品種ページ / Variety
レンピラLempira
ホンジュラスのIHCAFEが選抜したカティモール系品種。もっとも暖かい地域と酸性土壌に適応する高収量品種で、WCRの国際多地点品種試験(IMLVT)でも評価対象になった。ただしWCRは「ホンジュラスにおいてさび病への感受性が科学的評価により確認された」とも明記している。コスタリカ95に酷似とも記される。
- 群
- カティモール系(導入系)
- 収穫量ポテンシャル
- 高い▲
- さび病耐性
- 中程度●
- 育成
- IHCAFE(ホンジュラス)
01
基本情報
SOURCE: WCR VARIETY CATALOG- 品種名
- レンピラLempira
- 系統・成り立ち
- ティモール・ハイブリッド 832/1 × カトゥーラTimor Hybrid 832/1 x Caturra。CIFCでの交配呼称はH26
- 育成機関
- Instituto Hondureño del Café(IHCAFE)。WCRは同じ欄にPROMECAFEによる血統選抜とも併記している
- 母体集団
- WCRのT8667エントリは「IHCAFEがT-8667から選抜して作出」、T5175エントリは「ホンジュラスでのT5175の追加選抜がIHCAFE 90とレンピラを生んだ」と記す——カタログ内で一致していないため両方を記載する
- 類似品種
- コスタリカ95に酷似とWCRが記載
- 遺伝的系統区分
- 導入系・カティモール関連Introgressed (Catimor related)
- WCRによる要約
- 「高収量で、もっとも暖かい地域と酸性土壌に適応する」
02
詳細スペック
SOURCE: WCR CATALOG, 2026-08-12 取得
評価の目安:
▲ 良好
● 標準
▼ 要注意
— WCRカタログ自身の区分(Low/Medium/High/Exceptional等)をそのまま可視化したもの
- 樹形
- 矮性・コンパクトDwarf/Compact
- 新芽の葉色
- ブロンズBronze
- 豆のサイズ
- 平均的Average●
- 収穫量ポテンシャル
- 高いHigh▲
- 高標高での品質
- 低いLow▼
- 最適標高帯
- 低〜中Low, Medium(北緯5°〜南緯5°:1,000〜1,600m/5〜15°:700〜1,300m/15°超:400〜1,000m)
- さび病(CLR)耐性
- 中程度の耐性Intermediate resistance●(ただし補足欄に感受性確認の記載あり・下記)
- 線虫耐性
- 感受性ありSusceptible▼
- コーヒーベリー病(CBD)耐性
- 感受性ありSusceptible▼
- 初収穫までの年数
- 3年目
- 必要な栄養レベル
- 高いHigh▼
- 果実の成熟時期
- 平均的Average●
- 生豆歩留まり
- 低いLow▼
- 推奨植栽密度
- 5,000〜6,000本/ha(単幹剪定の場合)
スペック欄の評価と補足欄の記載が食い違って見える箇所がある。 さび病耐性の評価は「中程度の耐性」のままだが、補足欄には「近年、レンピラはホンジュラスにおいてさび病に感受性であることが科学的評価によって確認された。中米の他の地域でも感受性である可能性がある」と書かれている。当サイトはどちらかに寄せず両方を掲載する。同欄にはさらに「オホ・デ・ガジョに感受性」「酸性土壌・アルミニウムに富む土壌に推奨」「もっとも暖かい地域に推奨」、およびWCRの国際多地点品種試験(IMLVT)で15か国23地点で評価された旨の記載がある。
03
耐病性は永久ではない——カティモール群とさび病
SOURCE: WCR VARIETY CATALOG(各エントリの補足欄)WCRはカタログのさび病耐性の項目に、あらかじめ次の注意書きを置いている。「植物の病気は絶えず進化している。今日ある病気に耐性を持つ品種が、明日も耐性を持つとは限らない」。カティモール群は、この注意書きが実際に現実になった群である。
| 品種 | WCRのさび病耐性評価 | 補足欄の記載 |
|---|---|---|
| T8667(群の母体) | 中程度の耐性 | — |
| T5175 | 中程度の耐性 | — |
| コスタリカ95 | 低い/感受性 | コスタリカでさび病感受性が科学的評価により確認された。中米の他地域でも感受性の可能性 |
| レンピラ | 中程度の耐性 | ホンジュラスでさび病感受性が科学的評価により確認された。中米の他地域でも感受性の可能性 |
| IHCAFE 90 | 低い/感受性 | ホンジュラスでさび病感受性が科学的評価により確認された。中米の他地域でも感受性の可能性 |
| カティシック | 中程度の耐性 | —(オホ・デ・ガジョ感受性の記載のみ) |
さび病に勝つために作られた品種が、数十年後にはそのさび病に負けている。 ティモール・ハイブリッド由来の耐性が破られうることは、WCRがマルセジェサやパライネマの補足欄で繰り返す注意——「どのレース(系統)のさび病が存在する環境かによって現地での性能は変わりうる」——とも一致する。「耐病性品種」というラベルは、その時点・その地域での評価にすぎない。
04
今後追加すべき項目
- World Coffee Research, Variety Catalog「Lempira」(varieties.worldcoffeeresearch.org/varieties/lempira、2026年8月12日取得)
- World Coffee Research, Variety Catalog「T8667」「T5175」「Costa Rica 95」「Lempira」「IHCAFE 90」(同日取得、03章の一覧表)