品種ページ / Variety
カスティージョCastillo
2005年5月13日、コロンビアのFNC(全国コーヒー栽培者連盟)が決議No.03により正式リリースした複合品種(multiline composite variety)。カトゥーラ(さび病感受性)とティモール・ハイブリッド(さび病・CBD双方への高耐性)の交配に由来し、複数系統を意図的に混合することで耐久的なさび病抵抗性を狙う。名称はこの育種戦略を確立したCenicafé研究者Jaime Castillo Zapata(1928〜2001年)にちなむ。2024年時点でコロンビアの作付面積の87%超を占める同国の主力品種。
- 系統
- カトゥーラ×ティモール・ハイブリッド(複合)
- リリース
- 2005年5月13日(FNC決議No.03)
- さび病耐性
- 高い(複合品種による多系統抵抗性)▲
- コロンビア国内シェア
- 87%超(2024年時点)
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基本情報
SOURCE: Cenicafé Avances Técnicos No.337(2005)/No.426(2012)- 品種名
- カスティージョCastillo®(複合/multilineバラエティ)
- 系統・成り立ち
- カトゥーラ(母方・さび病感受性)×ティモール・ハイブリッド CIFC#1343(父方・さび病高耐性かつCBD耐性遺伝子保有)の交配。F1〜F5/F6世代まで選抜を重ね、複数系統(line)の種子を混合して仕上げる複合品種Composite/multiline cultivar
- 育種機関
- Cenicafé(コロンビア国立コーヒー研究センター、FNC傘下)。さび病耐性品種の育種プログラム自体は1967〜68年頃開始(Cenicafé文書間でも「1967年(コーヒー議会の付託)」「1968年(部門としての着手)」の両方の表記があり、本サイトでは両論併記する)
- リリース
- FNC理事会決議No.03(2005年5月13日)で正式にコロンビアの生産者へ配布開始
- 名称の由来
- Cenicafé研究者Jaime Castillo Zapata(1928〜2001年)にちなむ。同氏はGermán Morenoと共に、さび病抵抗性複合品種という育種戦略そのものを考案し、先行する「コロンビア品種」(1982年リリース)とカスティージョの初期世代の開発を主導した
- 前身品種との関係
- 1982年リリースの「コロンビア品種」と起源となる交配(カトゥーラ×ティモール・ハイブリッド)は同じ後継品種。コロンビア品種よりも粒サイズ選抜(café supremo比率80%超)と地域適応性を重視して開発された
- 地域系統
- Naranjal・Paraguaicito・Santa Bárbara・Pueblo Bello・El Rosario・La Trinidad・El Tambo の7つの地域複合系統が存在し、各地域のエコトポ(気候・土壌条件)に適応。該当地域外の農園には汎用の「カスティージョ・ヘネラル」が推奨される
- 普及の経緯
- 「Colombia sin Roya(さび病のないコロンビア)」キャンペーンにより、2012年時点で23.4万haが更新され、その9割以上がカスティージョ系統。耐病性品種の作付比率は54%まで上昇(2012年SICA調べ)
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詳細スペック
SOURCE: Cenicafé Avances Técnicos No.337/No.426- 樹形
- 中間型。カトゥーラより樹高が高く、枝も長いIntermediate stature
- 平均樹高
- 2.37m(対照のコロンビア品種は2.27m)
- 推奨植栽密度
- 7,500本/ha超(カトゥーラの標準10,000本/haより疎植)
- 種子の発芽までの日数
- 播種後50〜60日
- 初開花
- 定植後約11ヶ月
- 初収穫
- 定植後約18〜19ヶ月
- 収量(チェリー/樹/年)
- 平均7.89kg(レンジ6.35〜8.78kg)——対照のコロンビア品種は平均5.75kg(レンジ5.33〜6.83kg)
- 生豆品位(café supremo、17/64インチ超)
- 平均83.0%(レンジ70.0〜92.0%)——コロンビア品種の平均52.8%(レンジ38.3〜75.1%)を大きく上回る▲
- 推奨標高帯
- 1,300〜1,700m。選抜実験は1,800m以下で実施されており、それを超える標高での挙動は公式に「未検証・限界的」と位置づけられている
- さび病抵抗性の仕組み
- 複数系統の混合による複合的抵抗性▲。CIFC(ポルトガル・コーヒーさび病国際センター)評価では供試素材の97.5%がさび病耐性グループに分類(残り2.5%はティピカ・ブルボン・カトゥーラと同じ感受性遺伝子型「SH5/グループE」)。80%超の系統が「不完全抵抗性」(感染プロセスを遅らせるタイプ)も保有
- CBD(コーヒーベリー病)耐性
- ケニア・マラウイ・カメルーン・ジンバブエ由来の分離株を用いたCIFC接種試験で、供試素材の50%超が1つ以上の分離株に耐性反応。CBDは現時点でアフリカ大陸に限定される病害で、種子等の持ち込みによる侵入防止が推奨されている
- 他の病害虫への感受性
- ハモグリバエ(minador)・コーヒーベリーボーラー(broca)には他品種同様感受性あり▼。mancha de hierro・mal rosado・gotera・muerte descendenteといった病害についても、カトゥーラ・コロンビア品種と同程度の感受性で、カスティージョ特有の弱点ではない
- カッピング品質
- Cenicafé研究チームによる二重盲検・記述的・定量的官能評価で、ティピカ・カトゥーラ・ブルボン・コロンビア品種と比較して統計的な有意差なし。中程度の焙煎度で、まろやかなボディと苦味、際立つ香りと酸味と評される●
Catimor・Costa Rica 95との違い(Cenicafé自身によるFAQでの整理)。 「Catimor」はカトゥーラ×ティモール・ハイブリッド由来の品種群全般を指す総称で、単一の品種名ではない。コスタリカの「Costa Rica 95」も同じ交配起源を持つが、単一系統(モノライン)である点がカスティージョ(複合系統/マルチライン)との決定的な違いとされ、Cenicafé自身は「複合品種のほうがさび病抵抗性の持続性で優位」との立場を明記している。
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最新の展開:Castillo 2.0(2024年)
SOURCE: Cenicafé Avances Técnicos No.566(2024年8月)2021年、Cenicaféは既存のカスティージョに新しいさび病耐性遺伝子——他のアラビカ種およびC. canephora由来で、コロンビアのさび病レースにまだ曝露されていない系統——を追加する形での「再構成」を決定し、「カスティージョ2.0」が生まれた。9つの交配・6つの異なる親系統に由来する40の高度選抜系統で構成され、2022年に種子増殖を開始、2024年に生産者への配布が始まった。
Primary source figure
カッピングスコア 84.5点(SCA基準)——「muy bueno-especial」
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今後追加すべき項目
- 育種プログラムの正確な開始年 — Cenicafé自身の文書間で1967年(Castillo 2.0資料の記述)と1968年(オリジナルのCastillo資料の記述)の表記に揺れがある。コーヒー議会による付託年と部門としての着手年など、別の意味を指している可能性もあり、追加確認が必要。
- WCR Variety Catalogには掲載なし。 カスティージョはコロンビア国内向けに開発された品種で、WCRの公式カタログ(55品種収録)には見当たらなかった——本ページはCenicafé自身の一次資料(Avances Técnicos)に直接切り替えて解説している。
- カスティージョ単体でのCOE等競技会受賞実例 — 今回は未調査。今後の課題とする。
- Cenicafé 1など、関連する他のコロンビア固有品種 — Castillo 2.0の資料内で生産性・カッピング品質の比較対象として言及されているが、独立ページとしての解説は今後の検討課題。タビは独立ページで解説済み。
- Alvarado-Alvarado, G.; Posada-Suárez, H.E.; Cortina-Guerrero, H.A.「CASTILLO: Nueva variedad de café con resistencia a la roya」Avances Técnicos Cenicafé No.337(2005年7月)
- Cortina-Guerrero, H.A.; Moncada-Botero, M.P.; Herrera-Pinilla, J.C.「VARIEDAD CASTILLO® Preguntas frecuentes」Avances Técnicos Cenicafé No.426(2012年12月)
- Flórez-Ramos, C.P. 他「Castillo 2.0 Variedad Mejorada: Más Resistencia, Más Resiliencia」Avances Técnicos Cenicafé No.566(2024年8月)