HACHIMARU COFFEE ROASTERY
品種ページ / Variety

ビジャサルチVilla Sarchi

カトゥーラパカスと同じく、単一遺伝子の変異によって樹が小さくなったブルボンの自然変異種。1950年代または1960年代にコスタリカのアラフエラ州北西部で発見された。さび病耐性品種群「サルチモール(Sarchimor)」の名前の由来となった品種でもあり、当サイトのカスティージョタビのページで登場する耐病性育種の系譜と直接つながっている。

最適標高帯
高(1,000m〜、緯度依存)
樹形
矮性・コンパクト
豆のサイズ
平均以下
特記
強風に強い
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基本情報

SOURCE: WCR VARIETY CATALOG
品種名
ビジャサルチVilla Sarchi(別名:La Luisa、Villalobos Bourbon)
系統・成り立ち
ブルボンの自然変異種。単一遺伝子の変異による矮性化Dwarf/Compactism
発見地
コスタリカ・アラフエラ州Alajuela北西部
発見年
1950年代または1960年代(WCRカタログの記述も年代を特定していない)
育種機関
コスタリカコーヒー研究所Instituto del Café de Costa Rica(ICAFE)。発見地で系統選抜が行われた
栽培の広がり
コスタリカ国外ではあまり栽培されていない。ただし1974年にIHCAFEがホンジュラスへ導入
栽培上の強み
最も高い標高条件によく適応し、強風に耐性があるとWCRが明記
遺伝的系統区分
ブルボン・ティピカ群(ブルボン系)
1974年、IHCAFEはビジャサルチとパカスを同じ年にホンジュラスへ導入している。 パカスのページで扱った通り、エルサルバドル由来のパカスがホンジュラスに入ったのも1974年、IHCAFE経由。ブルボンの矮性変異種を各国から集めて導入した時期があったことがうかがえる。
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詳細スペック

SOURCE: WCR CATALOG, 2026-08-10 取得
評価の目安: 良好 標準 要注意 — WCRカタログ自身の区分(Low/Medium/High/Exceptional等)をそのまま可視化したもの

最適標高帯(WCRカタログの区分は「High」)は緯度により変動する — カタログ自身の目安を可視化:

2,000m1,500m1,000m500m0m
1,600m+北緯/南緯
5°以内
1,300m+5〜15°
1,000m+15°以上
樹形
矮性・コンパクトDwarf/Compact
新芽の葉色
Green
豆のサイズ
平均以下Below Average
収穫量ポテンシャル
中程度
高標高での品質
良いGood
さび病(CLR)耐性
低い・感受性あり
線虫耐性
感受性あり
コーヒーベリー病(CBD)耐性
感受性あり
初収穫までの年数
3年目
必要な栄養レベル
高いHigh
果実の成熟時期
平均的Average
生豆歩留まり
平均的Average
推奨植栽密度
5,000〜6,000本/ha(単幹剪定の場合)
遺伝的系統区分
ブルボン・ティピカ群(ブルボン系)
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ブルボンの矮性変異、3品種の比較

SOURCE: WCR VARIETY CATALOG(3品種のエントリ)

WCRはビジャサルチの説明を「カトゥーラパカスと同様に」という書き出しで始めている。同じ「ブルボンが単一遺伝子の変異で小さくなる」という現象が、ブラジル・エルサルバドル・コスタリカでそれぞれ独立に見つかり、各国で定着した。3つを並べると違いがはっきりする。

いずれもブルボンの自然変異種(矮性・単一遺伝子変異)。WCR Variety Catalogの各エントリより。
項目カトゥーラパカスビジャサルチ
発見国ブラジルエルサルバドルコスタリカ
発見年1915〜1918年1949年1950年代〜60年代
育種機関IAC(ブラジル)ISIC(エルサルバドル)ICAFE(コスタリカ)
豆のサイズ平均的平均的平均以下
高標高での品質良好良い良い
必要な栄養レベル高い中程度高い
栽培の広がり中南米全域に普及エルサルバドル生産の約25%コスタリカ国外ではあまり栽培されず
耐病性品種の親としてカティモールCatimorサルチモールSarchimor

収穫量ポテンシャル(いずれも中程度)、初収穫までの年数(3年目)、推奨植栽密度(5,000〜6,000本/ha)、さび病・線虫・CBDへの感受性は3品種とも同じ。矮性という同じ変異が、収量と栽培密度に関して同じ結果をもたらしていることが数字の上でも確認できる。

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「サルチモール」の由来

SOURCE: WCR VARIETY CATALOG「Villa Sarchi」History より

ビジャサルチが最もよく知られているのは、耐病性品種群「サルチモール」の名前の片方になっていることによる。WCRカタログはその経緯を次のように記している。

背景
1970年代、中南米の育種家・生産者、そしてこの地域のコーヒーに依存する世界のコーヒー産業は、中南米に到達したばかりのコーヒーさび病を強く懸念していた
1958年または1959年
ポルトガルのコーヒーさび病研究センターCIFCが、ティモール・ハイブリッドの種子を2回に分けて受け取る。ティモール・ハイブリッドは1920年代に東ティモール島で自然発生したアラビカ×ロブスタの交配種で、ロブスタ由来の遺伝子がさび病耐性をもたらしていた
選抜
2回分の種子から、さび病への高い抵抗性を理由に2個体が育種用に選ばれた
1967年
CIFCの育種家が、さび病に耐性があり、かつ密植できるコンパクトな樹形を併せ持つ新品種の開発に着手
サルチモールの誕生
耐性個体のひとつHDT CIFC 832/2を、コンパクトなビジャサルチと交配してハイブリッド361(H361)を作出。これが「サルチモールSarchimor」と名づけられた
カティモールとの違い
同じくティモール・ハイブリッドを、コンパクトなカトゥーラと交配したものが「カティモールCatimor」と呼ばれた(ただしHDTの系統番号は異なり、サルチモールは832/2、カティモールは832/1)。群の母体はT8667
当サイトの他の品種ページとのつながり。 カスティージョ(コロンビア)とタビ(同)は、いずれもティモール・ハイブリッド(=ティモール・ハイブリッド)を耐病性の親とする品種で、タビのページでは育種にVilla Sarchi×Caturra×ティモール・ハイブリッド由来の高木性分離株が一部使われたことにも触れている。またホンジュラスのページで登場するIHCAFE 90は、WCRカタログ上ティモール・ハイブリッド×カトゥーラ=カティモール系にあたる。「サルチモール」「カティモール」という耐病性品種群の名前は、どちらもティモール・ハイブリッドと、掛け合わせた矮性品種の名前を合成したものである。
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今後追加すべき項目

  1. World Coffee Research, Variety Catalog「Villa Sarchi」(varieties.worldcoffeeresearch.org/varieties/villa-sarchi、2026年8月10日取得)
  2. World Coffee Research, Variety Catalog「Caturra」「Pacas」(同日取得、03章の比較表)