01
基本情報
SOURCE: WCR VARIETY CATALOG
- 品種名
- パライネマParainema
- 育成機関
- Instituto Hondureño del Café(IHCAFE/ホンジュラスコーヒー研究所)
- 選抜方式
- 血統選抜Pedigree selection(優れた個体を世代ごとに選び続けて形質を固定する方式)
- 発表年
- 2004年
- 遺伝的系統区分
- 導入系・サルチモール関連Introgressed (Sarchimor related)
- WCRによる要約
- 「中程度の標高によく適応し、さび病と一部の線虫に耐性を持つ」
1品種のために競技会の部門が立つ、という定着ぶり。 当サイトの
ホンジュラスのページで扱っているCOE2025は、
伝統品種部門・パライネマ部門・エキゾチック品種部門の3部門構成だった。耐病性品種は一般に「収量と耐病性のために品質を諦めた品種」と見られがちだが、パライネマは
競技会で独立部門を与えられる程度には品質面でも評価されている——少なくとも、伝統品種と同じ土俵で比べるのは不公平だと運営側が判断する程度には作付けが広がっている。
02
詳細スペック
SOURCE: WCR CATALOG, 2026-08-12 取得
評価の目安:
▲ 良好
● 標準
▼ 要注意
— WCRカタログ自身の区分(Low/Medium/High/Exceptional等)をそのまま可視化したもの
- 樹形
- 矮性・コンパクトDwarf/Compact
- 新芽の葉色
- 緑Green
- 豆のサイズ
- 大きいLarge▲
- 収穫量ポテンシャル
- 非常に高いVery High▲
- 高標高での品質
- 良いGood●
- 最適標高帯
- 低〜中Low, Medium(北緯5°〜南緯5°:1,000〜1,600m/5〜15°:700〜1,300m/15°超:400〜1,000m)
- さび病(CLR)耐性
- 高い耐性Highly resistant▲
- 線虫耐性
- 耐性ありResistant▲(限定あり・下記)
- コーヒーベリー病(CBD)耐性
- 耐性ありTolerant●
- 初収穫までの年数
- 3年目
- 必要な栄養レベル
- 高いHigh▼
- 果実の成熟時期
- 平均的Average●
- 生豆歩留まり
- 高いHigh▲
- 推奨植栽密度
- 5,000〜6,000本/ha(単幹剪定の場合)
線虫耐性の限定条件。 WCRは補足欄で「
Pratylenchus属には耐性がない。一部のMeloidogyne属には耐性がある」と明記している。同じ論点は
クスカトレコ・
IAPAR 59・
ムンド・マヤのページでも扱っている——
サルチモール系の「線虫耐性」は属・種を選ぶと理解しておくのが正確である。
WCRの国際多地点品種試験(IMLVT)で評価された品種である。 補足欄に「この品種の収量とさび病耐性は、WCRのInternational Multilocation Variety Trialの一環として
15か国23地点で世界的に評価された」との記載がある。同時に「
さび病のどのレース(系統)が存在する環境かによって現地での実際の性能は変わりうる」との注意も併記されている。
マルセジェサ・
レンピラと同じ試験である。
03
T5296から生まれた兄弟品種——クスカトレコとの比較
SOURCE: WCR VARIETY CATALOG(各エントリ)
パライネマ(ホンジュラス/IHCAFE)とクスカトレコ(エルサルバドル/PROCAFÉ)は、どちらも「T5296からの選抜」とWCRのLineage欄に記されている。同じ集団から、隣り合う2国の研究機関がそれぞれ自国向けに固定した品種である。
T5296由来のサルチモール系2品種の比較。WCR Variety Catalogの各エントリ(2026年8月12日取得)より。
| 項目 | パライネマ | クスカトレコ |
| 育成機関 | IHCAFE(ホンジュラス) | PROCAFÉ(エルサルバドル) |
| 発表年 | 2004年 | 記載なし |
| 収穫量ポテンシャル | 非常に高い | 中程度 |
| さび病耐性 | 高い耐性 | 中程度の耐性 |
| 線虫耐性 | 耐性あり(一部のMeloidogyne属) | 耐性あり(M. exigua) |
| CBD耐性 | 耐性あり | 不明 |
樹形・葉色・豆のサイズ・高標高での品質・最適標高帯・初収穫年・必要栄養レベル・成熟時期・生豆歩留まり・植栽密度は2品種とも同一評価である。差がついたのは上表の項目で、とくに収量とさび病耐性の2項目でパライネマが1段階上の評価を得ている。T5296のページで扱った「サルチモールは品種名ではなく群の名前」という注意が、ここでも具体的な数字として現れている。
04
今後追加すべき項目
- ホンジュラスCOEのパライネマ部門の入賞実績 — ホンジュラスのページに部門構成は記載済みだが、パライネマ部門の具体的な入賞ロット・スコアはまだ当サイトに掲載していない。
- 作付面積・作付け比率 — ホンジュラスのページには「Parainema品種の導入以降30万haを超える」という記述があるが、これは国全体の栽培面積であり、パライネマ単独の作付け比率ではない。IHCAFE自身の統計が必要。
- IHCAFE側の一次資料 — 本ページの経緯はすべてWCRカタログ経由。IHCAFE自身の品種公表資料は未取得。
- カップ品質の評価データ — WCRの「高標高での品質:良い」は同カタログの区分による評価で、官能評価の数値・方法の記載はない。
- 関連品種パライソ(Paraiso)・IPR 107 — WCRの「関連品種」欄に挙がるブラジル育成の耐病性品種。当サイト未作成。
- World Coffee Research, Variety Catalog「Parainema」(varieties.worldcoffeeresearch.org/varieties/parainema、2026年8月12日取得)
- World Coffee Research, Variety Catalog「Cuscatleco」(同日取得、03章の比較表)