HACHIMARU COFFEE ROASTERY
品種ページ / Variety

IAPAR 59IAPAR 59(イアパール59)

サルチモール群に属するさび病耐性品種。ティモール・ハイブリッド 832/2 とビジャサルチの交配から、ブラジル・パラナ州立農事試験場(IAPAR)が血統選抜したもの。さび病だけでなく、線虫(ネマトーダ)の一部にも耐性を持つ点が、当サイトの他のサルチモール系品種にはない特徴である。一方で高標高での品質評価はWCRの5段階で下から2番目の「低い」とされており、耐病性と品質のトレードオフがはっきり出ている品種でもある。

サルチモール系(導入系)
線虫耐性
耐性あり
高標高での品質
低い
育成
IAPAR(ブラジル)
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基本情報

SOURCE: WCR VARIETY CATALOG
品種名
IAPAR 59
系統・成り立ち
ティモール・ハイブリッド 832/2 × ビジャサルチTimor Hybrid 832/2 x Villa Sarchi
育成機関
Instituto Agronômico do Paraná(IAPAR)ブラジル・パラナ州。品種名の「IAPAR」はこの機関名に由来する
選抜方法
血統選抜Pedigree selection
発表年
WCRカタログに記載なし。 マルセジェサには「2009年release」の記載があるのに対し、IAPAR 59のエントリには年の記載がない
遺伝的系統区分
導入系・サルチモール関連Introgressed (Sarchimor related)
WCRによる要約
「中程度の標高に適応した高収量品種。さび病と一部の線虫に耐性がある
WCRの要約と個別項目の評価に、ずれがある。 上記の通りWCRの要約文はIAPAR 59を「High yielding plant(高収量品種)」と書き出しているが、同じエントリの「収穫量ポテンシャル」欄の評価はMedium(中程度)である。同じ書き出しを持つマルセジェサのほうは収量欄が High で、要約と一致している。当サイトでは、要約文と個別項目のどちらか一方を採用して辻褄を合わせることはせず、両方をそのまま併記する(出典が自分自身と食い違っている場合は、それ自体を記載するという当サイトの方針による)。
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詳細スペック

SOURCE: WCR CATALOG, 2026-08-11 取得
評価の目安: 良好 標準 要注意 — WCRカタログ自身の区分(Low/Medium/High/Exceptional等)をそのまま可視化したもの
樹形
矮性・コンパクトDwarf/Compact
新芽の葉色
薄いブロンズLight Bronze
豆のサイズ
平均的Average
収穫量ポテンシャル
中程度Medium
高標高での品質
低いLow
最適標高帯
低〜中Low, Medium(北緯5°〜南緯5°:1,000〜1,600m/5〜15°:700〜1,300m/15°超:400〜1,000m)
さび病(CLR)耐性
中程度の耐性Intermediate resistance
線虫耐性
耐性ありResistant(ただし下記の但し書きあり)
コーヒーベリー病(CBD)耐性
感受性ありSusceptible
初収穫までの年数
3年目
必要な栄養レベル
高いHigh
果実の成熟時期
平均的Average
生豆歩留まり
高いHigh
推奨植栽密度
5,000〜6,000本/ha(単幹剪定の場合)
「線虫に耐性あり」は、線虫の種を選ぶ。 WCRは補足欄でPratylenchus spp.には耐性がない。Meloidogyne exiguaには耐性がある」と明記している。上の表の「耐性あり」はネマトーダ全般への耐性ではないT5296のほうは線虫欄が「不明」で、補足に「Pratylenchus spp.には耐性なし、Meloidogyne exiguaには耐性の程度にばらつきがある可能性」とある——ばらつきのあった集団から、IAPARがM. exigua耐性の系統を固定したという読み方ができるが、その選抜過程自体はWCRカタログには書かれていないため、当サイトとしては推測の域を出ないことを明記しておく。
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同じ交配、違う結果——マルセジェサとの比較

SOURCE: WCR VARIETY CATALOG(両品種のエントリ)

IAPAR 59とマルセジェサは、WCRのLineage欄に記されている交配がどちらも「ティモール・ハイブリッド 832/2 × ビジャサルチ」である。同じ交配から出発しながら、育種した国も機関も違い、評価も一致しない。T5296のページで扱った「サルチモールは品種名ではなく群の名前」という注意が、具体的な数字として現れている箇所である。

サルチモール系3エントリの比較。いずれもWCR Variety Catalogの各エントリ(2026年8月11日取得)より。
項目IAPAR 59マルセジェサT5296
育成機関IAPAR(ブラジル)CIRAD-ECOM—(記載なし)
選抜地ブラジルニカラグアコスタリカ(CATIE)
新芽の葉色薄いブロンズ
豆のサイズ平均的平均的大きい
収穫量ポテンシャル中程度高い中程度
高標高での品質低い良い良い
さび病耐性中程度中程度中程度
線虫耐性耐性あり(種による)感受性あり不明
CBD耐性感受性あり耐性あり耐性あり

樹形・最適標高帯・初収穫年・必要栄養レベル・成熟時期・生豆歩留まり・植栽密度は3つとも同一の評価である。IAPAR 59に固有なのは「線虫耐性を得た代わりに、CBD耐性と高標高での品質を失っている」という組み合わせで、ブラジルという産地——線虫被害が問題になり、かつCBDが存在せず、標高もそれほど高くない——に合わせた選抜として筋が通っている。ただしこの解釈自体はWCRカタログに書かれているものではない。

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今後追加すべき項目

  1. World Coffee Research, Variety Catalog「IAPAR 59」(varieties.worldcoffeeresearch.org/varieties/iapar-59、2026年8月11日取得)
  2. World Coffee Research, Variety Catalog「Marsellesa」「T5296」(同日取得、03章の比較表)