01
なぜ混ぜるのか——4つの目的
SOURCE: 全日本コーヒー協会(AJCA)
Primary source quote
単体では出せない風味を出すために、数種類の豆を配合することを「ブレンド」と呼びます。①好みの風味を出す ②新しい風味をつくる ③調和の取れた品質を維持する ④価格を維持・安定させるという、4つの目的があります。
全日本コーヒー協会(AJCA)「焙煎・配合・粉砕」より。
| 目的 | 意味するところ |
| ① 好みの風味を出す | 狙った味に近づけるために配合する |
| ② 新しい風味をつくる | 単体では出せない風味を生み出す |
| ③ 調和の取れた品質を維持する | コーヒーは農産物なので、年ごと・ロットごとに品質が動く。配合を調整することで、同じ商品の味を保つ |
| ④ 価格を維持・安定させる | 相場の変動に対して、価格を保つ |
⭐ ③と④は、あまり語られないが実務的にはとても大きい。 コーヒーは農産物である。
同じ農園の同じ品種でも、年が変われば味が変わる(→
開花・結実のページ/
収穫のページ)。
「去年と同じ味の商品を、今年も出す」ためには、配合を毎年調整する必要がある——これがブレンドの現実的な役割のひとつである。
相場については市場・統計のページで扱っている。
混ぜないものは「シングルオリジン」と呼ばれる。 ただし
この言葉の定義は、当サイトが基準とする7団体の資料でまだ確認できていない(→
05)。
単一の国なのか、単一の農園なのか、単一のロットなのか——使う人によって範囲が違う言葉である。
02
何種類まで混ぜるのか
SOURCE: 全日本コーヒー協会(AJCA)
Primary source quote
配合するコーヒーの種類は多すぎるとバランスが崩れるため、一般的には3〜5品種が適当とされます。
全日本コーヒー協会(AJCA)「焙煎・配合・粉砕」より。
AJCAは配合の参考例として、味の方向ごとに4つの例を挙げている。以下はAJCAの記述をそのまま図にしたものである。
⭐ 4つの例に共通して入っているのは、コロンビアとブラジルである。 どの例でもこの2つで6〜7割を占め、残りに性格づけの豆が加わる——という構造になっている。この読み方は当サイトが表から読み取ったものであり、AJCAがそう説明しているわけではない。
⚠️ これは「参考例」であって推奨レシピではない。 AJCAの見出し自体が「配合の参考例」である。実際の配合は各社が独自に決めるものであり、この4例が標準というわけではない。
「モカ」「キリマンジャロ」「マンデリン」は銘柄名である。 産地名ではなく
銘柄名——名乗るための条件が表示ルールで定められている名前である。→
銘柄名のページ
03
焙煎してから混ぜるか、混ぜてから焙煎するか
SOURCE: 全日本コーヒー協会(AJCA)
Primary source quote
焙煎前に配合するか焙煎後にするかによって、同じ豆でも味わいが異なります。
全日本コーヒー協会(AJCA)「焙煎・配合・粉砕」より。
単品焙煎によるブレンド
AFTER-MIX(アフターミックス)
「それぞれの生豆に適した条件で1種類ずつ焙煎した後に配合。そのため、生豆の特徴を最大限に生かすことができ、理想の味に近づけられるのが特徴です。」(AJCA)
混合焙煎によるブレンド
PRE-MIX(プレミックス)
「生豆を焙煎前に配合し、全ての豆を同時に焙煎する方法。手間や時間は省けますが、それぞれの豆に合わせて焙煎具合を調整できないため、それぞれの味や香りに変化をつけることができません。」(AJCA)
⭐ なぜ差が出るのか。 豆は品種・産地・精製方法によって、大きさも密度も水分量も違う(→
品種/
脱穀・選別のページ)。
同じ火にかければ、同じように焼けるとは限らない。単品焙煎はそれを避け、混合焙煎はそれを受け入れる——という違いだと読める。
この説明は当サイトによる整理であり、AJCAは理由まで書いていない。
⚠️ AJCAの記述は、単品焙煎のほうを高く評価している。 引用のとおり、単品焙煎には「生豆の特徴を最大限に生かすことができ、理想の味に近づけられる」、混合焙煎には「変化をつけることができません」という書き方がされている。当サイトはこの評価に賛成も反対もしない——原文をそのまま示すにとどめる。混合焙煎には「手間や時間は省ける」という利点もAJCA自身が挙げている。
「プレミックス」「アフターミックス」という呼び名について。 業界ではこの英語の呼び方も広く使われるが、AJCAの当該ページは「単品焙煎によるブレンド」「混合焙煎によるブレンド」という日本語しか使っていない。当サイトは対応関係を示すために英語を併記しているが、AJCAの用語ではない。
04
「○○ブレンド」と名乗るには何%必要か
SOURCE: 公正競争規約(2つ)
配合そのものは自由だが、袋や缶に「○○ブレンド」と書くとなると、表示ルールがかかってくる。そして、袋と缶で数字が違う。
| ルール | 対象 | 「○○ブレンド」の条件 | 「○○」単独の条件 |
レギュラーコーヒー及び インスタントコーヒーの規約 | 袋・瓶の豆/粉 | 30%以上 | — |
| コーヒー飲料等の規約 | 缶・ペットボトル (「コーヒー」区分のみ) | 51%以上 | 100% |
社名・商標を冠したものは対象外。 缶側の規約は、「○○ブレンドコーヒー(○○には社名又は商標等)」のように社名や商標を冠したものには、この割合の規制がかからないとしている。「当店ブレンド」のような名前は、産地・銘柄の主張ではないためである。
配合割合について嘘をつくことは禁じられている。 袋側の規約 第6条は、
コーヒー豆の配合割合について誤認されるおそれがある表示を不当表示として禁じている。→
パッケージの表示ルール 03
原材料名の欄に、生豆生産国名が書かれる。 袋側の規約の施行規則は、
ブレンドの場合は生豆生産国名を、原則としてブレンド比率の多い順に表示すると定めている(AJCA解説)。
袋の裏を見れば、どの国の豆が多く入っているかは分かる——ただし
割合そのものの表示は義務ではない。→
パッケージの表示ルール 01
05
今後追加すべき項目
- 「シングルオリジン」の定義 — 単一の国か、農園か、ロットか。当サイトが基準とする7団体の資料で確認できていない。「マイクロロット」との関係も未整理。
- 単品焙煎と混合焙煎の味の差の実証 — AJCAは差が出ると述べているが、それを測定した研究は当サイトでは未確認。
- ブレンドの歴史 — いつから、どういう経緯で一般的になったのかは未着手。
- 「ブレンド」と「ストレート」 — 日本の喫茶店で使われる「ストレート」という言い方の由来と定義は未確認。
- 配合と焙煎度の組み合わせ — 焙煎度の違う豆を混ぜる場合の扱いは、AJCAの記述にはない。
- ロブスタの配合 — AJCAの参考例のうち2つにロブスタが入っている。ブレンドにおけるロブスタの役割を扱った資料を探したい。→クロロゲン酸 02ではロブスタのクロロゲン酸が多いことを扱っている
- 全日本コーヒー協会(AJCA)「焙煎・配合・粉砕」(coffee.ajca.or.jp/column/4472/、2026年8月21日取得)— 本ページの骨格。ブレンドの定義と4つの目的、3〜5品種という目安、配合の参考例4種、単品焙煎によるブレンドと混合焙煎によるブレンド
- 全日本コーヒー公正取引協議会「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約 及び 同施行規則」(平成30年5月21日認定)— 30%基準、配合割合の不当表示、生豆生産国名の表示。当サイトパッケージの表示ルール・銘柄名のページで扱っている
- 全国コーヒー飲料公正取引協議会「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約及び施行規則」(令和6年10月1日施行)— 51%・100%基準、社名・商標を冠したものの除外。当サイト缶コーヒーの表示ルールで原文PDFを確認済み
- 02の「コロンビアとブラジルが4例すべてに入っている」という指摘、03の「なぜ差が出るのか」の説明、および「プレミックス/アフターミックス」という英語の併記は、当サイトによる整理・補足である。AJCAの記述にはない。