01
基本情報
SOURCE: WCR VARIETY CATALOG
- 品種名
- IHCAFE 90IHCAFE 90
- 育成機関
- Instituto Hondureño del Café(IHCAFE)による血統選抜
- 母体集団
- WCRのT5175エントリは「ホンジュラスでのT5175の追加選抜がIHCAFE 90とレンピラを生んだ」と記す
- 遺伝的系統区分
- 導入系・カティモール関連Introgressed (Catimor related)
- WCRによる要約
- 「高収量でもっとも低い標高帯に適応する。高い施肥を必要とする」
当サイトでは既に別の文脈で登場している品種である。 ティモール・ハイブリッドのページのHDT由来品種一覧に掲載してきた(同表のHDT系統欄は「記載なし」としていたが、今回WCRカタログを直接確認して
832/1と判明したため更新した)。
カトゥーラを親に持つ耐病性品種でもある。
02
詳細スペック
SOURCE: WCR CATALOG, 2026-08-12 取得
評価の目安:
▲ 良好
● 標準
▼ 要注意
— WCRカタログ自身の区分(Low/Medium/High/Exceptional等)をそのまま可視化したもの
- 樹形
- 矮性・コンパクトDwarf/Compact
- 新芽の葉色
- 濃いブロンズDark Bronze
- 豆のサイズ
- 平均的Average●
- 収穫量ポテンシャル
- 高いHigh▲
- 高標高での品質
- 非常に低いVery Low▼
- 最適標高帯
- 低〜中Low, Medium(北緯5°〜南緯5°:1,000〜1,600m/5〜15°:700〜1,300m/15°超:400〜1,000m)
- さび病(CLR)耐性
- 低い耐性/感受性Low resistance/Susceptible▼
- 線虫耐性
- 感受性ありSusceptible▼
- コーヒーベリー病(CBD)耐性
- 感受性ありSusceptible▼
- 初収穫までの年数
- 2年目▲
- 必要な栄養レベル
- 非常に高いVery High▼
- 果実の成熟時期
- 平均的Average●
- 生豆歩留まり
- 低いLow▼
- 推奨植栽密度
- 4,000〜5,000本/ha(単幹剪定の場合)
WCRの補足欄の記載(要旨):「
近年、IHCAFE 90はホンジュラスにおいてさび病に感受性であることが科学的評価によって確認され、中米の他の地域でも感受性である可能性がある。オホ・デ・ガジョに非常に感受性が高い」。
初収穫が2年目と早く、必要栄養レベルが「非常に高い」という組み合わせは、母体である
T5175の性格をそのまま受け継いでいる(T5175も2年目・非常に高い)。
早く多く採れる代わりに、肥料と病害対策の負担が大きい品種と読める。
03
耐病性は永久ではない——カティモール群とさび病
SOURCE: WCR VARIETY CATALOG(各エントリの補足欄)
WCRはカタログのさび病耐性の項目に、あらかじめ次の注意書きを置いている。「植物の病気は絶えず進化している。今日ある病気に耐性を持つ品種が、明日も耐性を持つとは限らない」。カティモール群は、この注意書きが実際に現実になった群である。
カティモール群のさび病耐性評価と、WCRが補足欄に記した「感受性が確認された」旨の記載。WCR Variety Catalog(2026年8月12日取得)より。
| 品種 | WCRのさび病耐性評価 | 補足欄の記載 |
| T8667(群の母体) | 中程度の耐性 | — |
| T5175 | 中程度の耐性 | — |
| コスタリカ95 | 低い/感受性 | コスタリカでさび病感受性が科学的評価により確認された。中米の他地域でも感受性の可能性 |
| レンピラ | 中程度の耐性 | ホンジュラスでさび病感受性が科学的評価により確認された。中米の他地域でも感受性の可能性 |
| IHCAFE 90 | 低い/感受性 | ホンジュラスでさび病感受性が科学的評価により確認された。中米の他地域でも感受性の可能性 |
| カティシック | 中程度の耐性 | —(オホ・デ・ガジョ感受性の記載のみ) |
さび病に勝つために作られた品種が、数十年後にはそのさび病に負けている。 ティモール・ハイブリッド由来の耐性が破られうることは、WCRがマルセジェサやパライネマの補足欄で繰り返す注意——「どのレース(系統)のさび病が存在する環境かによって現地での性能は変わりうる」——とも一致する。「耐病性品種」というラベルは、その時点・その地域での評価にすぎない。
この論点は当サイトの他ページにもつながっている。 コロンビアの
カスティージョが
複数系統を混ぜた複合品種として設計されているのも、単一の系統に頼ると突破されやすいという同じ問題への対処である。
T8667のページで扱った集団選抜・血統選抜の違いも、この文脈で読むと意味が変わってくる。
04
今後追加すべき項目
- 「90」という名前の由来 — 1990年に関係する可能性が高いが、WCRカタログに記載がないため当サイトでは断定しない。
- ホンジュラスでの作付け比率 — ホンジュラスのページに品種別作付け統計はまだない。
- T5175との具体的な違い — 「酷似」とのみ記載され、差異の説明はない。スペック上はさび病耐性の評価だけが異なる(T5175は中程度、IHCAFE 90は低い/感受性)。
- オホ・デ・ガジョの解説ページ — 当サイト未着手。カティモール群の複数品種で感受性が指摘される病害。
- World Coffee Research, Variety Catalog「IHCAFE 90」(varieties.worldcoffeeresearch.org/varieties/ihcafe-90、2026年8月12日取得)
- World Coffee Research, Variety Catalog「T8667」「T5175」「Costa Rica 95」「Lempira」「IHCAFE 90」(同日取得、03章の一覧表)