HACHIMARU COFFEE ROASTERY
品種ページ / Variety

IHCAFE 90IHCAFE 90

ホンジュラスのIHCAFEが選抜したカティモール系品種。もっとも低い標高帯に適応する高収量品種だが、高い施肥を必要とし、WCRは「ホンジュラスにおいてさび病への感受性が科学的評価により確認された」「オホ・デ・ガジョに非常に感受性が高い」と明記しているT5175に酷似とも記される。

カティモール系(導入系)
収穫量ポテンシャル
高い
さび病耐性
低い/感受性
育成
IHCAFE(ホンジュラス)
01

基本情報

SOURCE: WCR VARIETY CATALOG
品種名
IHCAFE 90IHCAFE 90
系統・成り立ち
ティモール・ハイブリッド 832/1 × カトゥーラTimor Hybrid 832/1 x Caturra。CIFCでの交配呼称はH26
育成機関
Instituto Hondureño del Café(IHCAFE)による血統選抜
母体集団
WCRのT5175エントリは「ホンジュラスでのT5175の追加選抜がIHCAFE 90とレンピラを生んだ」と記す
類似品種
T5175に酷似とWCRが記載
遺伝的系統区分
導入系・カティモール関連Introgressed (Catimor related)
WCRによる要約
「高収量でもっとも低い標高帯に適応する。高い施肥を必要とする
当サイトでは既に別の文脈で登場している品種である。 ティモール・ハイブリッドのページのHDT由来品種一覧に掲載してきた(同表のHDT系統欄は「記載なし」としていたが、今回WCRカタログを直接確認して832/1と判明したため更新した)。カトゥーラを親に持つ耐病性品種でもある。
02

詳細スペック

SOURCE: WCR CATALOG, 2026-08-12 取得
評価の目安: 良好 標準 要注意 — WCRカタログ自身の区分(Low/Medium/High/Exceptional等)をそのまま可視化したもの
樹形
矮性・コンパクトDwarf/Compact
新芽の葉色
濃いブロンズDark Bronze
豆のサイズ
平均的Average
収穫量ポテンシャル
高いHigh
高標高での品質
非常に低いVery Low
最適標高帯
低〜中Low, Medium(北緯5°〜南緯5°:1,000〜1,600m/5〜15°:700〜1,300m/15°超:400〜1,000m)
さび病(CLR)耐性
低い耐性/感受性Low resistance/Susceptible
線虫耐性
感受性ありSusceptible
コーヒーベリー病(CBD)耐性
感受性ありSusceptible
初収穫までの年数
2年目
必要な栄養レベル
非常に高いVery High
果実の成熟時期
平均的Average
生豆歩留まり
低いLow
推奨植栽密度
4,000〜5,000本/ha(単幹剪定の場合)
WCRの補足欄の記載(要旨):近年、IHCAFE 90はホンジュラスにおいてさび病に感受性であることが科学的評価によって確認され、中米の他の地域でも感受性である可能性がある。オホ・デ・ガジョに非常に感受性が高い」。初収穫が2年目と早く、必要栄養レベルが「非常に高い」という組み合わせは、母体であるT5175の性格をそのまま受け継いでいる(T5175も2年目・非常に高い)。早く多く採れる代わりに、肥料と病害対策の負担が大きい品種と読める。
03

耐病性は永久ではない——カティモール群とさび病

SOURCE: WCR VARIETY CATALOG(各エントリの補足欄)

WCRはカタログのさび病耐性の項目に、あらかじめ次の注意書きを置いている。「植物の病気は絶えず進化している。今日ある病気に耐性を持つ品種が、明日も耐性を持つとは限らない」。カティモール群は、この注意書きが実際に現実になった群である。

カティモール群のさび病耐性評価と、WCRが補足欄に記した「感受性が確認された」旨の記載。WCR Variety Catalog(2026年8月12日取得)より。
品種WCRのさび病耐性評価補足欄の記載
T8667(群の母体)中程度の耐性
T5175中程度の耐性
コスタリカ95低い/感受性コスタリカでさび病感受性が科学的評価により確認された。中米の他地域でも感受性の可能性
レンピラ中程度の耐性ホンジュラスでさび病感受性が科学的評価により確認された。中米の他地域でも感受性の可能性
IHCAFE 90低い/感受性ホンジュラスでさび病感受性が科学的評価により確認された。中米の他地域でも感受性の可能性
カティシック中程度の耐性—(オホ・デ・ガジョ感受性の記載のみ)

さび病に勝つために作られた品種が、数十年後にはそのさび病に負けている。 ティモール・ハイブリッド由来の耐性が破られうることは、WCRがマルセジェサパライネマの補足欄で繰り返す注意——「どのレース(系統)のさび病が存在する環境かによって現地での性能は変わりうる」——とも一致する。「耐病性品種」というラベルは、その時点・その地域での評価にすぎない

この論点は当サイトの他ページにもつながっている。 コロンビアのカスティージョ複数系統を混ぜた複合品種として設計されているのも、単一の系統に頼ると突破されやすいという同じ問題への対処である。T8667のページで扱った集団選抜・血統選抜の違いも、この文脈で読むと意味が変わってくる。
04

今後追加すべき項目

  1. World Coffee Research, Variety Catalog「IHCAFE 90」(varieties.worldcoffeeresearch.org/varieties/ihcafe-90、2026年8月12日取得)
  2. World Coffee Research, Variety Catalog「T8667」「T5175」「Costa Rica 95」「Lempira」「IHCAFE 90」(同日取得、03章の一覧表)