品種ページ / Variety
ミレニオMilenio(H10)
T5296とエチオピア在来種ルメ・スーダンの交配によるF1ハイブリッド。セントロアメリカーノとまったく同じ交配・同じ育成コンソーシアムから生まれた「第一波のF1ハイブリッド」の一つである。高収量・さび病耐性を備える一方、WCRは要約文で「この品種は均一ではない(Variety not uniform)」とはっきり記している。
- 群
- F1ハイブリッド(導入系)
- 収穫量ポテンシャル
- 非常に高い▲
- さび病耐性
- 高耐性▲
- 特記
- 均一ではない▼
01
基本情報
SOURCE: WCR VARIETY CATALOG- 品種名
- ミレニオMilenio(カタログ上の識別記号:H10)
- 系統・成り立ち
- T5296 × ルメ・スーダンT5296 x Rume Sudan
- 育成機関
- CIRAD-CATIE-ICAFE-IHCAFE-PROCAFE-ANACAFE(セントロアメリカーノと同一の6機関コンソーシアム)
- 発表年
- WCRカタログに記載なし。「F1ハイブリッド品種の第一波(first wave)の一つ」とのみ記されている
- 遺伝的系統区分
- F1ハイブリッド(導入系)F1 hybrid (introgressed)
- WCRによる要約
- 「非常に高収量で、さび病耐性を持ち、標高1,300m超では良い品質。品種は均一ではない」
「均一ではない」とWCR自身が書いている品種である。 当サイトのT5296のページでも、WCRが「世代間で安定しないため生産者には推奨しない」と明記している例を扱った。品種カタログは推奨するためだけの資料ではなく、弱点も同じ欄に書く——この記述はその一例にあたる。ただしどの形質がどの程度ばらつくのか(樹高か、耐性か、カップか)は、この出典からは分からない。
02
詳細スペック
SOURCE: WCR CATALOG, 2026-08-12 取得
評価の目安:
▲ 良好
● 標準
▼ 要注意
— WCRカタログ自身の区分(Low/Medium/High/Exceptional等)をそのまま可視化したもの
- 樹形
- 矮性・コンパクトDwarf/Compact
- 新芽の葉色
- 緑Green
- 豆のサイズ
- 大きいLarge▲
- 収穫量ポテンシャル
- 非常に高いVery High▲
- 高標高での品質
- 非常に良いVery Good▲
- 最適標高帯
- 中〜高Medium, High(北緯5°〜南緯5°:1,200m超/5〜15°:900m超/15°超:700m超)
- さび病(CLR)耐性
- 高い耐性Highly resistant▲
- 線虫耐性
- 感受性ありSusceptible▼
- コーヒーベリー病(CBD)耐性
- 耐性ありTolerant●
- 初収穫までの年数
- 2年目▲
- 必要な栄養レベル
- 不明Unknown(カタログに評価の記載なし)
- 果実の成熟時期
- 平均的Average●
- 生豆歩留まり
- 非常に高いVery High▲
- 推奨植栽密度
- 4,000〜5,000本/ha(単幹剪定の場合)
※最適標高帯は緯度によって読み替える必要がある(赤道に近いほど高い標高が最適になる)。WCRカタログの表記をそのまま記載した。
F1ハイブリッド共通の注意:種子で増やしてはいけない。 ハイブリッドの樹から採った種子は親と同じ性質を持たず(分離/segregation)、収量・耐病性・品質を失う可能性がある。増殖は接ぎ木などのクローン繁殖に限られる。詳しくはセントロアメリカーノのページ02章で扱っている。
03
同じ交配、別の品種——3品種の比較
SOURCE: WCR VARIETY CATALOG(3品種の各エントリ)ミレニオとセントロアメリカーノは、WCRのLineage欄に記された交配がどちらも「T5296 × ルメ・スーダン」で完全に同一である。育成機関の記載も同じ6機関。それでもスペック評価は一致しない。ムンド・マヤはエチオピア側の親が別(CATIE収集のET01)で、育成機関も別である。
| 項目 | セントロアメリカーノ | ミレニオ | ムンド・マヤ |
|---|---|---|---|
| カタログ記号 | H1 | H10 | EC16 |
| 交配 | T5296 × ルメ・スーダン | T5296 × ルメ・スーダン | T5296 × ET01(エチオピア在来) |
| 育成機関 | CIRAD-CATIE-ICAFE-IHCAFE-PROCAFE-ANACAFE | 同左 | CIRAD-ECOM |
| 新芽の葉色 | 緑 | 緑 | ブロンズ |
| 最適標高帯 | 低〜中〜高(赤道付近1,000m超) | 中〜高(同1,200m超) | 中〜高(同1,200m超) |
| 線虫耐性 | 感受性あり | 感受性あり | 耐性あり(種による) |
| 必要な栄養レベル | 非常に高い | 不明(記載なし) | 高い |
| 推奨植栽密度 | 3,000〜4,000本/ha | 4,000〜5,000本/ha | 4,000〜5,000本/ha |
| 均一性についての記載 | — | 「品種は均一ではない」と明記 | — |
樹形・豆のサイズ・収量・高標高での品質・さび病耐性・CBD耐性・初収穫年・成熟時期・生豆歩留まりは3品種とも同一評価である。ミレニオに固有の記載は「均一ではない」という要約文の一言と、必要栄養レベルが「不明」であることの2点で、これはセントロアメリカーノほどには評価データが積み上がっていないことの表れとも読める。
04
今後追加すべき項目
- 「均一ではない」の中身 — どの形質がどの程度ばらつくのかはWCRカタログに記載がない。同じ交配のセントロアメリカーノにこの注記が付いていない理由も不明。
- 発表年 — セントロアメリカーノには「2010年」の記載があるが、ミレニオにはない。「第一波のF1ハイブリッドの一つ」という記述にとどまる。
- 必要な栄養レベル — カタログの評価が「不明」。栽培実務上は重要な項目で、育成機関側の資料が必要。
- ルメ・スーダン(Rume Sudan)の独立ページ — WCR品種カタログに単独エントリは存在しない(2026年8月12日時点で404を確認)。
- 中米での作付け実績 — 当サイトの中米各産地ページに、F1ハイブリッドの作付け比率のデータはまだない。
- World Coffee Research, Variety Catalog「Milenio」(varieties.worldcoffeeresearch.org/varieties/milenio、2026年8月12日取得)
- World Coffee Research, Variety Catalog「Centroamericano」「Mundo Maya」(同日取得、03章の比較表)