有機(オーガニック)と
フェアトレード
コーヒーの袋に「有機」「オーガニック」と書けるのは、有機JASマークが付いているものだけである。これは法律で決まっていて、英語で「Organic」とだけ書いた輸入品も同じ扱いになる。一方「フェアトレード」は、国の制度ではなく、国際的な認証団体が決めた取引の条件で、生産者に払う最低価格などを定めている。どちらも、コーヒーの味を点数で評価するしくみではない。
- 「有機」と書ける条件
- 有機JASマークが必要
- コーヒーの木の場合
- 最初の収穫の3年以上前から基準どおりに栽培
- フェアトレード最低価格
- 1ポンド1.80ドル(2026年12月から2.00ドル)
- フェアトレードの上乗せ
- 1ポンド0.20ドル
「有機」と書けるのは、有機JASマークが付いたものだけ
SOURCE: 農林水産省「有機食品の検査認証制度」[1]農林水産省は、有機JAS制度を次のように説明している[1]。
- だれがマークを付けられるか
- 国に登録された登録認証機関が検査し、認証した事業者だけが、有機JASマークを付けられる
- マークが無いもの
- 農産物・畜産物・加工食品に、有機JASマークが無いまま「有機」「オーガニック」などと書くこと、紛らわしい表示をすることは、法律で禁止されている
有機JASの基準は、何を求めているか
SOURCE: 日本農林規格「有機農産物」JAS 1605:2024[2]有機農産物の日本農林規格は、生産の原則として、化学的に合成された肥料と農薬の使用を避けることを基本とし、土の力を生かし、農業による環境への負担をできるだけ減らす栽培方法をとることを挙げている[2]。
- コーヒーの木のような多年生の植物
- 最初の収穫の3年以上前から、規格どおりの方法で栽培していること
- 一年ごとに種をまく作物
- 種まき・植え付けの2年以上前から
- 周りからの持ち込み
- 近くの畑などから、使ってはいけない資材が飛んできたり流れ込んだりしないよう、対策をとっていること
規格には、使ってよい肥料・農薬の一覧など、ほかにも細かい決まりがある。このページでは、コーヒーの買い手にかかわる部分だけを取り上げた。
コーヒーの袋では、どう書かれるか
SOURCE: 農林水産省 Q&A[3]/公正競争規約施行規則 第3条(2)[4]農林水産省のQ&Aは、有機JASの対象の例として、「コーヒー生豆」を有機農産物に、「コーヒー豆」を有機加工食品に挙げている[3]。生豆は畑でとれた農産物、焙煎した豆は加工した食品、という分け方である。
袋の表示のしかたは、コーヒーの表示ルール(公正競争規約)の施行規則が細かく決めている[4]。
- 名称
- 「有機レギュラーコーヒー」または「レギュラーコーヒー(有機)」(インスタントなら「有機インスタントコーヒー」など)
- 原材料名
- 有機のコーヒー豆を使ったときは「有機コーヒー豆」または「コーヒー豆(有機)」
- 割合
- 有機のコーヒー豆を使ったことを書くときは、その重量の割合を近くに書く。100%なら書かなくてよい
輸入される有機のコーヒー
SOURCE: 農林水産省 Q&A[3]/令和6年度 格付実績[5]有機JASマークが付いて日本に入ってくる経路は、大きく2つある。
- 外国で有機JASの認証を受ける
- 外国の生産者や加工業者が、登録認証機関から有機JASの認証を受け、自分でマークを付ける
- 「同等性」のある国の認証を使う
- 日本と有機の制度が同等だと認め合った国・地域で有機と認証されたものを、日本の認証を受けた輸入業者がマークを付けて売る。その国の中で作られ、その国の政府などの証明書があることが条件[3]
農林水産省の令和6年度の集計は、同等性のある国・地域として、アメリカ、アルゼンチン、イギリス、オーストラリア、カナダ、スイス、ニュージーランド、EU加盟国、台湾を挙げている[5]。
| 令和6年度の有機JAS格付 | 国内で格付 | 外国で格付 | うち日本向けに出荷 |
|---|---|---|---|
| コーヒー生豆(有機農産物) | 0トン | 60,746トン | 4,897トン |
| コーヒー豆(有機加工食品) | 3,711トン | 1,330トン | 351トン |
| コーヒー飲料(有機加工食品) | 2,145トン | 397トン | 121トン |
農林水産省「令和6年度 認証事業者に係る格付実績」より[5]。「外国で格付」には、外国で消費されたものや日本以外へ輸出されたものも含まれる。国内の有機JASのコーヒー生豆はゼロで、日本で「有機」と表示されるコーヒーの生豆は、すべて外国で格付けされたものということになる。
フェアトレードは、取引の条件を決めた認証
SOURCE: Fairtrade International の発表(2023年3月・2026年7月)[6][7][8]フェアトレードの国際的な認証を運営する Fairtrade International(本部ドイツ・ボン)は、コーヒーについて、生産者の組合に支払う最低価格と、それに上乗せするプレミアムを決めている。2023年時点で、31か国・650以上の生産者組織、約90万人の農家が認証を受けているという[6]。
| 1ポンド(約454g)あたり | 2023年8月から | 2026年12月1日から |
|---|---|---|
| 最低価格:ウォッシュドのアラビカ | 1.80ドル | 2.00ドル |
| 最低価格:ナチュラルのロブスタ | 1.20ドル | 1.30ドル |
| フェアトレード・プレミアム | 0.20ドル | 0.20ドル(据え置き) |
| 有機の場合の上乗せ | 0.40ドル | 0.40ドル(据え置き) |
- 最低価格
- 市場の価格がこれより下がったときだけ効く「下支え」。市場の価格が高いときは、生産者はそれより高く売れる[8]
- プレミアム
- 売値に上乗せされるお金で、使い道は生産者の組合が自分たちで決める(生産性の向上、気候への対応、品質、設備、地域の暮らしなど)[6][8]
- 有機の上乗せ
- 有機の認証も受けたコーヒーに加わる。2021年に売れたフェアトレードのコーヒー豆の半分以上は、有機の認証も受けていた[6]
どちらも、味の評価とは別のしくみ
有機JASはどうやって作ったかの基準、フェアトレードはどういう条件で取引したかの基準である。コーヒーの味や品質を点数で評価するしくみ(SCAのCVAや、カップ・オブ・エクセレンスなど)とは、別の物差しになっている。有機やフェアトレードのマークが付いているかどうかと、そのコーヒーの味の評価は、それぞれ別に見る必要がある。
今後追加すべき項目
- ほかの認証 — レインフォレスト・アライアンス、スミソニアン渡り鳥センターの「Bird Friendly」(→シェード栽培 06)などがある。それぞれの運営団体の基準は未確認。
- 日本国内のフェアトレード表示 — 日本での認証マークの運用(フェアトレード・ラベル・ジャパン)は未確認。
- 有機加工食品の規格の細部 — 焙煎の工程で使ってよいもの・いけないもの(有機加工食品のJAS)は未確認。
- 農林水産省「有機食品の検査認証制度」(2026年9月24日取得)— 有機JASマークと有機表示の規制
- 日本農林規格「有機農産物」JAS 1605:2024(2005年10月27日制定、2024年7月1日改正。農林水産省、2026年9月24日取得)— 4 生産の原則、5.1 ほ場
- 国税庁・農林水産省「有機農産物、有機加工食品、有機畜産物及び有機飼料のJASのQ&A」(令和7年10月、全118ページ、2026年9月24日取得)— 問5-3、問5-4、同等性を利用した輸入の対象物資の例(コーヒー生豆・コーヒー豆)
- 全日本コーヒー公正取引協議会「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約 及び 同施行規則」— 規約第5条、施行規則第3条(2) 有機加工食品に関する表示基準
- 農林水産省「令和6年度 認証事業者に係る格付実績」(令和8年5月掲載、2026年9月24日取得)— コーヒー生豆・コーヒー豆・コーヒー飲料の格付数量、注1(同等性のある国・地域)
- Fairtrade International「Fairtrade Increases Coffee Minimum Price As Farmers Face Mounting Economic and Climate Pressures」(2023年3月30日、2026年9月24日取得)— 2023年8月からの最低価格、有機の上乗せ、認証農家の規模、プレミアム
- Fairtrade International「Fairtrade Minimum Price for coffee – Q&A – March 2023」(2026年9月24日取得)— プレミアム1ポンド20セント
- Fairtrade International「Fairtrade International secures a stronger safety net for coffee farmers while considering market conditions in announcing new minimum prices」(2026年7月30日、2026年9月24日取得)— 2026年12月1日からの最低価格、プレミアムと有機の上乗せの据え置き、最低価格のしくみ