01
まず、大きく3つに分かれる
SOURCE: 全日本コーヒー協会(AJCA)
8段階と聞くと細かく感じるが、実際の使われ方はもっと大まかである。AJCA自身が、次のように整理している。
Primary source quote
焙煎度は最も浅いライトローストから真っ黒になるまで炒り上げたイタリアンローストまで8段階ありますが、大まかには浅炒り、中炒り、深炒りの3段階。一般的には浅炒りほど酸味が強く、深炒りになるほど苦味を感じるようになります。
全日本コーヒー協会(AJCA)「焙煎・配合・粉砕」より。当サイトはAJCAの公開ページで確認した。
浅い深い
※ 上の色帯は、色が変わっていく方向を示すための図解であり、実際の焙煎度の色見本ではない(当サイト作成)。
⭐ 「浅い=酸味、深い=苦味」には、化学的な裏づけがある。 当サイトの
酸味の正体のページでは、
滴定酸度が1ハゼでピークになり、2ハゼまでに生豆と同じ値まで戻るという実測を扱っている。
苦味の正体のページでは、
苦味の主役が焙煎の進行とともにキノラクトンからフェニルインダンへ入れ替わることを扱っている。
AJCAの一文は、そのまとめとして読める。
「炒り」と「煎り」。 AJCAの原文は「浅炒り」「中炒り」「深炒り」と書いている。「浅煎り」「深煎り」という書き方も広く使われており、意味は同じである。当サイトでは、AJCAの引用部分は原文どおりに、それ以外は「煎り」で表記している。
02
8つの呼び名
SOURCE: 全日本コーヒー協会(AJCA)
以下はAJCAの説明をそのまま整理したものである。色の表現も、味の表現も、どの器具に使われるかも、すべてAJCAの記述にもとづく。当サイトによる追加や解釈は加えていない。
ライトローストLIGHT浅煎り
最も浅煎りで、うっすらと焦げ目がついている状態。黄色がかった小麦色。香り・コクはまだ薄い。
シナモンローストCINNAMON浅煎り
シナモン色。ごく浅い炒り方で、まだ青くささが残る。
ミディアムローストMEDIUM中煎り
茶褐色。アメリカンタイプの軽い味わい。
ハイローストHIGH中煎り
ミディアムよりやや深い炒り方。喫茶店や家庭で飲まれるレギュラーコーヒーに多い。
シティローストCITY中煎り
最も標準的な炒り方。鮮やかなコーヒーブラウン。喫茶店や家庭で味わうことが多く、最近ではエスプレッソ用としても用いられる。
フルシティローストFULL CITY深煎り
ダークブラウン。アイスコーヒー用はこの段階まで熱を加える。シティロースト同様エスプレッソにも用いられる。
フレンチローストFRENCH深煎り
強い苦味と独特の香りが楽しめる。カフェ・オ・レやウィンナーコーヒーなど、ヨーロピアンスタイルのアレンジメニュー向き。
イタリアンローストITALIAN深煎り
色は黒に近い。強い苦味と濃厚な味わい。最も深い炒り方で、エスプレッソ、カプチーノなどに使用される。
※ 各段階に添えた色の丸は、AJCAの色の記述(小麦色/シナモン色/茶褐色/コーヒーブラウン/ダークブラウン/黒に近い)から当サイトが作成した図解であり、色見本ではない。
⭐ 表を見て気づくこと。 アイスコーヒーは「フルシティ」まで、
エスプレッソは「シティ」「フルシティ」「イタリアン」、
カフェ・オ・レは「フレンチ」——
AJCAは、焙煎度を飲み方と結びつけて説明している。「どれが良いか」ではなく「何に使うか」で選ぶ、という考え方である。→
アイスコーヒーと水出し/
エスプレッソ
いちばんよく飲まれているのは中煎り。 AJCAはハイローストを「喫茶店や家庭で飲まれるレギュラーコーヒーに多い」、シティローストを「最も標準的な炒り方」で「喫茶店や家庭で味わうことが多く」と説明している。8段階の真ん中あたりが日常的な焙煎度ということになる。
焙煎度は、豆の個性に合わせて決められる。 AJCAは
「生産国や銘柄、精製方法によって違いのあるコーヒーの個性を引き出すように、焙煎度を決めます」と書いている。→
産地/
銘柄/
精製方法
03
この8段階は、公式な基準ではない
SOURCE: 当サイトによる整理
ここは正直に書いておきたい部分である。この8つの呼び名は広く使われている慣習的な区分であって、数値で定義された規格ではない。
| 8段階の呼び名 | SCA/Agtron |
| 何で決まるか | 色と味の言葉による記述 | 測定した色の数値 |
| 誰が決めたか | 業界の慣習(1928年ごろから使われているとされる) | SCA(スペシャルティコーヒー協会) |
| 当サイトの解説 | このページ | 焙煎のページ 04 |
⚠️ 8段階とAgtron値を一対一で対応づけた一次資料は、当サイトはまだ確認できていない。 焙煎のページでも同じ宿題を挙げている。
「シティロースト=Agtron ○○」という対応表がインターネット上にはいくつも見つかるが、当サイトが基準とする7団体や公的な規格でそれを定めたものを見つけられていない。そのため当サイトは、その対応を書かない。
そして測定法そのものが、いま作られている最中である。 SCA-131「Coffee Roast Level: Test Method」(焙煎度の試験方法)は2026年8月時点でも「策定中」であり、
焙煎度の測定法は番号付き標準になっていない。→
焙煎のページ 06
日本の表示ルールにも、焙煎度は出てこない。 当サイトの
パッケージの表示ルールで扱っている公正競争規約は、
袋に書くべき10項目を定めているが、そこに焙煎度は含まれていない。
挽き方には5段階の公的な定義があるのに、焙煎度にはない(→
挽き方と粒度のページ)。
04
焙煎で豆に何が起きているか
SOURCE: 当サイト内の関連ページ
呼び名の裏側で起きていることは、当サイトの別のページで詳しく扱っている。ここでは行き先だけ示す。
05
今後追加すべき項目
- 8段階とAgtron値の対応 — 03のとおり、一次資料が見つかっていない。このページの最大の宿題である。
- 「1928年〜」の出典 — 焙煎のページはこの8段階を「伝統的な8段階の呼び名(1928年〜)」として扱っている。その起点の根拠を、このページでも改めて確認したい。
- 海外での呼び名との対応 — アメリカ、ヨーロッパ、日本で同じ呼び名が同じ焙煎度を指しているのかは未確認。「フレンチ」「イタリアン」といった国名の由来も未確認。
- 各段階の温度・時間・重量減少率 — AJCAの説明は色と味の記述にとどまり、数値は示されていない。他の一次資料でこれを埋めたい。
- 「アメリカンコーヒー」 — AJCAはミディアムローストを「アメリカンタイプの軽い味わい」と表現している。「アメリカン」という言葉が焙煎度を指すのか、薄さを指すのかは、当サイトはまだ一次資料で確認していない。
- 浅煎りが増えている流れ — スペシャルティコーヒーの広がりとともに浅煎りが増えたとよく言われるが、これを裏づける統計や業界団体の記述を当サイトは確認していない。
- 全日本コーヒー協会(AJCA)「焙煎・配合・粉砕」(coffee.ajca.or.jp/column/4472/、2026年8月21日取得)— 本ページの骨格。8段階の呼び名とそれぞれの説明、「大まかには浅炒り、中炒り、深炒りの3段階」、「浅炒りほど酸味が強く、深炒りになるほど苦味を感じる」、焙煎度を生産国・銘柄・精製方法に合わせて決めること
- 当サイト焙煎のページ— SCA/Agtron ロースト・カラー・クラシフィケーション・システム、SCA-131が策定中であること。出典はそちらに記載
- 全日本コーヒー公正取引協議会「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約 及び 同施行規則」(平成30年5月21日認定)— 03の「表示ルールに焙煎度は含まれない」。当サイトパッケージの表示ルールで扱っている
- 01の色帯と02の色の丸は、AJCAの色の記述から当サイトが作成した図解である。実際の焙煎豆の色見本ではなく、焙煎度の判定に使えるものではない。