銘柄・表示ルール / Colombia Supremo
コロンビアスプレモColombia Supremo
「スプレモ」は地名ではない 。コロンビアの公的な等級区分にある豆の大きさの呼び名 で、スクリーン17 を指す。ところが日本の別表2の定義文には「スプレモ」という語が一度も出てこない ——書かれているのは「コロンビアにて生産された同国輸出規格に基づくアラビカコーヒー豆」 という一文だけである。
定義の粒度 輸出規格(地区でも国でもない)
スプレモ スクリーン17
エクセルソ スクリーン14
別表2の定義文 等級名の記載なし
01
⭐ 定義文に「スプレモ」が出てこない
SOURCE: 公正競争規約施行規則 別表2
Primary source quote
6) コロンビアスプレモ : コロンビアにて生産された同国輸出規格に基づくアラビカコーヒー豆をいう。
「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約 及び 同施行規則」別表2「産地、品種、銘柄の区分及び範囲の例示」6) の全文。これがこの銘柄名の定義のすべてである (当サイトが原文PDFで確認、2026年8月16日)。
⭐ 読み方をそのまま追うと、こうなる。 定義文が求めているのは
①コロンビアで生産されたこと と
②同国の輸出規格に基づくアラビカ豆であること の2つだけで、
「スプレモ等級であること」は書かれていない 。
コロンビアの輸出等級には、スプレモのほかにプレミアム・エクストラ・エクセルソ・カラコルがある (→
02 )——
定義文を文字どおり読むかぎり、そのどれであっても①②は満たしてしまう 。
規約はこの点について何も説明していない ので、当サイトは
「銘柄名は『コロンビアスプレモ』だが、定義文は等級を特定していない」という事実だけを記載し、意図の推測はしない 。
この書き方をされている銘柄は、14のうち2つだけである。 もう一つは
4) クリスタルマウンテン ——
「キューバにて生産された同国輸出規格に基づくアラビカコーヒー豆をいう」 。
どちらも「同国輸出規格に基づく」とだけ書き、等級名を挙げていない 。→
04
定義のしかた 別表2の銘柄
地区 ブルーマウンテン ・ハイマウンテン・グアテマラアンテイグア・モカハラー・トラジャ・カロシ・ガヨマウンテン・ハワイコナ (8件)
国 モカマタリ (1件)
国(除外つき) ジャマイカ・キリマンジャロ (2件)
州(除外つき) マンデリン (1件)
輸出規格 コロンビアスプレモ・クリスタルマウンテン (2件)
粒度がそろっていないことは、別表2全体の特徴である。 地区・国・州・輸出規格が同じ表に並んでいる。
「銘柄名」という一語でまとめられているが、実際には何を根拠にした名前かがばらばら ——この点は
銘柄名のページ で扱っている。
そのなかで「輸出規格」だけは、産地の範囲ではなく豆そのものの規格を根拠にしている ので、性質がひときわ違う。
02
コロンビアの公的な等級:スプレモはスクリーン17
SOURCE: ICO「National Quality Standards」ICC 122-12(2018)
では「同国輸出規格」とは何か。国際コーヒー機関(ICO)が加盟国からの報告を集約した公式資料 によれば、コロンビアの等級はComité Nacional de Cafeteros(コロンビア政府とFNC=全国コーヒー栽培者連盟で構成)の Resolution No.5/2002 が定めており、スクリーンサイズ(豆の大きさ)で区切られている 。
14
EXCELSO
エクセルソ (うち50%以上がスクリーン15)
スクリーンの数字は「64分の1インチ」である。 スクリーン17なら
17/64インチの丸穴を通り抜けない大きさ という意味。
数字が大きいほど豆が大きい 。仕組みそのものは
格付け・グレーディングのページ で扱っている。
ハワイの等級 (→
ハワイコナ 05 )も、
ケニアのAA/AB/PB も、同じスクリーンという道具を使っている。
大きさ以外の条件もある。 同じResolution No.5/2002は、500gのサンプルで欠点72個以内、うちグループ1欠点(黒豆等)は12個まで、水分12%以下 という条件も定めている(ICO報告より)。「スプレモ=スクリーン17」だけで決まるわけではない。
「エクセルソ」は等級名であって、格下という意味ではない。 上の並びのとおり
エクセルソはスクリーン14 で、
そのうち50%以上がスクリーン15であること が条件になっている。
スプレモより粒が小さい区分 ではあるが、
それは大きさの話であって、味の優劣ではない (→
03 )。
出典の経路を明示しておく。 このスクリーン区分は
ICOの公式資料(ICC 122-12)が「コロンビアからの報告」として掲載しているもの で、当サイトはそれを引用している。
Resolution No.5/2002 の原文PDFは、FNCのサイトで2026年8月16日時点で404となっており直接確認できていない (→
05 )。
03
スクリーンは味を測っていない
SOURCE: 当サイト 品質評価ページ
当サイトの品質評価のページ で整理しているとおり、コーヒーの「良さ」を測る体系はいくつもあり、それぞれ測っているものが違う 。
体系 何を測るか コロンビアスプレモとの関係
商取引の等級 (グレーディング) 豆の大きさ(スクリーン)と欠点の数 。味は測らない 「スプレモ」はここに属する言葉 。→格付け
カッピング/CVA 味と香りを人が評価する スプレモかどうかとは別の軸 。→カッピング /CVA
品評会(COE等) その年・その農園・そのロットを審査員が採点 同上。→COEとは
銘柄名(別表2) 名前を名乗れる範囲 「コロンビアスプレモ」はここに属する名前 ——ただし中身は等級を根拠にしている(→01 )
⭐ だから「スプレモ=上等」とは、資料からは言えない。 当サイトの
品質評価ページ は
「『AA』は大粒であることを示す等級名であり、上位の味を保証する記号ではない」 と書いている。
スプレモも同じ構造である ——
大粒であることは確かだが、それは味の評価ではない 。逆に、
品評会で高得点を取ったロットが、等級表記の上では平凡な区分に入ることもありうる 。
大きさが取引で意味を持つ理由は、別にある。 スクリーンで揃えることは
焙煎の均一性 に関わる——大きさがばらばらだと火の通りに差が出る。
当サイトの焙煎のページ で扱っている論点 である。
「大粒だからおいしい」ではなく「揃っているほうが扱いやすい」 という説明のほうが、資料と整合する。
コロンビアには、別の評価軸も蓄積されている。 コロンビアの産地ページ のとおり、
FNCと1938年設立のCenicafé(国家コーヒー研究センター) が長い品種改良の歴史を持ち、
さび病耐性品種の比率は2024年時点で87% (2010年は35%)に達している(→
さび病 )。
「スプレモ」という一語では、こうした中身は何も伝わらない。
04
もう一つの「輸出規格」銘柄:クリスタルマウンテン
SOURCE: 公正競争規約施行規則 別表2
Primary source quote
4) クリスタルマウンテン : キューバにて生産された同国輸出規格に基づくアラビカコーヒー豆をいう。
別表2 4) の全文。コロンビアスプレモとまったく同じ構文 で、やはり等級名を挙げていない 。
キューバ側の輸出規格は、当サイトではまだ確認できていない。 当サイトにキューバの産地ページはなく 、
格付けページ のICO報告一覧にもキューバの項目はない。したがって
「クリスタルマウンテン」がキューバのどの等級に対応するのかを、当サイトは一次資料で示せない 。
分からないことは分からないと書く のが当サイトの方針なので、ここで止める(→
05 )。
2つ並べると、別表2の構造がよく見える。 「地区」で定義された銘柄は、その地区の外で穫れたものを排除する 。「輸出規格」で定義された銘柄は、その国の規格の枠内かどうかで決まる ——場所ではなく、豆の状態で線を引いている ということになる。同じ表の中に、性質の違う2種類の線引きが混ざっている 。
05
今後追加すべき項目
Resolution No.5/2002 の原文 — FNC公式サイトの federaciondecafeteros.org/static/files/RESOL5-2002.pdf は2026年8月16日時点で404 。当サイトはICOのICC 122-12(2018)経由の記載を使っている。原文が取得できれば、スクリーン区分以外の条件(欠点の分類、水分、香味に関する条項の有無)も確認したい。
「同国輸出規格に基づく」の解釈 — 01節のとおり、別表2の定義文はスプレモ等級を特定していない。全日本コーヒー公正取引協議会側に運用上の解説があるか要調査 。モカのページ で扱った「『モカ』単独の範囲が別表2にない」問題と同じ性質の論点である。
キューバの産地ページと輸出規格 — 04節のとおり未着手。別表2に登場する国のうち、産地ページがないのはキューバとアメリカ(ハワイ)だけになった (イエメン・ジャマイカは2026年8月16日に公開)。
「Café de Colombia」原産地呼称 — コロンビアには「Café de Colombia」という原産地呼称(DO)・EUの地理的表示があるとされるが、その規約原文は今回確認していない 。別表2の銘柄名との関係も未確認。
グアテマラアンテイグアの個別ページ — 別表2で「地区」定義の銘柄のうち、まだ個別ページのないもの。グアテマラには政府による公式格付け制度がない (格付けページ )ため、ANACAFEの地域区分が根拠になるかを要調査。
銘柄名 コーヒーの銘柄名とは
品質評価 格付け・グレーディングとは
品質評価 品質評価の全体像
産地 コロンビア
銘柄名 ハワイコナ(州法の等級)
銘柄名 ブルーマウンテン
銘柄・表示ルール パッケージの表示ルール
全日本コーヒー公正取引協議会「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約 及び 同施行規則」(平成30年5月21日 公正取引委員会・消費者庁認定、告示第6号)— 別表2「産地、品種、銘柄の区分及び範囲の例示」4)クリスタルマウンテン・6)コロンビアスプレモ。原文PDF(ajcft.org)を2026年8月16日に取得して全14銘柄の定義文を確認
International Coffee Organization「National Quality Standards」ICC 122-12(2018年8月、第122回国際コーヒー理事会資料)— コロンビアの等級区分(Premium/Supremo/Extra/Excelso/Caracol)、Comité Nacional de Cafeteros Resolution No.5/2002 の内容、欠点数・水分の条件。当サイトの格付けページ で確認したもの
03節の品質評価の体系の整理は、当サイトの品質評価ページ および格付けページ からの引用。個別の出典は各ページ末尾に記載