01
基本情報
SOURCE: WCR VARIETY CATALOG
- 品種名
- レンピラLempira
- 育成機関
- Instituto Hondureño del Café(IHCAFE)。WCRは同じ欄にPROMECAFEによる血統選抜とも併記している
- 母体集団
- WCRのT8667エントリは「IHCAFEがT-8667から選抜して作出」、T5175エントリは「ホンジュラスでのT5175の追加選抜がIHCAFE 90とレンピラを生んだ」と記す——カタログ内で一致していないため両方を記載する
- 遺伝的系統区分
- 導入系・カティモール関連Introgressed (Catimor related)
- WCRによる要約
- 「高収量で、もっとも暖かい地域と酸性土壌に適応する」
ホンジュラスの通貨と同じ名前の品種である。 レンピラは同国の通貨名でもあるが、
WCRカタログに命名の由来は記載されていないため当サイトでは断定しない。
ホンジュラスは
パライネマ(サルチモール系)・
IHCAFE 90(カティモール系)とレンピラを持ち、
2つの耐病性品種群の両方を国内で選抜してきた国にあたる。
02
詳細スペック
SOURCE: WCR CATALOG, 2026-08-12 取得
評価の目安:
▲ 良好
● 標準
▼ 要注意
— WCRカタログ自身の区分(Low/Medium/High/Exceptional等)をそのまま可視化したもの
- 樹形
- 矮性・コンパクトDwarf/Compact
- 新芽の葉色
- ブロンズBronze
- 豆のサイズ
- 平均的Average●
- 収穫量ポテンシャル
- 高いHigh▲
- 高標高での品質
- 低いLow▼
- 最適標高帯
- 低〜中Low, Medium(北緯5°〜南緯5°:1,000〜1,600m/5〜15°:700〜1,300m/15°超:400〜1,000m)
- さび病(CLR)耐性
- 中程度の耐性Intermediate resistance●(ただし補足欄に感受性確認の記載あり・下記)
- 線虫耐性
- 感受性ありSusceptible▼
- コーヒーベリー病(CBD)耐性
- 感受性ありSusceptible▼
- 初収穫までの年数
- 3年目
- 必要な栄養レベル
- 高いHigh▼
- 果実の成熟時期
- 平均的Average●
- 生豆歩留まり
- 低いLow▼
- 推奨植栽密度
- 5,000〜6,000本/ha(単幹剪定の場合)
スペック欄の評価と補足欄の記載が食い違って見える箇所がある。 さび病耐性の評価は「中程度の耐性」のままだが、補足欄には「近年、レンピラはホンジュラスにおいてさび病に感受性であることが科学的評価によって確認された。中米の他の地域でも感受性である可能性がある」と書かれている。当サイトはどちらかに寄せず両方を掲載する。同欄にはさらに「オホ・デ・ガジョに感受性」「酸性土壌・アルミニウムに富む土壌に推奨」「もっとも暖かい地域に推奨」、およびWCRの国際多地点品種試験(IMLVT)で15か国23地点で評価された旨の記載がある。
03
耐病性は永久ではない——カティモール群とさび病
SOURCE: WCR VARIETY CATALOG(各エントリの補足欄)
WCRはカタログのさび病耐性の項目に、あらかじめ次の注意書きを置いている。「植物の病気は絶えず進化している。今日ある病気に耐性を持つ品種が、明日も耐性を持つとは限らない」。カティモール群は、この注意書きが実際に現実になった群である。
カティモール群のさび病耐性評価と、WCRが補足欄に記した「感受性が確認された」旨の記載。WCR Variety Catalog(2026年8月12日取得)より。
| 品種 | WCRのさび病耐性評価 | 補足欄の記載 |
| T8667(群の母体) | 中程度の耐性 | — |
| T5175 | 中程度の耐性 | — |
| コスタリカ95 | 低い/感受性 | コスタリカでさび病感受性が科学的評価により確認された。中米の他地域でも感受性の可能性 |
| レンピラ | 中程度の耐性 | ホンジュラスでさび病感受性が科学的評価により確認された。中米の他地域でも感受性の可能性 |
| IHCAFE 90 | 低い/感受性 | ホンジュラスでさび病感受性が科学的評価により確認された。中米の他地域でも感受性の可能性 |
| カティシック | 中程度の耐性 | —(オホ・デ・ガジョ感受性の記載のみ) |
さび病に勝つために作られた品種が、数十年後にはそのさび病に負けている。 ティモール・ハイブリッド由来の耐性が破られうることは、WCRがマルセジェサやパライネマの補足欄で繰り返す注意——「どのレース(系統)のさび病が存在する環境かによって現地での性能は変わりうる」——とも一致する。「耐病性品種」というラベルは、その時点・その地域での評価にすぎない。
この論点は当サイトの他ページにもつながっている。 コロンビアの
カスティージョが
複数系統を混ぜた複合品種として設計されているのも、単一の系統に頼ると突破されやすいという同じ問題への対処である。
T8667のページで扱った集団選抜・血統選抜の違いも、この文脈で読むと意味が変わってくる。
04
今後追加すべき項目
- 母体集団の確定 — T8667由来かT5175由来かWCRカタログ内で一致していない。IHCAFE自身の資料が必要。
- IMLVTでの具体的な成績 — 「15か国23地点で評価」とあるのみで、数値結果は当サイト未取得。
- ホンジュラスでの作付け比率 — ホンジュラスのページに品種別作付け統計はまだない。パライネマとの比較も未確認。
- コスタリカ95との具体的な違い — 「酷似」とのみ記載され、差異の説明はない。
- World Coffee Research, Variety Catalog「Lempira」(varieties.worldcoffeeresearch.org/varieties/lempira、2026年8月12日取得)
- World Coffee Research, Variety Catalog「T8667」「T5175」「Costa Rica 95」「Lempira」「IHCAFE 90」(同日取得、03章の一覧表)