
SOURCE: 全日本コーヒー協会「いろいろな器具」
AJCAは8つの器具 を紹介している。以下の説明文は、すべてAJCAの記述である (当サイトのページがあるものはリンクを付けた)。
SIPHON
サイフォン
コーヒーの味わいがしっかりと抽出され、全体的にバランスの取れた丸い味わい に。条件がそろえば、誰が淹れても味の差が出にくい のも特徴です。
→ サイフォンのページ
NEL DRIP
ネルドリップ(布ドリップ)
起毛した布「フランネル」で作られたフィルターは、洗いながら繰り返し使うことができます 。舌触りの滑らかなコクのある味わい が楽しめる抽出方法です。
→ ネルドリップのページ
FRENCH PRESS
フレンチプレス
ガラスポットにコーヒー粉をセットしてお湯を注ぎ、数分間待つだけ で手軽にコーヒーを淹れられます。コーヒーの成分がしっかりと抽出されるので、豆の味わいをダイレクトに 楽しむことができます。
→ フレンチプレスのページ
WATER DRIP
ウォータードリップ(水出しコーヒー滴下式)
6〜8時間(10杯分)かけて一滴ずつポタポタと水を落として コーヒーを抽出。ウォータードリップ、ダッチコーヒー、コールドブリューともいわれ、コクのある甘味 が特長です。
→ アイスコーヒーと水出しのページ
IBRIK
イブリック
トルコ式コーヒー(ターキッシュコーヒー) を淹れるための器具。微粉状のコーヒー を入れ、火にかけ煮出しながら抽出 し、煮出し終わったコーヒーは、こさずに上澄みだけを飲みます 。
→ イブリックのページ
PERCOLATOR
パーコレーター
ポットの中にあるバスケットにコーヒー粉をセット後、水を入れて火にかけます。お湯が沸騰すると中にあるパイプを伝って循環し 、コーヒーが抽出されます。
→ パーコレーターのページ
CAFE FINN
カフェ・フィン(ベトナム式)
ベトナム式コーヒーを淹れる専用ドリッパー。フィルターにコーヒー粉を入れ、お湯を注いで抽出します。コンデンスミルクを入れたグラスの上で抽出する のがベトナム式。
→ カフェ・フィンのページ
CAFE NAPOLETANA
カフェ・ナポレターナ(ナポリ式)
イタリア・ナポリ地方に古くから伝わるコーヒー抽出器。ポットが上下2段に分かれており 、コーヒー粉と水を入れて火にかけ、沸いたら逆さまに返して コーヒーを抽出します。
→ カフェ・ナポレターナのページ
AEROPRESS
エアロプレス
2005年、Alan J. Adlerが発明した比較的新しい器具。円筒の中でコーヒーと湯を混ぜて浸漬 させたあと、ピストンを押し込んで圧力でろ過 する。AJCAの一覧には含まれていない。
→ エアロプレスのページ
MOKA POT
モカポット
1933年、イタリアのAlfonso Bialettiが考案。下部タンクの水が沸いて生じる蒸気圧 で湯を押し上げ、粉の層を通過させる直火式の器具。AJCAの一覧には含まれていない。
→ モカポットのページ
⭐ 8つのうち、火にかけるものが4つある。 イブリック・パーコレーター・カフェ・ナポレターナ、そしてサイフォン は、器具そのものを加熱する 。ペーパードリップやネルドリップのように「沸かしたお湯を注ぐ」ものとは、湯の温度の管理のしかたが根本的に違う 。ただしAJCAの資料は、それぞれの適温を示していない 。
エスプレッソとインスタントは、この一覧には入っていない。 AJCAは
「代表的な抽出方法」としてペーパードリップ式・ネルドリップ式・エスプレッソ式・サイフォン式の4つ を別立てで扱い、
「いろいろな器具」はそれ以外 という構成になっている。当サイトでは
エスプレッソ と
インスタントコーヒー にそれぞれページがある。
04
当サイトにページがある器具
器具 方式 1杯分の目安(AJCA)
ペーパードリップ 透過式(お湯が粉の層を通り抜ける) 中細挽き12g/湯160mL
ネルドリップ 透過式(布フィルター) 細挽き〜中細挽き12g/湯160mL
サイフォン 浸漬式(お湯に浸けてから落とす) 中細挽き15g/湯160mL
フレンチプレス 浸漬式(漬けたまま数分) 表では中挽き12〜13g/粗挽き約15g
エスプレッソ 加圧式(圧力をかけて押し出す) 極細挽き6〜9g/25〜35mL
水出し 滴下式・浸漬式(水で長時間) 滴下式は6〜8時間で10杯分
イブリック 煮出し式(フィルターなし) 微粉状・数値の目安は今回未確認
パーコレーター 沸騰・循環式 数値の目安は今回未確認
カフェ・フィン 透過式(金属フィルター) 数値の目安は今回未確認
カフェ・ナポレターナ 加熱後、反転して透過 数値の目安は今回未確認
エアロプレス 浸漬+加圧ろ過(AJCA未掲載) 特許明細書に数値の指定なし
モカポット 蒸気圧による加圧式(AJCA未掲載) 数値の目安は今回未確認
大きく分けると4つになる。 ①お湯を通す(透過式) =ペーパー・ネル・カフェ・フィン、
②お湯に浸ける(浸漬式) =フレンチプレス・サイフォン・水出し、
③圧力をかける(加圧式) =エスプレッソ・モカポット・エアロプレス、
④火にかけて直接抽出する(煮出し・循環・反転のいずれか) =イブリック・パーコレーター・カフェ・ナポレターナ。
この区分は、当サイトが上の各ページの手順から整理したもの で、
AJCAの資料がこの分類を示しているわけではない 。
ただし抽出のページ で扱っているSCAの規格や学術研究は、「浸漬式(full immersion)」「透過式(percolation)」という言葉を実際に使い分けている。
05
今後追加すべき項目
イブリック・パーコレーター・カフェフィン・ナポレターナの単独ページ — 2026年8月27日、単独ページを作成した。カフェ・フィンとナポレターナはAJCAの紹介文以外の一次資料が薄いまま公開している(→各ページ参照)。トルコ式コーヒーは狙い通りUNESCO無形文化遺産の登録文書から情報を補えた。
エアロプレス・モカポットの単独ページ — 2026年8月27日、作成した。エアロプレスは発明者Alan J. Adlerの米国特許(US7849784B2)、モカポットはBialetti社の公式沿革と物理学のプレプリントを一次資料とした。電動ブリューワー については引き続き抽出ページ がSCA-310を扱っている。
器具ごとの適温 — AJCAはペーパードリップ・ネル・アイスで「95℃前後」 と書いているが、火にかける器具(サイフォン以外)の温度指示は無い 。
細挽きの行が空欄である理由 — 02節。AJCAに問い合わせるか、別資料での確認が要る。
ドリッパーの穴の数 — AJCAは1つ穴式と3つ穴式で抽出速度が違う と書いているが、速度の差が味にどう出るかまでは書かれていない (→ペーパードリップ )。
焙煎 挽き方と粒度
抽出 抽出(TDS・抽出率・湯温)
抽出 ペーパードリップ
抽出 サイフォン
抽出 フレンチプレス
抽出 ネルドリップ
抽出 アイスコーヒーと水出し
抽出 イブリック(トルコ式)
抽出 モカポット
抽出 エアロプレス
銘柄・表示ルール 挽き方5段階の公的基準
当サイトについて 出典としている団体
全日本コーヒー協会(AJCA)「おいしいコーヒーを淹れるための基本原則/挽き方と分量」(coffee.ajca.or.jp/知る・楽しむ、2026年8月20日取得)— 6つの基本原則、器具×挽き方の対応表と1杯分の粉量
全日本コーヒー協会(AJCA)「いろいろな器具」(同上)— サイフォン/ネルドリップ/イブリック/パーコレーター/フレンチプレス/ウォータードリップ/カフェ・フィン/カフェ・ナポレターナの8器具の説明
全日本コーヒー協会(AJCA)「ペーパードリップ式」「ネルドリップ式」「サイフォン式」「エスプレッソ式」(同上)— 04節の1杯分の目安