市場・統計コンテキスト
世界のコーヒー生産・消費の統計、日本国内の消費動向、スペシャルティコーヒーの市場規模と価格の推移をまとめるページ。全日本コーヒー協会(AJCA)が公表する「コーヒー関係統計」(USDA・ICO統計を含む)と、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が会員社・一般消費者向けに実施した市場調査(2024年・2025年)を一次資料としている。
世界のコーヒー生産・消費
SOURCE: 全日本コーヒー協会「コーヒー関係統計」2025年(USDA・ICO統計)世界のコーヒー生産量(アラビカ種+カネフォラ種)は、USDA(米国農務省)統計によれば近年17,000万袋前後で推移し、2025/26年度は過去最高の178,680千袋(60kg換算)と見込まれている。
| 年度 | 2020/21 | 2021/22 | 2022/23 | 2023/24 | 2024/25 | 2025/26 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 世界生産量計(千袋) | 176,549 | 165,044 | 164,389 | 169,345 | 174,395 | 178,680 |
生産国のコーヒー年度は国ごとの収穫期に応じて開始月が異なる(例:ブラジル7月、コロンビア10月、インドネシア4月)。非生産国(消費国側の集計)は10月開始とする。
アラビカ種は世界最大の産地であるブラジルが牽引し(同資料によれば2025/26年度のブラジル・アラビカ生産量は約40,900千袋)、カネフォラ種はベトナムが世界最大の産地となっている(同年度で約30,000千袋)。
主要消費国の一人当たり年間消費量
SOURCE: ICO統計資料(2025年7月)/全日本コーヒー協会「コーヒー関係統計」2025年経由ICOの統計によれば、日本の一人当たり年間コーヒー消費量は主要消費国の中では低い水準にあるが、近年は緩やかに増加している。北欧・スイスは世界でも突出して消費量が多い地域として知られる。
| 国・地域 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
|---|---|---|---|
| スイス | 8.30 | 8.00 | 7.20 |
| ノルウェー | 7.80 | 7.70 | 9.70 |
| USA | 5.27 | 5.33 | 5.66 |
| EU | 4.80 | 4.80 | 4.20 |
| イギリス | 3.40 | 3.40 | 3.20 |
| 日本 | 2.40 | 3.60 | 3.40 |
単位:kg/人/年
日本国内の消費動向
SOURCE: 全日本コーヒー協会「コーヒー関係統計」2025年(総務省統計・経済センサス活動調査を含む)日本国内の喫茶店(コーヒーを提供する飲食店)の店舗数は、1981年の154,630店をピークに減少を続けている。一方で、二人以上世帯の年間コーヒー支出額・購入数量は、緑茶が減少傾向にあるのに対して増加傾向にある。
| 年 | 1966 | 1981(ピーク) | 1996 | 2006 | 2016 | 2021 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 喫茶店 事業所数 | 27,026 | 154,630 | 101,945 | 81,062 | 67,198 | 58,669 |
出典:経済センサス活動調査(産業横断的集計)、令和3年結果は2023年6月27日公開分。
一方、家計の年間支出(二人以上世帯・品目別)を見ると、緑茶は金額・数量とも一貫して減少しているのに対し、コーヒーは増加傾向が続いている。
| 年 | 緑茶(金額/数量) | 紅茶(金額/数量) | コーヒー(金額/数量) |
|---|---|---|---|
| 2000年 | 6,820円/1,213g | 963円/250g | 5,252円/1,713g |
| 2010年 | 4,424円/948g | 824円/250g | 4,860円/2,156g |
| 2015年 | 4,083円/843g | 734円/200g | 6,266円/2,411g |
| 2020年 | 3,817円/827g | 790円/189g | 6,988円/2,756g |
| 2023年 | 3,214円/676g | 843円/181g | 7,642円/2,631g |
| 2024年 | 3,194円/671g | 895円/192g | 7,890円/2,520g |
2000年から2024年の間に緑茶の年間支出額は6,820円→3,194円(約53%)に減少した一方、コーヒーは5,252円→7,890円(約1.5倍)に増加している。数量ベースでは、コーヒーは1,713g→2,520g(約1.47倍)に増加し、購入形態が「豆・粉」から抽出済み飲料まで多様化してきた期間と重なる。
スペシャルティコーヒーの市場規模
SOURCE: SCAJ「スペシャルティコーヒー市場調査2024」(2025年3月、株式会社KITコンサルティング・株式会社フィールドブック実施)SCAJが2年おきに実施する会員社インタビュー調査(2024年度は総合商社・専門商社・大中小ロースター計30社)によれば、他社を介さない自社ダイレクト輸入量ベースで見たスペシャルティコーヒーの比率は、2024年に13.4%となり、直近の調査の中では最高値を記録した。
| 年度 | 2016 | 2018 | 2020 | 2022 | 2024 |
|---|---|---|---|---|---|
| コーヒー輸入量計(トン) | 413,999 | 445,233 | 451,899 | 461,867 | 399,501 |
| うちスペシャルティ(トン) | 33,889 | 48,866 | 56,119 | 47,537 | 53,608 |
| スペシャルティ比率 | 8.2% | 11.0% | 12.4% | 10.3% | 13.4% |
この数値は、商社間・商社ロースター間などの重複取引を含む「会員各社のコーヒー取扱量合計」(2024年は546,795トン、スペシャルティ60,014トン、加重平均比率11.0%)とは別の集計で、ダブルカウントを排除するために自社が直接輸入した量のみを聞き取った、より厳密な数字である。
仕入れ・小売価格の推移(会員社調査)
SOURCE: SCAJ「スペシャルティコーヒー市場調査2024」2022年度調査と比較すると、2024年度は輸入・卸価格、小売価格ともに全区分で上昇している。回答29社のうち28社が「輸入価格・卸価格が上がった」と回答し、「安くなった」は1社のみだった。
- 輸入価格下限(FOB・全回答平均)
- 2024年 $2.96/ポンド(2022年 $2.64、+12.1%)。回答幅は$1.50〜5.00
- 輸入価格下限(円建て・全回答平均)
- 2024年 1,160円/kg(2022年 1,038円、+11.8%)
- 小売・売れ筋価格帯(100g・全回答平均)
- 2024年 930円(2022年 708円、+31.4%)。回答幅は450円〜1,300円
- 小売・上限価格帯(100g・全回答平均)
- 2024年 1,577円(2022年 1,144円、+37.8%)。回答幅は700円〜3,000円
- 価格転嫁の状況
- 回答29社中16社(55%)が「ほぼ全部」転嫁できていると回答。大手取引先ほど国際情勢への理解が進み値上げが通りやすい一方、量販店取引や小規模小売では価格転嫁が難しいとの声も
産地の評価・焙煎傾向(会員社調査)
SOURCE: SCAJ「スペシャルティコーヒー市場調査2024」会員社が自社の最高品質ロットの産地として挙げた国(n=29、複数回答、計33か国)では、エチオピアが9回答で最多、次いでブラジル6、ケニア・コスタリカが各5、グアテマラ3の順だった。消費者に好評な産地として会員社が想定する国(スペシャルティコーヒー、n=29、複数回答)でも、エチオピア25回答・グアテマラ24回答が突出して多く、ブラジル17、コロンビア・ケニア・インドネシアが各16と続く。
自社最高品質ロットのカッピングスコア分布(n=28)は「85〜89点」が16社と最多で、80点未満の回答はなかった。使用カッピングフォームはSCAが19社で最多、COEが7社、SCAJ独自フォームが2社。
ロースターの顧客層におけるスペシャルティコーヒーの認知度・理解度(n=15)は、「知っている客が多い+ある程度いる」計80%(2022年93%から低下)、「理解している客が多い+ある程度いる」計79%(2022年78%とほぼ同水準)。一般消費者向けWeb調査(法人会員計)でも、認知計58.2%に対し理解計38.1%と、約20ポイントの差があり続けている——「知っているが、よく理解はしていない」層への訴求が課題として認識されている。
消費者からみたスペシャルティコーヒー
SOURCE: SCAJ「一般消費者調査2025」(会員社来店客編・SCAJメルマガ登録者調査編、2026年3月)SCAJは2025年10月10日〜11月3日、会員社13社33店舗の来店客(有効回収2,862票)と、SCAJメルマガ登録者(同572票)を対象に、同一項目でのアンケート調査を実施した。
一般の来店客と、能動的にSCAJの情報を追っているメルマガ登録者との間には、認知率で約2倍の開きがある。SCAJはこの調査結果について「様々な項目で飲用者の興味の深化や、味・香りに対する評価項目は増加しており、スぺシャルティコーヒーの裾野拡大と共に、既存の理解層の満足度向上と一層の体験強化が重要」とコメントしている。
妥当だと感じる価格(来店客調査)は、カフェ1杯・豆100gとも年々上昇している。
| 2021年 | 2023年 | 2025年 | 参考:メルマガ登録者(2025) | |
|---|---|---|---|---|
| カフェ1杯・妥当価格 | 580円 | 605円 | 630円 | 711円 |
| 豆100g・妥当価格 | 820円 | 922円 | 1,058円 | 1,147円 |
「高い」と感じる割合(カフェ1杯)は2021年32.6%→2023年28.9%→2025年31.0%と大きな変化はなく、価格上昇に対して受容度も同時に高まっていると解釈できる。04章のロースター側「小売・売れ筋価格」平均930円(2024年)と、この消費者側「豆100g妥当価格」1,058円(2025年)を比べると、消費者の値頃感の方がやや高く出ている点も興味深い。
飲用場所は、コロナ禍後に「カフェのみ」でも「自宅のみ」でもなく、両方を使い分ける層が増えている。
- 店・家 両方飲み
- 2021年30.0% → 2025年49.4%(+19.4ポイント)
- 店飲みのみ
- 2021年35.3% → 2025年39.7%
- 家飲みのみ
- 2021年34.7% → 2025年10.9%(−23.8ポイント)
SCAJはこれを「コロナ後は『家飲み』から『カフェ回帰』となったのではなく、『カフェ併用型』が定着した」と分析している。焙煎の好みについても「浅煎りと深煎りの支持が増え、中煎りは減少し、好みの二極化が見られる」(2025年、カフェ客は浅煎り、豆購入客は深煎り志向がそれぞれ強まる傾向)と報告されており、06章の会員社側データと同じ方向性を示している。
「飲みたいと思うスペシャルティコーヒー」の風味評価(2025年、複数回答)では、「バランスがよい」41.0%、「フルーツの香り」35.7%、「後口がすっきりしている」32.4%が上位を占め、いずれも2023年調査から評価が上昇した。
業界動向:SCAJ展示会とWOC TOKYO 2027
SOURCE: SCAJニューズレターVol.83/Vol.84、SCAJ会長・展示会委員長より会員向け通知(2025年11月)2025年9月に東京ビッグサイトで開催された「SCAJ2025」展示会は、4日間の来場者数が96,823名(前年75,217名から+28.3%)と過去最高を記録した。出展者数も500社・720小間(前年比+20.8%)に拡大している。
前回の日本でのWBC開催は2007年。SCAJ加藤慶人会長は2026年3月をもって2年の任期を退任し、新体制へ移行している(SCAJニューズレターVol.84、2026年5月発行)。
今後追加すべき項目
- 世界生産量の国別ランキング表 — 01章の note で開示した通り、SCAJ会員向け教材からの抽出テキストでは年度列と国名行の対応関係が崩れており、ブラジル・ベトナムを除く国別の数値は今回掲載を見送った。USDA統計に直接あたるか、崩れていない版の資料を確認できれば追加する。
- 日本のコーヒー生豆・製品輸入統計(国別) — 全日本コーヒー協会の月間輸入統計・貿易統計(財務省)は今回のSCAJ会員向け資料には含まれておらず、国別の輸入量推移は未着手のまま。
- ICO統計の一次資料への直接アクセス — 02章の一人当たり消費量表は、SCAJ会員向け教材が引用したグラフの読み取りに基づく。ICO自身の統計ページに直接あたって数値を確認する。
- SCAJニューズレターVol.83号の詳細 — CENICAFÉ(コロンビアコーヒー生産者連合会 R&Dセンター)による新品種「セニカフェ1」「タビ」「カスティージョ2.0」のオープンカッピングセミナー記録など、産地・品種ページに転用できそうな内容を確認済みだが、今回は市場ページの範囲外として未反映。特にコロンビアのカスティージョ種はコロンビア産地ページで品種名のみ既出で独立ページが未着手のため、次回の品種×産地トラックで優先候補にする。
- ニューズレターVol.80・Vol.81号 — 画像ベースのPDFでテキスト抽出ができず、今回は未確認のまま。
- 全日本コーヒー協会(AJCA)「コーヒー関係統計」2025年(USDA・ICO統計、経済センサス活動調査、家計調査を含む)——SCAJ会員向け「コーヒーマイスター養成講座」教材経由で確認
- 日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)「スペシャルティコーヒー市場調査2024 要約」(2025年3月、株式会社KITコンサルティング・株式会社フィールドブック実施)
- 日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)「一般消費者調査2025【会員社来店客編】」(2026年3月、株式会社KITコンサルティング・株式会社フィールドブック実施)
- 日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)「一般消費者調査2025【SCAJメルマガ登録者調査編】」(2026年3月、同上)
- SCAJニューズレター Vol.83(SCAJ2025特集、2025年12月発行)・Vol.84(2026年5月8日発行)
- SCAJ加藤慶人会長「World of Coffee 2027 TOKYO 開催に関するご報告とお願い」(2025年11月、SCAJ会員向け通知)
- SCAJ展示会委員会 長谷川勝彦委員長「SCAJ2027年展示会に関しまして」(2025年11月、SCAJ理事・社員・会員向け通知)