品種ページ / Variety / 当サイト初のカネフォラ種の品種
Sln.1RSelection 1 Robusta
これまでの品種ページ(ブルボン・カトゥーラ等)はすべてアラビカ種(Coffea arabica)だったが、Sln.1R(別名S.274)はカネフォラ種(Coffea canephora、いわゆるロブスタ)。インドCCRI(中央コーヒー研究所)が1940年代後半に発表した、世界で初めて公式に発表されたロブスタ品種とされる。インド・ベトナム・ウガンダ・インドネシア・ブラジルなど、当サイトが扱ってきたロブスタ主要産地の多くで商業栽培されている。
- 発表年
- 1940年代後半
- 発表機関
- CCRI(インド中央コーヒー研究所)
- 収穫量ポテンシャル
- 1,500〜3,000kg/ha
- 豆のサイズ
- 中程度(スクリーン15〜16)
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基本情報
SOURCE: WCR Robusta Variety Catalog
- 品種名
- Sln.1R(Selection 1 Robusta)、別名S.274
- タイプ
- ポリクローナル品種(複数クローンの組み合わせで構成される品種)
- 遺伝的系統
- ギニア系統×Coffea congensis群
- 血統
- Coffea congensis × Coffea canephora の交配後、ロブスタへの戻し交配を繰り返し、BC2(戻し交配2代目)から選抜
- 発表機関
- CCRI(Central Coffee Research Institute)、インド・コーヒー局(Coffee Board of India)傘下
- 発表年
- 1940年代後半——WCR Robusta Variety Catalogは、これを世界で初めて公式に発表されたロブスタ品種と位置づけている
- 構成
- S.270・S.274の2クローンから成り、単独植栽ではなく混植が必要(分離して植えると結実率が下がるため)
この品種は「ロブスタ群」ではない。 WCRカタログはSln.1Rの遺伝的系統を
「ギニア系統 × Coffea congensis 群」と記している。カネフォラ種の遺伝的多様性は
コンゴ群と
ギニア群に大きく分かれ、
「ロブスタ」も「コニロン」もコンゴ群の下位区分(それぞれSG2・SG1)である。つまりSln.1Rは
ロブスタ群にもコニロン群にも属さない、第3のギニア群(群D)にあたる。この階層は
コーヒーの「種」とはで扱っている。
02
詳細スペック
SOURCE: WCR Robusta Variety Catalog, 2026-08-06 取得
評価の目安:
▲ 良好
● 標準
▼ 要注意
— WCRカタログ自身の区分をそのまま可視化したもの
- 樹形
- 矮性・コンパクトDwarf/Compact、非常に旺盛な生育で中〜大型の樹に育つ
- 収穫量ポテンシャル
- 1,500〜3,000kg/ha。ただし35年間の試験平均では約1,000kg/ha程度の記録という注記あり
- 豆のサイズ
- 中程度Medium(スクリーン15〜16)
- チェリー→生豆の歩留まり
- 20%
- 推奨植栽密度
- 1,000〜2,000本/ha(単幹剪定の場合)
- 果実の成熟時期
- 遅いLate
病害虫耐性(WCRカタログ準拠):
- さび病(CLR)耐性
- 中程度の耐性Intermediate resistance●
- コーヒーベリー病(CBD)耐性
- 不明Unknown
- 線虫耐性
- 耐性ありTolerant▲
- コーヒーベリーボーラー耐性
- 不明Unknown
- 穿孔虫(Shoot Hole Borer)耐性
- 耐性ありTolerant▲
「ポリクローナル」という育種方式について。 アラビカ種の多くの品種が単一の系統・クローンとして扱われるのに対し、Sln.1Rは2つのクローン(S.270・S.274)を意図的に混植する方式を取る。カネフォラ種は自家不和合性(自分自身の花粉では結実しにくい性質)を持つ系統が多く、他家受粉を確実にするための工夫とされる(WCRカタログの記載から読み取れる範囲での理解であり、自家不和合性の一般的な仕組みそのものについては別途一次資料での確認が必要)。
後続品種Sln.2Rとの違い。 同じCCRI発表のポリクローナル品種だが、Sln.2Rは3クローン構成でSln.1Rより大粒(スクリーン17超)かつAグレード豆の歩留まりが安定する一方、さび病耐性はSln.1Rの「中程度」より劣る「低い・感受性あり」評価になっている。詳細は
Sln.2R品種ページを参照。
03
今後追加すべき項目
- Sln.4R以降のさらなる後継品種 — Sln.1R〜3Rの系譜はSln.3Rページの比較表で整理済み。それ以降の品種の有無は今回未調査。
- カッピングスコア・風味評価 — 今回参照したWCRエントリには収量・耐病性等の農学的データが中心で、カップクオリティに関する記述は確認できなかった。
- CCRI自身の一次資料での裏付け — 現時点ではWCRカタログ経由の情報のみ。CCRI(インドページで既出)自身の公表資料に今後あたる。
- COE等の品評会での実例 — カネフォラ種を対象とした品評会(Q Robustaプログラム等)での本品種の実例は今回未調査。
- World Coffee Research, Robusta Variety Catalog「Sln.1R」(varieties.worldcoffeeresearch.org/varieties/sln-1-r、2026年8月6日取得)