銘柄・表示ルール / Canned Coffee
缶コーヒーの
表示ルール
自動販売機やコンビニに並んでいる缶を、いちど裏返してみてほしい。小さな枠の中に「名称:コーヒー飲料」と書かれているものがある。「コーヒー」ではなく「コーヒー飲料」。この2つは似た言葉だが、まったく別の意味をもつ、決められた呼び名である。境目は「その中にコーヒー豆がどれだけ入っているか」——それが数値で定められている。「ブラック」と書ける条件も、「プレミアム」と書ける条件も、同じルールの中にある。
- コーヒー
- 生豆換算 5g以上/100g
- コーヒー飲料
- 2.5g以上5g未満/100g
- コーヒー入り清涼飲料
- 1g以上2.5g未満/100g
- 現行版
- 令和6年10月1日 施行
01
缶とペットボトルは、袋のコーヒーとは別のルール
SOURCE: コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約 第1条・第2条
当サイトのパッケージの表示ルールのページで扱っているのは、袋や瓶で売られている豆・粉のルールである。缶やペットボトルに入った、そのまま飲める状態のコーヒーはそちらの規約の対象外で、別の規約・別の団体が担当している。
| 袋・瓶の豆/粉 | 缶・ペットボトル |
| 規約の名前 | レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約 | コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約 |
| 運営する団体 | 全日本コーヒー公正取引協議会 | 全国コーヒー飲料公正取引協議会 |
| いつからあるか | — | 昭和52年(1977年)12月22日認定/昭和53年6月22日施行 |
| 当サイトが確認した版 | 平成30年(2018年)5月21日認定 | 令和6年(2024年)10月1日施行 |
| 当サイトの解説 | パッケージの表示ルール | このページ |
袋側の規約が、自分から「こちらは対象外」と書いている。 レギュラーコーヒー側の規約は、対象を
「容器又は包装に密封されたもの」としたうえで、
「ただし、コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約の適用を受けるものは除く」と条文自身に書いている(→
インスタントコーヒー 01)。
2つの規約は、境界線をお互いに宣言し合って棲み分けている。
この規約が扱う「コーヒー飲料等」の範囲。 規約第2条は「コーヒー豆を原料とした飲料及びこれに糖類、乳製品、乳化された食用油脂その他の可食物を加え容器に密封した飲料」と定めている。粉末飲料、飲用乳の規約の対象になるもの、豆乳類の規約の対象になるもの、そして酒税法にいう酒類は除かれる。つまり「缶コーヒーだけの規約」ではなく、容器に密封されたコーヒー飲料全般——ペットボトルも紙パックも含まれる。
02
缶の「名称」は4種類ある
SOURCE: 規約 第2条第1項(1)〜(4)
規約第2条は、コーヒー分の量によって4つの名前を定義している。単位は「内容量100グラム中に、コーヒー生豆換算で何グラムのコーヒー豆から抽出・溶出したコーヒー分が入っているか」である。「生豆換算」という数え方については03で説明する。
コーヒー
5g 以上
生豆換算/内容量100g中
いちばんコーヒー分が多い区分。
「○○ブレンド」などの銘柄表示や、「プレミアム」といった強調語を使えるのは、この区分だけである(→
06・
07)。
コーヒー飲料
2.5g 以上 5g 未満
生豆換算/内容量100g中
「コーヒー」の半分から1倍未満の範囲。缶の裏でよく見かける表示のひとつである。
コーヒー入り清涼飲料
1g 以上 2.5g 未満
生豆換算/内容量100g中
コーヒー分がさらに少ない区分。名前が「コーヒー」で始まらず「コーヒー入り」になるのが、区分の切り替わりを表している。
コーヒー入り炭酸飲料
1g 以上 + 炭酸
生豆換算/内容量100g中
1g以上のコーヒー分を含むものに二酸化炭素を圧入したもの。上限が書かれておらず、コーヒー分の多寡ではなく「炭酸が入っているか」で分けられている点が他の3つと違う。
⭐ 1g未満なら、この規約の名前を名乗れない。 4つの区分の下限は
1gである。それを下回るものは、
「コーヒー入り清涼飲料」とすら表示できない。定義に当てはまらないのに当てはまるかのように見せる表示は、規約第6条(1)が
不当表示として明確に禁じている(→
08)。
この名前は「名称」の欄に書かれる。 施行規則第2条(1)は、「名称」の文字の次にこの4つのいずれかを書くよう定めている。ただし「名称」の代わりに「種類別名称」「品名」「品目」「種類別」と書いてもよいとされている。缶によって見出しの言葉が違うのは、この選択肢があるためである。
名称は「2か所」に書かれる。 施行規則第2条(1)⑦は、この名称を他の必要表示事項と一括した枠の中に書くほか、商品名を表す文字と同一視野にも表示すると定めている。缶の表面、商品名のすぐそばに小さく「コーヒー飲料」と書かれているのは、この規定によるものである。裏返さなくても分かるようになっている。
03
「生豆換算」という数え方
SOURCE: 施行規則 第1条
缶に入っているのは液体であって、豆そのものではない。では「コーヒー豆が何グラム分入っているか」をどう数えるのか。施行規則第1条が、その換算の係数を定めている。
| 使ったもの | 生豆換算の係数 | 意味 |
| 焙煎豆 | 1.3倍 | 焙煎豆1gは生豆1.3g分として数える。焙煎で重さが減るぶんを戻している(→焙煎のページ)。 |
| インスタントコーヒー | 3.0倍 | インスタント1gは生豆3g分。粉末になるまでに水分も抽出後の粉も取り除かれているため、係数が大きい(→インスタントコーヒーのページ)。 |
| コーヒー抽出液 | 製造者による証明 | 固定の係数がない。抽出液は濃さがまちまちで一律に決められないため、その製造者が証明することとされている。 |
当サイトによる計算例
内容量 185g の缶で「コーヒー」と名乗るには
185g×5g / 100g=生豆換算 9.25g 以上が必要
焙煎豆で用意するなら→9.25g ÷ 1.3 = 焙煎豆 約7.1g
インスタントで用意するなら→9.25g ÷ 3.0 = 約3.1g
この計算は当サイトが規約の数値から行ったものである(規約や施行規則に計算例は載っていない)。内容量185gという数字も説明のための仮のもので、特定の商品を指してはいない。同じ「コーヒー」を名乗るのでも、原料の形によって必要な重さがまったく違うことが分かる。
⭐ 「濃さ」ではなく「使った豆の量」で決まっている。 この区分は飲んだときの味の濃さを測っているわけではない。あくまで原料としてどれだけのコーヒー豆を投入したかである。砂糖やミルクをどれだけ加えても、コーヒー分の量そのものは変わらない——つまり「コーヒー」と表示されたものが、必ずしも飲んで濃いとは限らない。
原材料名の欄では「コーヒー」と書かれる。 施行規則第2条(2)は、原材料名について「コーヒーにあっては『コーヒー』と、カフェインレスコーヒーにあっては『カフェインレスコーヒー』と、その形状にかかわらず表示する」と定めている。焙煎豆から淹れたのか、インスタントを溶かしたのか、抽出液を使ったのかは、原材料名の欄からは読み取れないということである。
原料原産地には「製造地」が書かれる。 施行規則第2条(4)②は、コーヒーが対象原材料になる場合「焙煎豆、インスタントコーヒー又はコーヒー抽出液の製造地を表示する」としている。ただし「コーヒーの製造地に代えて『コーヒー豆』等の名称と共にコーヒー豆等の原産地を表示することができる」という選択肢も用意されている。豆の産地が書いてある缶と、加工した場所が書いてある缶が混在しうるのは、この二択があるためである。
04
「ブラック」は無糖という意味ではない
SOURCE: 規約 第5条(1) / 施行規則 第4条(1)
「ブラック」と書かれた缶を、砂糖もミルクも入っていないものだと受け取っている方は多いと思う。ところが規約が定めているのはミルクの側だけである。
Primary source quote
「ブラック」の用語は、乳製品又は乳化された食用油脂を使用しない場合に限り表示できる。また、糖類を使用したものにあっては、「ブラック」の文字と同一視野に「加糖」と表示する。
コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約 施行規則 第4条(1)より(当サイトが原文PDFで確認)。
⭐ 条文を分解すると、こうなる。 ①「ブラック」=乳製品・乳化された食用油脂を使っていない、という意味である。②砂糖は入っていてもよい。 ただしその場合は「ブラック」の文字と同じ視野に「加糖」と書かなければならない。つまり「ブラック」だけを見て無糖だと判断するのではなく、そのすぐ近くに「加糖」と書かれていないかを見るのが正しい読み方ということになる。
「加糖」を省略できる場合がある。 同じ条文の但し書きは、糖類の含有量を低減した旨(低糖、微糖等)の表示をした場合には「加糖」の表示を省略することができるとしている。「微糖」と書いてあれば、それ自体が糖類の存在を示しているため、重ねて「加糖」と書かなくてよいという考え方である。
「微糖」「低糖」の側にも手続きがある。 施行規則第3条(3)は、糖類の含有量を低減した旨の相対表示——つまり何かと比べて糖類が少ないという表示——について、比較の相手として「コーヒー飲料等通常品」を使う場合には、別紙様式1により公正取引協議会に事前に届け出ることを求めている。「一般的な缶コーヒーと比べて少ない」と言うためには、届出が要るということである。
05
「カフェオレ」「ラッテ」と名乗れる条件
SOURCE: 規約 第5条(2) / 施行規則 第4条(2)
ミルク入りをうたう言葉にも、成分と量の両方に基準がある。
Primary source quote
「ミルク入り」、「カフェ・オレ」、「カフェ・ラッテ」又はこれらに類するミルク入りを示す用語は、乳脂肪3パーセント以上及び無脂乳固形分8パーセント以上の成分を有する乳の製品がコーヒー飲料等の内容重量に対し5パーセント以上使用されている場合に限り表示することができる。
コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約 施行規則 第4条(2)より(当サイトが原文PDFで確認)。
| 条件 | 基準 | 何を見ているか |
| 乳の製品の中身 | 乳脂肪 3%以上 かつ 無脂乳固形分 8%以上 | 使う乳製品そのものの濃さ。この2つを満たすものだけが、ここでいう「乳の製品」として数えられる。 |
| 使う量 | 内容重量に対し 5%以上 | 缶全体に対して、その乳製品をどれだけ入れたか。 |
⭐ 二段構えになっているのがポイント。 「薄めた乳製品をたくさん入れる」やり方では条件を満たせないようになっている。中身の濃さの条件を満たした乳製品を、5%以上使う——この2つが同時に必要である。
「カフェオレ」と「ブラック」は同時に成立しない。 04のとおり「ブラック」は
乳製品を使わないことが条件で、こちらは
乳製品を5%以上使うことが条件である。
用語の定義そのものが排他になっている。
飲み物としてのカフェオレ・カフェラテについて。 喫茶店で出される一杯や、家庭で作るカフェオレは、この規約の対象ではない(→
01)。
ここに書かれているのは、あくまで容器に密封されて売られる商品の表示ルールである。
06
「プレミアム」「リッチ」には届出が要る
SOURCE: 規約 第5条(3) / 施行規則 第4条(3)
缶のデザインでよく見る格上げの言葉にも、規約は正面から条件を付けている。しかも、対象になる語をあらかじめ名指しで列挙している。
Primary source quote
スーパー(スペリオール)、スペシャル、プレミアム、エクセレント(エクセレンス)、ゴールド(ゴールデン)、ハイ、ロイヤル、リッチ、エキストラ、デラックス、セレクト
コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約 施行規則 第4条(3)①が列挙する用語(当サイトが原文PDFで確認)。括弧内は同じ扱いを受ける別の言い方。11語が挙げられている。
これらの言葉を使うには、施行規則第4条(3)②により、次の条件を満たす必要がある。
| 条件 |
| 前提 | 規約第2条第1項第1号に規定する「コーヒー」であること。つまり生豆換算5g以上/100gの区分でなければならない(→02)。「コーヒー飲料」に「プレミアム」とは書けない。 |
いずれか (ア) | レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約の別表2に定めるコーヒー豆の銘柄を51パーセント以上使用したもの |
いずれか (イ) | コーヒー豆の使用量を自社従来品と比較して2割以上増量する、又は製法の改良を伴うもの |
| 手続き | 別紙様式2により、全国コーヒー飲料公正取引協議会に事前に届け出る |
⭐ 別表2は、当サイトが別のページで扱っている「あの表」である。 ここで参照されている
別表2は、
袋側の規約——レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの規約——にある
銘柄の一覧表で、モカ、ブルーマウンテン、ハワイコナ、コロンビアスプレモといった名前が並んでいる(→
銘柄名のページ)。
缶コーヒーの規約は、銘柄の定義を自前で持たず、袋側の規約の表を借りているということになる。
2つの規約は別々でありながら、この一点で接続している。
「自社従来品と比べて2割増量」という条件の性質。 (イ)の基準は他社との比較ではなく、その会社自身の従来品との比較である。したがって「プレミアム」と書かれた缶どうしを比べても、含まれる豆の量が同じとは限らない。比較の基準点が各社の中にあるためである。この読み方は当サイトによる整理で、規約自身がそう説明しているわけではない。
届出制であることの意味。 この11語は
禁止されているのではなく、条件を満たしたうえで事前に届け出れば使える。
08で扱う
「使ってはいけない言葉」とは扱いが違うので、混同しないようにしたい。
07
「○○ブレンド」は51パーセント以上
SOURCE: 規約 第4条(1) / 施行規則 第3条(1)
缶に産地名や銘柄名を書く場合の基準である。まず大前提として、これを書けるのは「コーヒー」の区分だけである。
Primary source quote
特定の種類のコーヒーを使用している旨の表示は、規約第2条第1項第1号に規定する「コーヒー」にのみ表示できるものとする。
コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約 施行規則 第3条(1)柱書より(当サイトが原文PDFで確認)。
| 書き方 | 必要な割合 | 原文の定め |
「○○」 「○○コーヒー」 | 100パーセント | 特定の種類のコーヒー豆のみを使用している旨を表示する場合は、当該種類のコーヒー豆を100パーセント使用するものとする。 |
「○○ブレンドコーヒー」 「○○ブレンド」 「○○入りコーヒー」 | 51パーセント以上 | 2種類以上のコーヒー豆を混合したもののうち特定の種類を表示する場合は、当該種類のコーヒー豆を51パーセント以上使用するものとする。 |
社名や商標を冠したものは対象外。 但し書きは「特定の種類のコーヒー豆を示しているのではなく、『○○ブレンドコーヒー(○○には社名又は商標等)』等の社名又は商標等を冠したものにあってはこの限りではない」としている。会社名やブランド名を付けた「○○ブレンド」は、産地・銘柄の主張ではないため、この割合の規制がかからないということである。
⭐ 「名前を名乗るには何パーセント必要か」——当サイトが追っている論点である。 同じ問いに対して、
資料ごとに答えが違う。缶コーヒーの規約は
51パーセント、袋側の規約は
30パーセント、ハワイ州法は
10パーセントから51パーセントへ引き上げ(2027年7月1日施行)——
基準が一つに定まっていないことのほうが実態に近い。比較表は
ハワイコナのページ 07にある。
| ルール | 「○○ブレンド」と名乗る条件 | 対象 |
コーヒー飲料等の規約 (このページ) | 51%以上 | 缶・ペットボトルの「コーヒー」区分のみ |
| レギュラーコーヒー等の規約 | 30%以上 | 袋・瓶の豆/粉(→銘柄名のページ) |
国産である旨の表示にも規定がある。 施行規則第3条(2)は、国内で製造されたコーヒー飲料等であって、外国の国名・地名・国旗・紋章等、外国の事業者やデザイナーの氏名・名称・商標、文字による表示の全部または主要部分が外国の文字——このいずれかに当たる表示がされているものについては、「国産」「日本製」又は「日本産」等と明瞭に表示すると定めている。外国風のデザインによって、国内で製造されたことが分かりにくくなるのを防ぐ規定である。ただし製造者や製造所所在地が国内のものとして表示されている場合は省略できる。
08
使ってはいけない言葉
SOURCE: 規約 第6条 / 施行規則 第5条
規約第6条は不当表示の禁止として7項目を挙げ、施行規則第5条がその具体例を9つ列挙している。缶コーヒーの広告で見慣れた言葉が、そのまま並んでいる。
「濃厚」
施行規則第5条(5)が、不当表示の類型の例示として単独で挙げている。
コーヒー分の量は02の区分で決まっているため、濃さの主張は誤認につながりやすいという位置づけと読める。
施行規則 第5条(5)
「ストロング」
施行規則第5条(6)。これも単独で名指しされている。
施行規則 第5条(6)
「本格コーヒー」
「本格派の味」「本場」
施行規則第5条(7)。本格・本場といった言葉が、客観的に確かめられないまま優良性の主張に使われることを問題にしている。
施行規則 第5条(7)
「ベスト」「極上」「最高級」
施行規則第5条(4)。規約第6条(4)は「客観的な根拠に基づかないで、特選、高級等の文言を用いる」ことを禁じている。使えないのではなく、根拠なしには使えないという構造である。
規約 第6条(4)/施行規則 第5条(4)
「天然」「自然」「生」
「新鮮」「フレッシュ」
施行規則第5条(8)は、
客観的根拠に基づかないこれらの表示を例示している。
袋側の規約にもほぼ同じ列挙がある(→
パッケージの表示ルール 03)。
施行規則 第5条(8)
「純」「純粋」「純良」
「ピュアー」
施行規則第5条(9)。これも袋側の規約と共通している。2つの規約は別々に運営されているが、禁止例の考え方はよく似ている。
施行規則 第5条(9)
「コーヒーミルク」
「ミルクをたっぷり」
施行規則第5条(1)。
不当表示の例示の筆頭に置かれている。 05の「ミルク入り」に成分と量の基準があることと対になっている。
施行規則 第5条(1)
豆の量を誤認させる
絵・写真
施行規則第5条(2)は「使用したコーヒー豆の量を誤認させるような絵及び写真等の表示」を挙げている。言葉だけでなく、缶に印刷された絵も規制の対象になっている。
施行規則 第5条(2)
健康・美容・栄養・滋養
施行規則第5条(3)は、これらの文字を使って医薬品的な効能を示す表示を例示している。規約第6条(3)は病気の予防等について効能・効果があるかのように誤認されるおそれがある表示を禁じている。
規約 第6条(3)/施行規則 第5条(3)
他社の中傷・誹謗
規約第6条(6)。他の事業者のコーヒー飲料等を中傷し、又は誹謗するような表示を禁じている。
規約 第6条(6)
いちばん最初に置かれているのは、区分の詐称である。 規約第6条(1)は
「第2条第1項各号の定義に合致しない飲料について、それぞれの定義に合致した飲料であるかのように誤認されるおそれがある表示」を挙げている。
02の4区分を守ることが、この規約の中心にあるということが、条文の並び順からも読み取れる。
09
「カフェインレス」の缶側の定義
SOURCE: 規約 第2条第1項(5) / 施行規則 第2条(1)⑤
この規約も「カフェインレスコーヒー」を定義している。数値は袋側の規約と同じである。
Primary source quote
この規約で「カフェインレスコーヒー」とは、カフェインを90パーセント以上除去したコーヒーをいう。
コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約 第2条第1項(5)より(当サイトが原文PDFで確認)。
表示のしかたは、名称の後ろに括弧書き。 施行規則第2条(1)⑤は、コーヒー分としてカフェインレスコーヒーのみを使用したものについて、それぞれの名称の後に括弧を付して「カフェインレス」と表示すると定めている。「コーヒー飲料(カフェインレス)」のような書き方になるということである。「のみを使用した」という条件が付いている点にも注意したい。
「カフェインゼロ」ではない。 90パーセント
以上の除去という条件であって、まったく含まれないという意味ではない。
抜き方や実際の含有量はカフェインレスコーヒーのページで扱っている。
10
文字の大きさまで決まっている
SOURCE: 施行規則 第2条第3項・第4項
表示は「書いてあればよい」わけではない。施行規則は活字の大きさと色まで定めている。
| 対象 | 大きさの基準 |
| 一括表示欄の各項目 | 日本産業規格 Z8305(1962)に規定する8ポイント以上の統一のとれた活字 |
| 同上(小さい容器) | 表示可能面積がおおむね150平方センチメートル以下のものは5.5ポイント以上でよい |
| 使用上の注意 | 5.5ポイント以上の統一のとれた活字 |
| 商品名と同一視野に書く名称・「希釈用」等 | 14ポイント以上 |
⭐ コーヒー飲料/コーヒー入り清涼飲料で、 商品名に「コーヒー」等を使う場合の名称 | 16ポイント以上の肉太の文字 |
| 文字の色 | 背景の色と対照的な色とすること |
⭐ 5行目が、この規約でいちばん実務的な規定かもしれない。 施行規則第2条第3項(3)は、コーヒー飲料またはコーヒー入り清涼飲料について、商品名に「コーヒー」「○○コーヒー」等と表示する場合(カフェ、coffee の文言を含む)には、名称を16ポイント以上の肉太の文字で表示することと定めている。缶の表に大きく「COFFEE」と書かれていても、中身が「コーヒー」の区分ではない場合には、その本当の名称をより目立つ大きさで併記させる——という仕組みである。
基準になっているのはJISの活字規格。 条文が参照しているのは
日本産業規格 Z8305(1962)で、活字のポイントを定めた規格である。
袋側の規約も同じZ8305を参照している(→
パッケージの表示ルール 01)。
小さな瓶には省略が認められている。 施行規則第2条第4項は、印刷瓶入りで蓋または王冠(表示可能面積30平方センチメートル以下のものに限る)に表示するものについて、文字を5.5ポイント以上にできるほか、「原材料名」「内容量」「製造者」「販売者」「原産国名」の文字や、「賞味期限」「保存方法」「栄養成分の量及び熱量」「原料原産地名」等の表示を省略できるとしている。物理的に書ききれない容器のための例外規定である。
11
誰が、どうやって守らせているのか
SOURCE: 規約 第7条〜第11条 / 施行規則 第6条・第7条
規約第7条は全国コーヒー飲料公正取引協議会の設置を定めている。この規約が興味深いのは、表示が守られているかどうかを「分析」で確かめる仕組みを持っている点である。
| 方法 | 内容 |
カフェイン含有量の 分析検査 | 市販品について第2条第1項各号に定める定義に合致しているかを確認するため、施行規則の別紙「カフェイン定量法」により定期的に実施する。 |
| 表示の実態調査 | 市販品について、規約第2条から第6条までに定める基準に合致しているかを確認するため随時実施する。 |
| 製造工場への立入検査 | 上記の調査の結果、コーヒー豆の使用量に疑義が生じたとき、当該製造工場に立ち入り、台帳等を調査できる。 |
⭐ カフェインの量を測って、豆の量を確かめている。 02の区分は
「生豆換算で何グラムか」という原料の量で決まっている。ところが
できあがった缶を見ても、豆を何グラム使ったかは分からない。そこでこの規約は、
カフェインの含有量を測ることで、区分に合致しているかを確認するという方法を採っている。
定義は原料の量で書きながら、検証は成分の量で行う——この2段構えが、この規約の実効性を支えている。
ただし規約は、カフェイン量から生豆換算量をどう逆算するのかまでは書いていない(→
12)。
製造側には台帳の備付けが義務づけられている。 施行規則第6条は、事業者に製造ロットごとにコーヒーの使用量及び製品の製造数量を明確にした台帳等を製造工場に備え付けることを求め、コーヒー以外の原材料についても同様としている。保存期間は製造日から3年間(賞味期限までの期間が3か月以下のものは1年間)。立入検査で見られるのが、この台帳である。
| 違反の種類 | 措置 |
| 調査に協力しない | 文書による警告 → 従わないときは5万円以下の違約金又は除名処分(規約第9条第3項) |
| 表示が規約に違反している | 文書による警告(第10条第1項)→ 従わないときは50万円以下の違約金、除名処分、又は消費者庁長官に必要な措置を講ずるよう求める(第10条第2項) |
| 事業者側の反論 | 措置の決定案が送付され、事業者は10日以内に文書で異議を申し立てられる。申立てがあれば追加の主張・立証の機会が与えられる(第11条) |
この規約の位置づけ。 規約第1条は、これが
不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第36条第1項の規定に基づき定められたものだと述べている。
業界の自主ルールでありながら、公正取引委員会・消費者庁の認定を受けた公的なものである。全国コーヒー飲料公正取引協議会は、当サイトが基準とする
7団体そのものではないが、
この規約は公的に認定された表示ルールであるため一次資料として扱っている(袋側の規約と同じ扱い)。
12
今後追加すべき項目
- 「カフェイン定量法」の中身 — 施行規則の別紙として存在することは条文から確認できたが、今回入手したPDFには別紙そのものが収録されていない。カフェイン量から生豆換算量をどう導くのかが分かる資料であり、入手したい。令和3年11月18日にこの別紙が変更されていることも附則から分かっている。
- 別紙様式1・様式2 — 04の糖類低減の届出と、06のプレミアム等の届出に使う書式。同じく今回のPDFには収録されていない。
- 全国コーヒー飲料公正取引協議会の基本情報 — 設立年、法人格、加盟事業者数、公式サイトの有無は未確認。袋側の全日本コーヒー公正取引協議会との関係も未確認。
- 実際の措置事例 — 警告・違約金・除名の事例が公表されているかどうかは未確認。袋側の規約についても同じ宿題が残っている(→パッケージの表示ルール 07)。
- 規約の改訂履歴の中身 — 附則から昭和52年の認定以降、平成7年・8年・19年・21年・24年・25年・28年・令和元年・令和3年・令和6年に変更があったことは分かるが、各回で何が変わったのかは未確認。
- 実際の商品での確認 — 当サイトは規約の原文のみを根拠にしており、市販の缶コーヒーの表示を調査したわけではない。具体的な商品名は一切挙げていない。
- 栄養成分表示の詳細 — 施行規則第2条(12)は食品表示基準に委ねているため、このページでは扱っていない。
- 全国コーヒー飲料公正取引協議会「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約及び施行規則」(昭和52年12月22日 公取指第947号認定/最新の変更は令和6年9月9日認定・令和6年10月1日施行)— 規約 第1条・第2条・第3条・第4条・第5条・第6条・第7条・第8条・第9条・第10条・第11条、施行規則 第1条・第2条・第3条・第4条・第5条・第6条・第7条、および附則。当サイトが原文PDF(全19ページ)を取得して全文確認した(jfftc.org、2026年8月21日取得)
- 全日本コーヒー公正取引協議会「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約 及び 同施行規則」(平成30年5月21日認定)— 01の適用除外規定、06の別表2、07の30パーセント基準、09のカフェインレスの定義。当サイトのパッケージの表示ルール・銘柄名のページで扱っている
- 出典の位置づけについて:公正競争規約は景品表示法に基づく業界の自主ルールで、公正取引委員会・消費者庁の認定を受けたもの。当サイトが基準とする7団体そのものではないが、日本国内の表示について公的に認定されたルールであるため一次資料として扱った。
- 計算例(03)と、規約どうしの比較(01・07・09)は、当サイトが原文の数値から作成した整理である。規約自身がそのように説明しているわけではない。