01
基本情報
SOURCE: WCR VARIETY CATALOG
- 品種名
- コスタリカ95Costa Rica 95
- 育成機関
- Instituto del Café de Costa Rica(ICAFE)
- 選抜方式
- 血統選抜Pedigree selection。T8667からCATIEが追加選抜して作出したとWCRのT8667エントリが記す
- 遺伝的系統区分
- 導入系・カティモール関連Introgressed (Catimor related)
- WCRによる要約
- 「高収量で、もっとも暖かい地域と酸性土壌に適応する」
- 栽培上の推奨
- 酸性土壌・アルミニウムに富む土壌、暖かい地域に推奨
当サイトのコスタリカのページで既に名前が出ている品種である。 コスタリカのページは同国発の代表品種としてコスタリカ95・
ビジャサルチ・
セントロアメリカーノを挙げている。
ただし同ページにあった「さび病への高い耐性」という記述は、今回WCRカタログを直接確認した結果と食い違っていた(WCRの現在の評価は「低い/感受性」)。当サイトはWCRの現行評価に合わせ、産地ページ側にも注記を追加した。
02
詳細スペック
SOURCE: WCR CATALOG, 2026-08-12 取得
評価の目安:
▲ 良好
● 標準
▼ 要注意
— WCRカタログ自身の区分(Low/Medium/High/Exceptional等)をそのまま可視化したもの
- 樹形
- 矮性・コンパクトDwarf/Compact
- 新芽の葉色
- ブロンズBronze
- 豆のサイズ
- 平均的Average●
- 収穫量ポテンシャル
- 高いHigh▲
- 高標高での品質
- 低いLow▼
- 最適標高帯
- 低〜中Low, Medium(北緯5°〜南緯5°:1,000〜1,600m/5〜15°:700〜1,300m/15°超:400〜1,000m)
- さび病(CLR)耐性
- 低い耐性/感受性Low resistance/Susceptible▼
- 線虫耐性
- 感受性ありSusceptible▼
- コーヒーベリー病(CBD)耐性
- 感受性ありSusceptible▼
- 初収穫までの年数
- 3年目
- 必要な栄養レベル
- 高いHigh▼
- 果実の成熟時期
- 平均的Average●
- 生豆歩留まり
- 平均的Average●
- 推奨植栽密度
- 5,000〜6,000本/ha(単幹剪定の場合)
WCRの補足欄の記載(要旨):「近年、コスタリカ95はコスタリカにおいてさび病に感受性であることが科学的評価によって確認された。中米の他の地域でも感受性である可能性がある。オホ・デ・ガジョにも感受性。酸性土壌・アルミニウムに富む土壌に推奨。もっとも暖かい地域に推奨」。なお生豆歩留まりが「平均的」で、カティモール群の他品種(多くが「低い」)より1段階良い点は、この品種の相対的な強みにあたる。
03
耐病性は永久ではない——カティモール群とさび病
SOURCE: WCR VARIETY CATALOG(各エントリの補足欄)
WCRはカタログのさび病耐性の項目に、あらかじめ次の注意書きを置いている。「植物の病気は絶えず進化している。今日ある病気に耐性を持つ品種が、明日も耐性を持つとは限らない」。カティモール群は、この注意書きが実際に現実になった群である。
カティモール群のさび病耐性評価と、WCRが補足欄に記した「感受性が確認された」旨の記載。WCR Variety Catalog(2026年8月12日取得)より。
| 品種 | WCRのさび病耐性評価 | 補足欄の記載 |
| T8667(群の母体) | 中程度の耐性 | — |
| T5175 | 中程度の耐性 | — |
| コスタリカ95 | 低い/感受性 | コスタリカでさび病感受性が科学的評価により確認された。中米の他地域でも感受性の可能性 |
| レンピラ | 中程度の耐性 | ホンジュラスでさび病感受性が科学的評価により確認された。中米の他地域でも感受性の可能性 |
| IHCAFE 90 | 低い/感受性 | ホンジュラスでさび病感受性が科学的評価により確認された。中米の他地域でも感受性の可能性 |
| カティシック | 中程度の耐性 | —(オホ・デ・ガジョ感受性の記載のみ) |
さび病に勝つために作られた品種が、数十年後にはそのさび病に負けている。 ティモール・ハイブリッド由来の耐性が破られうることは、WCRがマルセジェサやパライネマの補足欄で繰り返す注意——「どのレース(系統)のさび病が存在する環境かによって現地での性能は変わりうる」——とも一致する。「耐病性品種」というラベルは、その時点・その地域での評価にすぎない。
この論点は当サイトの他ページにもつながっている。 コロンビアの
カスティージョが
複数系統を混ぜた複合品種として設計されているのも、単一の系統に頼ると突破されやすいという同じ問題への対処である。
T8667のページで扱った集団選抜・血統選抜の違いも、この文脈で読むと意味が変わってくる。
04
今後追加すべき項目
- ICAFE自身による現行の推奨状況 — さび病感受性が確認された後、ICAFEがこの品種をどう位置づけているかは未確認。
- コスタリカでの作付け比率 — コスタリカのページに品種別作付け統計はまだない。
- 「95」という名前の由来 — WCRカタログに命名の記載がなく、当サイトでは断定しない。
- レンピラとの類似性 — WCRはレンピラのエントリで「コスタリカ95に酷似」と記すが、どの形質が同じでどこが違うのかの説明はない。
- World Coffee Research, Variety Catalog「Costa Rica 95」(varieties.worldcoffeeresearch.org/varieties/costa-rica-95、2026年8月12日取得)
- World Coffee Research, Variety Catalog「T8667」「T5175」「Costa Rica 95」「Lempira」「IHCAFE 90」(同日取得、03章の一覧表)